建築家 黒川紀章がデザインした東京都内のおススメ作品12選

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今日は建築家 黒川紀章氏が手掛けた東京都内のオススメ建築についてレポートしたいと思います。
黒川紀章氏は京都大学建築学部を卒業し、東京大学で丹下健三氏に師事しつつ当時の若手建築家らと建築理論メタボリズムを提唱・実践し、世界的な評価を評価を得たまさにスター的な建築家。
メタボリズム以降も革新的な建築を次々生み出しつつ、晩年には東京都知事選への立候補やテレビ番組への出演など世間の注目を集め続けた建築家でした。
今回はそんな黒川氏の建築の中から、東京都内で実際に見ることができるおススメの黒川建築を巡ってきましたので、その建築の魅力をたっぷりと紹介したいと思います。

【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走

【この記事で分かること】
・黒川紀章氏が関わった建築を写真と文字でレポート
・黒川紀章氏の東京都内のおススメ建築作品が分かる
・黒川紀章氏の建築の見どころや注目ポイントを解説

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1.中銀カプセルタワービル

まず初めに紹介する中銀カプセルタワービル黒川紀章氏の代表作ともいえるカプセル型の集合住宅です。
メタボリズム(新陳代謝)運動の中で提案されたこの建物は、カプセル型住居が更新されることで建物自体が新陳代謝することが目指された建築で、設計当初はこのカプセルを取り外して、古くなったら取り換えることが構想されていました。
水平に広がる街から、垂直に伸び、集約・更新される新しい都市の姿が提案された建築はまさに未来の建築。
ちなみにカプセルのサイズは約10m²で、これはトレーラに積めるサイズということで決定されています。このカプセルを取り外し、週末は郊外に持って行って自然の中で過ごすなんてことも考えられていたのが興味深いです。

中銀カプセルタワー階段

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設計:黒川紀章/黒川紀章建築都市設計事務所
所在地:東京都中央区銀座8-16-10
最寄り駅:汐留駅より徒歩約5分、新橋駅より徒歩約5分
竣工:1972年
備考:現存せず

2.BIGBOX高田馬場

BIGBOX高田馬場外観

続いて紹介するBIGBOX高田馬場は、高田馬場駅前のランドマークともいえる複合商業施設です。
その名の通り大きな箱型の建物の中に商業、アミューズメント、飲食といった機能が詰め込まれていて、高田馬場のランドマークにもなっています。
建物のアクセントカラーは元々赤色でしたが、数年前の改修時に青色に変更されて現在の姿になっています。
3枚目の写真は2007年に訪れたときに撮影したもので、当初は4分割されたパネルを回転させて絵柄が変わるような仕掛けも施されていましたが、改修と共になくなってしまったのが少し残念です。

BIGBOX高田馬場
BIGBOX高田馬場

設計:黒川紀章/黒川紀章建築都市設計事務所
所在地:東京都新宿区高田馬場1-35-3
アクセス:高田馬場駅より徒歩約1分
竣工:1974年

3.日本赤十字社ビル

日本赤十字社ビル

日本赤十字社本社ビルは日本赤十字社の本社とテナントオフィスが入居する地上8会地下2階の事務所建築です。
それぞれのオフィスが左右に別れつつ、大きな屋根によって一つの建物にまとめられてるのが特徴で、中間のエントランスホールは外部空間と内部空間の中間領域として機能しています。
建物自体も黒川イズムを随所に感じることができますが、樹木の枝をモチーフにした敷地境界のフェンスのデザインがとてもよくて、訪れた際には必見の注目ポイントとなっています。

日本赤十字社ビルフェンス

設計:黒川紀章/黒川紀章建築都市設計事務所
所在地:東京都港区芝大門1-1-3
アクセス:浜松町駅より徒歩約7分
竣工:1977年
備考:第19回BCS賞

4.松濤倶楽部

松濤倶楽部

渋谷区松濤の高級住宅街の角地に建つ松濤倶楽部は、黒川紀章氏がデザインした建築の中では珍しい個人住宅です。
障子を思わせる格子状のフレームは、この建物ができた2年後に建てられることになる埼玉県立近代美術館にも共通するデザインでもあります。
街と建物の間にバッファゾーンとなる中間領域をつくり出し、空間を切り取る手法は黒川紀章氏が追い求めたテーマでもあります。
海外の宮殿のようなイメージと、京都の町家のような日本的要素の両方がオーバーラップする不思議な建築は、渋谷の隠れた注目建築です。

松濤倶楽部

設計:黒川紀章/黒川紀章建築都市設計事務所
所在地:東京都渋谷区松濤1-10
アクセス:神泉駅より徒歩約9分
竣工:1980年

5.杉並区立中央図書館

杉並区立中央図書館

荻窪の住宅街の中に建つ杉並区立中央図書館は、黒川氏の建築の中では比較的知られていないことが不思議なくらいの、隠れた名作図書館です。
シルバーのフレームで囲って凹ませた広場状のエントランスや、裏の公園に合わせて雁行しながら展開するガラスのカーテンウォールによって、建築と街や自然の境界が溶け合わさるような建築となっているのが最大の見どころ。
埼玉県立美術館や新国立美術館など、後の黒川氏の公共建築にも通底する環境と共生する建築の原点を存分に味わえるまさに名建築。
また、現在のどこまで残っているかわかりませんが、オープン当初の照明コンサルタントは東京タワーの照明等を手掛けた石井幹子氏だったことも注目ポイントです。

杉並区立中央図書館のカーテンウォール

設計:黒川紀章/黒川紀章建築都市設計事務所
所在地:東京都杉並区荻窪3-40-23
アクセス:荻窪駅より徒歩約10分
竣工:1982年

6.ワコール麹町ビル

ワコール麹町ビル

半蔵門駅から程なくのところに建つワコール麹町ビルは地上9階地下1階建てのアパレルブランドのオフィスビルです。
シンボリックでメカニックな外観は、企業ブランドをアピールする新社屋にふさわしいデザインであり、唯一無二のオリジナリティに溢れています。
実際に見て感心したのは、長手方向のガラスの開口部が、ちょうど道路の反対側の歩道を映し出すミラーになっていること。
アパレル系の建物でミラーを効果的に使ったデザインは現代の建築でもよく見る定番の手法ですが、斜めのミラー壁で道路の反対側にアプローチしているのははじめて見るデザインで、とても新鮮でした。

ワコール麹町ビル
ワコール麹町ビル

設計:黒川紀章/黒川紀章建築都市設計事務所
所在地:東京都千代田区麹町1-1-2
アクセス:半蔵門駅より徒歩約5分
竣工:1984年

7.朝霞荘

朝霞荘

朝霞荘は市ヶ谷の閑静な住宅街に建つ保険会社の元迎賓館。
この場所は万葉集で詠われた名所「逢坂」であり、その昔、石川啄木が暮らしていたという由緒ある場所でもあります。
敷地の持つ大きな高低差と、周りの住宅への配慮から建物が立体的に構成されて、屋根は幾重にも分節されて重なるように連なっているのが特徴です。
内部を見学することはできませんでしたが、特徴的な屋根の連なりや独特の色使い、花鳥風月のパターンを御影石で表現したという駐車場、建物と街との中間領域をつくり出す格子塀など黒川氏の工夫とデザインを随所に感じることができます。

朝霞荘

設計:黒川紀章/黒川紀章建築都市設計事務所
所在地:東京都新宿区市谷砂土原町3-22
アクセス:飯田橋駅より徒歩約5分、市ヶ谷駅より徒歩約6分
竣工:1987年
備考:第30回BCS賞

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