今回は横浜のホテルニューグランドを訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・ホテルニューグランドを実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・ホテルニューグランドの基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・ホテルニューグランドの建築的な見どころや注目ポイント
1.港町横浜に建つ老舗のホテルを訪問
今回訪れたホテルニューグランドは、神奈川県の横浜に建つ老舗のホテルです。
今回はこのホテル発祥のスイーツプリン ア ラ モードと建物を味わいに、東京から少し足を伸ばして横浜までやってきました。
横浜といえば1859年の開港以来、関東における海外の玄関口として栄えてきましたが、山下公園の目の前に1927年にオープンしたのが、こちらのホテルニューグランドでした。
1923年に起きた関東大震災は、ここ横浜にも大きな被害をもたらしましたが、このホテルはその復興の一環として建てられました。
横浜市としても海外との玄関口である横浜の復興と宿泊施設の再建は急務でしたが、そこで白羽の矢が立ったのが当時注目の建築家として名を広めつつあった建築家 渡邊仁(じん)でした。
渡邊仁は、旧帝国大学卒業後、鉄道院や逓信省を経て独立した建築家です。後に銀座和光(旧服部時計店)や東京国立博物館本館(実施設計は宮内省内匠寮)などの作品で知られることになる渡邊ですが、このホテルを設計した時は30代後半。まさに新進気鋭の建築家であり、ホテルニューグランドは、建築家としてのキャリアの最初期の作品でもありました。
建物の外観は、柔らかにカーブする外壁とリズミカルに窓が並ぶ優雅な外観が特徴です。
2階部分の大きな窓がある部分は、ロビーラウンジとなっていて、その上に客室がのっています。
当初は4階建ての建物でしたが、昭和初期に増築がされて本館は6層となっています。
内側のエントランスは、回転ドア風の入口となっていますが、現在は回転ドアではなく自動ドアになっています。
少し緊張しながら中へはいります。
2.豪華な内装と陰影豊かな空間をたっぷりと堪能
建物に足を踏み入れると、ニューグランドブルーと呼ばれる青い絨毯が敷かれた大階段がお出迎えをしてくれます。
重厚な石の階段と、天まで伸びるような高い天井により、重厚感がありつつも開放的でゆったりとしたエントランスとなっています。
精巧なレリーフが施された白い石膏による天井は、上品ですがとても軽やかです。
間接照明のデザインも凝っていて、様々な角度から室内を照らしています。
階段を上った先はエレベーターホールとロビー空間となっていますが、豪華で精巧な設えに思わずため息がでてしまうほどの美しさです。
ロビー空間では東側に設けられた大開口から自然光が降り注ぎ、青い絨毯やカーテンのブルーの色を鮮やかに映し出しています。
100年近い歴史の中で幾度か増築や改修が行われてきたホテルニューグランドですが、2階は比較的当時の趣を残しています。
館内は本格的なヨーロピアンスタイルの内装ですが、日本らしい陰影の美学がいたることろに散りばめられています。
彫りの深い装飾や、微妙に色幅がつけられた床や壁、カーテンのファブリックが、陰りによって豊かな表情を見せてくれます。
遠い異国の非日常感と共に、どこか安心できる居心地のよさを感じる空間でした。
3.発祥の地で味合うプリンアラモードを堪能
続いて1階に戻り、今回の目的のひとつであるプリンアラモードを頂きにいきます。
1階の階段脇にあるコーヒーハウスザ・カフェでは、フレンチを中心にこのホテルならではのメニューを楽しめます。
週末はかなりの行列になり、この日も一度受付を済ませてから、1階の階段周りや中庭を見学しました。
最近は受付後にスマホで残りの待ち時間をお知らせしてくれるシステムも増えてきましたが、1時間以上の待ち時間だったのでとても助かりました。
週末の特にお昼の時間は混雑しますし、メニューによっては品切れとなることもあるので、訪れる際は少し早めの時間がオススメです。
お目当てのプリン ア ラ モードは、硬めのプリンにたっぷりのフルーツとアイスがのった贅沢な一品です。
このプリン ア ラ モードは横浜にくるアメリカ人将校に同行してきた夫人たちをもてなす為に、ホテルニューグランドのパティシエが考案したもの。
甘さ控えめのプリンにずっしりと盛り付けられたフルーツは、見た目も華やかでテンションがあがります。
食後は珈琲でひと休み。
カフェでは他にも季節のフェアとしていちごのパフェやケーキがあったり、ホテルニューグランドから広まったといわれるシーフードドリアやスパゲッティ ナポリタンなどの伝統のメニューが味わえます。
店頭では持ち帰りやお土産も購入できるので、バームクーヘンをお土産に購入しました。
素敵な建築とスイーツをたっぷりと堪能して、この日の建築巡りも大満足のものとなりました。
とてもオススメの建築ですので、皆さんも機会があれば是非訪れてみてくださいね。
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ホテルニューグランド
設計：渡邊仁建築事務所+横浜市建築課(本館)
所在地 ：神奈川県横浜市中区山下町10
アクセス：元町・中華街駅より徒歩約2分
竣工：1927年
備考：横浜市認定歴史的建造物
経済産業省近代化産業遺産
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