館林「館林市民センター」住宅街に聳える名建築 旧市庁舎をレポート

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今回は群馬県の館林市にある館林市民センターを訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。

【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走

【この記事で分かること】
・館林市民センターを実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・館林市民センターの基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・館林市民センターの建築的な見どころや注目ポイント

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1.菊竹清訓氏がデザインした館林の名建築を訪問

今日訪れたのは、群馬県の館林市に建つ館林市民センター(旧館林市庁舎)です。

館林市民センター

実はこの建築には個人的な思い入れもあって、私が大学に入学した直後のゴールデンウイークに初めての建築巡りの小旅行で訪れたのがこの館林市民センターでした。

館林市民センターは、この時代の名建築が相次いで解体される中、解体されることなく現在も現役で活用されていている珍しい建築でもあります。
2023年には1階にカフェとギャラリーがオープンしたことでも話題となり、私もこのタイミングで再訪してきました。

館林市民センター

館林駅を降りて、住宅街を程なく進むと、低層の住宅地に聳え立つ市民センターの建築が見えてきます。
建物は元々は館林市の庁舎として1963年に建築家の菊竹清訓氏の設計で建てられたものです。
地上5階地下1階の建物は、今見てもかなりの迫力ですが、当時としては塔状の庁舎はかなり珍しかったと思います。
庁舎としては1981年までの18年間使われた後、今は市民センターとして活用されています。

菊竹清訓氏といえばメタボリズムという建築運動の主要メンバーでもあり、自邸であるスカイハウスや両国の江戸東京博物館などの作品でも知られる建築家です。

江戸東京博物館(1993年竣工)

メタボリズムは、1959年に黒川紀章氏や菊竹清訓氏ら当時の日本の若手建築家のグループが開始した建築運動でした。
「新陳代謝(メタボリズム)」から名をとって、社会の変化や成長に合わせて有機的に成長する都市や建築を提唱した建築運動は、日本のみならず世界にも大きな衝撃と影響を与えました。

館林市民センター

館林市民センターでは、4隅に塔状のコアが聳え立っていて、真ん中に市民のための機能が積層されています。

コアとは階段やエレベーター、配管を含むトイレなどの水回りのことで、これらを四隅にまとめることで、中の庁舎部分を使い勝手の良い大空間にできたり、フレキシブルで拡張性のある建物となることが意図されています。

菊竹清訓氏の建物といえば、都内近郊の方であれば、やはり江戸東京博物館が馴染み深いと思いますが、江戸東京博物館も4本の脚が立ち上がり、その巨大なフレームに空中の展示空間が支えられる構造になっていました。
江戸東京博物館は1993年にできた建築ですが、館林市民センターではそのちょうど30年も前に同じ構成の建物が実現しているのはとても興味深いです。

2.内部も面白い!新しくオープンしたギャラリー&カフェも堪能

館林市民センターでは高低差を利用しながら1階と2階の両方にアクセスできるようになっています。
元々市庁舎時代は市民の窓口となる機能が1・2階にあり、どちらのフロアにもアプローチしやすいように計画されていました。

こちらはスロープと階段による各階へのアプローチです。
こうしてみるとピロティやスロープによるプロムナード(散策路)といったコルビュジエらの提唱した近代建築の作法が、市民の為の建築として再解釈されて散りばめられているのが面白いです。

館林市民センター

3階に書庫を挟んで上階は会議室や議場となっていて、ガラスのボリュームがせり出した迫力のシルエットが積層されています。

館林市民センター

ちなみに地上部分は元々は池や庭園があったのですが、現在は埋め立てられて車路になっています。

館林市民センター

半世紀以上経ったたてものは劣化しているとはいえ、レトロフューチャーとも言うべき近未来的なフォルムをしています。

ダイナミックな構成が目を引く建物ですが、細かい屋根や開口部のデザインも、独特の造形とスタイリッシュな納まりが随所にみられ、見どころが満載でした。

2023年には1階スペースにはギャラリーやカフェが新設されました。

館林市民センターのギャラリー

無骨な建物の表情を活かしたギャラリーやカフェの設えは、現代の感性でみてもクールでカッコいいです。

館内には当時の椅子やサインも多く残されていて、どれも惚れ惚れするような美しいフォルムとなっています。

せっかくなのでカフェFUIGO TATEBAYASHIでひと休み。
こちらのカフェでは、自家焙煎のブレンドコーヒーや地元の東毛酪農の牛乳を使ったドリンクのほか、アイスやブレッドなどのメニューが味わえます。

館林市民センターのカフェ

今回頂いたのはほうじ茶ラテと、自家製の黒蜜ときな粉のアフォガード。

館林市民センターのカフェ

濃密なシロップのアフォガードは絶品で、少し暑くなってきたこの時の季節にもピッタリでした。
窓の外には館林の民家とお墓が見えるのですが、この風景も懐かしい感じがしてとてもよかったです。

館林市民センターのカフェ

都心ではお墓がみえるカフェなどほとんど見なくなったと思いますが、昔の街の中に当たり前にあった風景に久しぶりに出会えた気がしてとても味わい深い体験となりました。

3.近くに建つ分室も要チェック!館林の建築を堪能

館林市民センターを見学した後は館林の街の建築を巡りました。
館林には江戸、明治、大正、昭和、平成と各時代の建物が点在していて、建築巡りにはピッタリの街となっています。
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中でも館林市民センターを見たあとにオススメなのが、市民センターから歩いてすぐの場所に建つ館林市市民センターの分室(旧館林信用金庫)です。

館林市民センター分室

館林市市民センターの分室は、大正時代末期に発足した館林信用組合の事務所として建てられ、戦後は館林信用金庫の本店として使われていた建物です。

旧館林信用金庫本店

アールデコ調のデザインやスクラッチタイルの外壁は、大正時代から昭和初期にかけて多く見られるスタイルで、当時の館林ではかなり珍しい街のシンボル的な建物であったことが想像できます。

旧館林信用金庫本店

平成元年からは市の所有物となりましたが、現在も館林市市民センターの分室として現役で使われているのは嬉しい限りです。

魅力的な建物をたっぷりと堪能して、この日の建築巡りも大満足のものとなりました。
とてもオススメの建物ですので、皆さんも機会があれば是非訪れてみてくださいね。

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館林市民センター
設計:菊竹清訓/菊竹清訓建築設計事務所
所在地:群馬県館林市仲町14-1
アクセス:館林駅より徒歩約7分
竣工:1963年

旧館林信用金庫本店
所在地:群馬県館林市仲町5-25
アクセス:館林駅より徒歩約6分
竣工:1934年


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