今日は東京高円寺に建つ老舗の銭湯小杉湯を訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。
昭和初期の面影が強く残る貴重な銭湯建築に加えて、様々な企画やイベントも人気の小杉湯。いったいどんな建築だったのか、早速紹介してきたいと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・小杉湯を実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・小杉湯の基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・小杉湯の建築的な見どころや注目ポイント
1.高円寺の注目スポット!昭和初期に建てられた銭湯建築に注目
JRの高円寺駅をでて北口の高円寺純情商店街を抜けてほどなく歩いたことろにあるのが、今回訪れた銭湯 小杉湯です。
高円寺駅から6分ほど歩き、商店街の喧騒も落ち着いた住宅街の奥にひっそりと建つ銭湯は、昭和初期の1933年に建てられた老舗の銭湯。
南側の通りからは目立ちませんが、細い路地を進むと正面玄関の見事な唐破風(からはふ)と大屋根の千鳥破風(ちどりはふ)が特徴的な見事な銭湯建築が姿を現します。
まるで神社仏閣のような建築を少し不思議に思う人もいるかもしれませんが、この銭湯の建てられた昭和初期は、ちょうど関東大震災からの復興期。
この時期には宮大工によって、こうした宮造りの銭湯が都内のいたることろに建てられました。
小杉湯はそんな銭湯の中でも銭湯好きの間では有名で、現存する昭和初期の銭湯がだいぶ少なくなる中でも貴重な存在。
建設から90年以上の月日が経っているので、部分部分では改修・修繕が積み重ねられていますが、エントランスの屋根部分をはじめに建設当初の姿が残る貴重な建築。
2020年には国の登録有形文化財にも選出されていて、当時の銭湯建築が持つ様々な特徴を間近で見ることが出来ます。
例えば正面からよく見える唐破風の下には懸魚と呼ばれる鯉の彫刻があしらわれていますが、これは火災から建物を守るために寺院建築などによくみられる魔除けの彫刻を取り入れたもの。
貴重な銭湯建築として銭湯や近代建築好きの間では知る人ぞ知る銭湯だった小杉湯の名前が全国的に有名になったのは、こちらの正面にも飾られている塩谷歩波氏によるイラストも大きなきっかけでした。
最初はTwitter上で発表されたイラストが、大きな話題となり、テレビや新聞でも度々紹介されていたので、ひょっとしたら目にしたことがあるという人も多いかもしれません。
また、小杉湯は老舗の銭湯ではありますが、2003年の改修時にはギャラリーをつくったり、子連れのお子さんの面倒を見てくれてゆっくりお風呂に入れるイベントなど、新たな時代に向けた様々な企画を打ち出していっているのも特徴です。
私も友人に「この間、高円寺の小杉湯に行った」と話すと、お子さんがいるママさんをはじめ数人が私も行ったことがある!と言われた経験があり、本当に有名なのだと驚きました。
2.早速入湯!現代に受け継がれる老舗の銭湯を満喫
入口の下足入れに靴を預けて早速中へ。
今やスーパー銭湯などでもよく見かける木札による下足入れは戦後の銭湯で普及したもので、多くの人が出入りする公衆浴場では靴の盗難が多かったことからだんだんと鍵付き下足入れが増えていったそうです。
中に入ると左手から、正面から見えた窓と透かし彫の彫刻を通した明るい光が差し込みます。
まずは受付で入浴料を支払います。大人480円+バスタオルのレンタル70円で計550円。
私は開店とほぼ同時の15:30過ぎに訪れたのですが、後ろにはどんどんと行列ができていきます。
銭湯内部の写真が撮れないのは少し残念ですが、小杉湯では名物であるミルク風呂の他、時期によって日替わりのコーラ風呂など面白い企画が沢山です。
私が訪れた時は酒粕によるお風呂でしたが、こうした細かい企画は一見さんだけでなく日常的に通うリピーターも離さない秘訣にもなっているようです。
また、銭湯の定番ともいえる富士山のペンキ絵は、元々は地元杉並区出身の銭湯絵師 丸山清人氏が書いたものでしたが、2020年に兄弟弟子である中島盛夫氏によって書き換えがなされました。
この作画の様子は入場無料の公開イベントを行って見学会をやったそう。
奥には2003年の改修時で作られた待合室を兼ねたギャラリーになっています。
地域密着のギャラリーは色んな絵や企画が催されていて、まさに地域のコミュニティ拠点といった感じでした。
物販もしているのでお土産もゲットできます。
面白いのは行列のできる銭湯なのに、実はこのギャラリースペースはそこまで混んでいなくて、特に開店と同時に訪れる利用者は常連さんが多いのかな?という感じでした。
3.お隣にも注目!新旧合わさる地域コミュニティの拠点が面白い
革新的ともいえる様々な取り組みをする小杉湯ですが、そんな小杉湯の攻めの取り組みを象徴するのがお隣に建つその名も小杉湯となりです。
2020年にオープンしたばかりの建物には、地域の人や常連客が使えるイベントスペース、コワーキングスペースなどが複合的に詰め込まれています。
まさにかつての銭湯がそうであったように、この場所が現代の地域のコミュニティの拠点となることを期待される建築。
小杉湯と合わせて見ると、伝統的な装いの小杉湯と、スマートで現代的な小杉湯となりのコントラストが伝統と革新の両方を象徴しているようです。
南側の壁面のアートは、企画によるアートイベントか何かでしょうか。スタイリッシュな建築だけでなく手作り感のある空間はとっても好印象です。
ちなみに、オープン当初はカフェも併設していたそうですが、コロナが始まってからはカフェはお休みしていて、現在はコア利用者向けの会員制スペースのみに切り替えているそうです。
銭湯後に立ち寄れることを楽しみにしていたので中に入れずちょっと残念でしたが、これからの地元密着型のコミュニティをうかがい知れる貴重な経験が出来き大満足の銭湯体験となりました。
ちなみに高円寺のおススメ建築についてはこちらのレポートにまとめていますので、驚異のある方は是非合わせてご覧ください。
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小杉湯
所在地:東京都杉並区高円寺北3-32-17
アクセス:高円寺駅より徒歩約6分
竣工:1933年
営業時間:
平日15:30~1:45
土曜・日曜8:00~1:45
入浴料:大人480円、中人180円、小人80円
貸出:貸出フェイスタオル無料、バスタオル70円
備考:国登録有形文化財
小杉湯となり
設計:T/H+銭湯ぐらし
所在地:東京都杉並区高円寺北3-32-2
アクセス:高円寺駅より徒歩約6分
竣工:2020年
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