浅草の代名詞ともいえる浅草寺は、初詣の参拝客数が寺院としては東京一の約285万人を誇る大寺院です。
建築好きとしても見どころが多い寺院ですが、まず注目したいのは川崎大師の伽藍の設計者としても知られる建築史家 大岡實氏が設計した本堂です。

大岡氏は法隆寺や国立博物館など数々の文化財建築の保存工事においても中心的な役割を担ってきた人物でしたが、1949年に起きた法隆寺火災事件の監督責任者として文部省を追われてしまいます。
元々本堂の設計は大岡の上司であった伊東忠太氏が行う予定でしたが、高齢であるという理由から辞退して、文部省を辞して失意の中にある門下の大岡氏が紹介されました。
新本堂の設計に当たっては焼失した旧本堂の外観の復元を主眼に置きつつ、従来の木造ではなく、鉄筋コンクリート造によって建設されました。
これには「火災によって貴重な文化財が一瞬にして灰に帰することはあってはならない」という大岡氏の強い意志と、伝統的な社寺建築をこれからの時代の新しい工法でいかに受け継ぐかという挑戦があったのだと思います。

浅草寺は本堂の他にも1924年に建てられた仲見世や、1973年に再建された五重塔、約400年前に建てられた二天門など見どころが満載です。

設計:大岡實/大岡實建築研究所(本堂)
所在地:東京都台東区浅草2-3-1
アクセス:浅草駅より徒歩約5分
竣工:1649年(二天門)、1958年(本堂)、1960年(雷門)、1973年(五重塔/再建)
備考:国重要文化財(二天門)



