早稲田「漱石山房記念館」漱石終焉の地に建つ注目建築をレポート

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今日は早稲田と神楽坂のちょうど中間地点に建つ新宿区立漱石山房記念館を見学してきましたので、その模様をレポートしたいと思います。

【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走

【この記事で分かること】
・漱石山房記念館を実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・漱石山房記念館の基本情報と、アクセス方法や訪れる際のポイント
・漱石山房記念館の建築的な見どころや注目ポイント

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1.夏目漱石終焉の地に建てられた記念館を見学

元々この地は近代日本文学の文豪夏目漱石がその晩年を過ごした土地として、文学ファンに親しまれていました。
かくいう私も6、7年前に文学好きの友人に連れられて、早稲田や神楽坂の漱石ゆかりの地を巡ったことのある思い出の場所です。

1907年から1916年まで晩年の漱石が過ごした終の棲家は「漱石山房」と呼ばれ、戦後は敷地の半分が都営住宅、もう半分が漱石公園という小さな公園となっていましたが、2017年に日本初の本格的な漱石の記念館としてこの建物が竣工しました。

写真では少しわかりずらいですが、建物の中には漱石山房や書斎、客間、ベランダ式回廊を再現した建物が入れ子状に再現されています。
漱石山房の再現に当たっては、詳しい図面などが存在していない為、漱石自身の描いたスケッチや文章をはじめ、様々な資料を精査して設計が行われたとのこと。

漱石に関連する建物と言えば、先日訪れた明治村で森鴎外・夏目漱石住宅を見学しましたが、明治村に移築された森鴎外・夏目漱石住宅は元々文京区千駄木町に建ち、1903年から1906年に漱石が住んでいた住宅。
この3年間で漱石は「我輩は猫である」「坊ちゃん」「草枕」といった数々の名作を生み出します。
その後、1907年にすべての教職を辞した漱石が、1916年に亡くなるまでの9年間住んでいたのが漱石山房なのです。

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敷地の入口には漱石の銅像があります。
こちらの銅像は日本のインダストリアルデザインの祖とも呼ばれる工業デザイナーで彫刻家の富永直樹氏によるもの。
前回訪れた時もそうでしたが、今回も必ず通りかかる人が写真を撮っているのを見かける人気の銅像です。

建物の外観はとてもスタイリッシュですが、色々な素材を組み合わせながら多様な表情をつくっているのが特徴です。
様々な素材のコントラストや素材の錆や陰影は、どこか物語性を感じるデザインです。

また、ガラスや金属といった現代的な素材と対比するように生い茂る植物は、柿やバナナなどかなり変わった植物が多いです。
どうやら漱石の小説に出てくる様々な植物が植えられているようで、建物の完成から5年たった現在ではだいぶ元気に育っていて、アプローチから楽しめます。

2.建物の中に漱石山房を再現!新旧の歴史が交錯する展示空間に注目

内部は入って左側がカフェやロッカー、右手に展示エリア、地下にライブラリーや職員の事務スペースという明快なゾーニングです。

展示スペースは無料ゾーンもありますが、入館料は一般300円とお手頃なので、是非中の展示も見るのがおススメです。

1階は常設展示室となっていて、メインは漱石山房を再現したこちらの建築内建築。

赤い絨毯の上に所狭しと積まれた本は、本好きとしてはこれだけでワクワクしてしまいます。

書斎の窓の位置に合わせて、その向こうの建物の外壁にも開口部となっているので、窓から入り込む自然光が室内を優しく照らします。

漱石山房記念館では「開口部」と「視線の抜け」がとても巧みにデザインされていて、建物の内外を視線で繋いだり、逆に抜け感を出すことで開放的な内部空間をつくり出しています。

こちらの漱石との写真撮影スポットも、後ろの壁が大開口となっていて、視線が抜けるようにデザインされています。

漱石山房記念館自体、記念館としてはかなりコンパクトな敷地サイズにもかかわらず、実際の大きさ以上に開放的に感じるのはこうした工夫の賜物です。

漱石山房をぐるりとまわって2階に移動すると、その時々によって様々な展示が行われる企画展スペースが広がります。
「漱石のすべてが分かる」をコンセプトに掲げているだけあって、展示内容は濃厚で、貴重な資料も多く展示されています。

企画展示スペースから敷地の北側の大階段を下って1階に降りると、ミュージアムショップと最初の受付カウンターに戻ります。

ちなみに地下にはライブラリースペースも併設されていて、漱石をはじめ文学関連書籍が楽しめます。
ライブラリーの手前の休憩スペースは北側に隣接する漱石公園と連続するようなデザインとなっていて、地下とは思えない開放的で気持ちのいい空間でした。

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3.CAFE SOSEKIにも注目!併設のブックカフェで癒しのひと時

一通り展示を楽しんだ後は1階に併設されたCAFE SOSEKIで一休み。

「吾輩は猫である」に登場する空也のもなかセットをはじめ、漱石に関連するメニューがいくつもあります。
私が訪れた時は残念ながら空也のもなかセットは品切れだったので、お干菓子セット(770円)をチョイス。

文化元年創業の三谷製糖のお干菓子は珈琲との相性も抜群。
珈琲はミルクを入れると黒猫が現れるのも素敵な仕掛け。

エントランスを挟んだ左右の両方がカフェスペースになっていて、併設された本棚の本は自由に読むことができます。

4.敷地北側に隣接する漱石公園&遺構もたっぷりと堪能

最後に敷地北側に隣接する漱石公園をお散歩。

中央に見える石塔は猫塚と呼ばれる石塚で、漱石の家で飼っていた猫や小鳥の供養の為に建てられたもの。
元々は1920年に建てられた石の塔でしたが、空襲で損壊してしまい、1953年にその破片を使って再建されたものだとか。

先ほどのライブラリニーには段々状の階段で接続されています。
私が訪れた時には締め切られていましたが、天気のいい日にはイベントやワークショップにも使えそうです。

こちらは北側の立面。小さな小窓が可愛らしいです。

公園は決して広くはないですが、ベンチに腰掛けて休憩するおじいさんや、小さい子供を連れたママさんの姿があって、地域の人に親しまれているようでした。

猫塚のすぐ隣には旧夏目邸の建物の基礎が僅かばかり残されています。この遺構は記念館建設の試掘調査の際に発見されたものだそうで、漱石の没後建て替えられた夏目邸の母屋のものと推定されるそうです。

最後は記念館が建つ前からある道草庵を見学。
以前記念館が建つ前に訪れた時は、漱石にまつわる展示スペースはこの道草庵だだったのが懐かしいです。

軽い気持ちで訪れた漱石山房記念館でしたが、漱石愛のつまった充実の展示と、素敵な建築空間に出会えて大満足の体験ができました。
文学・建築好きにはとってもおススメなスポットですので、皆さんも機会があれば是非訪れてみて下さいね。

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新宿区立漱石山房記念館
設計:フォルムデザイン一央株式会社
所在地:東京都新宿区早稲田南町7
アクセス:東京メトロ東西線早稲田駅より徒歩約10分
竣工:2017年
開館時間:10:00~18:00
休館日:月曜、年末年始
観覧料(通常展):一般300円
公式HP:https://soseki-museum.jp/

※記載している営業時間や金額は記事執筆時点のものです。変更となっている場合もありますので、訪れる際は公式HP等をご確認ください。


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