合掌造りのお寺!?内部も見れる白川郷明善寺を徹底レポート

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今回は前回に引き続き岐阜県白川村の合掌造りの建築群である白川郷のレポートです。
前回の記事をご覧でない方は、まずはこちらの記事も合わせて読んでいただけると嬉しいです。
前回記事
・白川郷を満喫!建築好きが巡る世界遺産満喫ツアー【岐阜県白川村】

前回の記事で白川郷では内部も見学できる建物が4つあるということを書きましたが、今回はその中でもイチオシの建築である明善寺を見学してきましたのでその模様をレポートしていきたいと思います。

【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・本職は建築の設計事務所で働く建築人

【この記事で分かること】
・白川郷明善寺を実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・白川郷明善寺の基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・白川郷明善寺の建築的な見どころや注目ポイント

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1.白川郷の内部を見学!その中でもおススメしたい明善寺とは!?

今回私が訪れたのは白川郷の中でも最大の集落である荻町集落です。
白川郷では約110棟の合掌造りの建築があるといわれていますが、この荻町集落にはその内の約60棟の建築が集中している一大集落です。その中でも内部の合掌造りの見学ができるのは和田家、神田家、長瀬家、明善寺の4棟のみとなっています。
今回はその中から世にも珍しい合掌造り・茅葺屋根のお寺である明善寺について詳しくレポートしていきます。

本堂

明善寺は県の重要文化財にも指定されている明善寺庫裡郷土館と、郷土館に隣接する本堂鐘楼門の3つの建物で構成されています。
明善寺庫裡郷土館は郷土の民具などの資料が展示されている資料館ですが、何と階数は5階建て、白川郷の合掌造りの建物の中で一番大きい建物となっています。
この庫裡郷土館の建築は江戸時代末(1817年頃)とされ、高山の大工副棟梁与四郎によって建てられましたという記録が残っています。なんと200年以上も前の建物なのです。
また、お寺の入口にある鐘楼門は加藤定七により亨和2年(1801年)に、本堂は高山の大工水間宇助により文政10年(1827年)に建てられたとされてます。

鐘楼門

また、本堂の内部へは庫裡郷土館のチケットを持っていれば自由に入ることができ、江戸時代に建てられた3建物を一挙に見ることができます。
白川郷最大の建物と江戸時代につくられた茅葺合掌屋根のお寺とあっては見ないわけにはいかない!ということで、私のイチオシに選ばせていただきました。

2.早速見学!まずは明善寺庫裡郷土館の内部を見学!

明善寺は集落のちょうど中央部付近に位置しているので、とてもアクセスしやすい場所にあります。
私は集落をぐるりと1周した後、スタート地点に戻る途中に訪れました。

明善寺の見学は、まずは明善寺庫裡郷土館の入口でチケットを購入します。
このチケットで郷土館内部の他、回廊で繋がれた明善寺の本堂にも入ることができます。

ちなみに庫裡(くり)とは寺院の食事の準備をする台所や居住する場所を意味しています。
この庫裡の一部が現在は一般の人も入ることができるでは郷土館となってなって公開されているのです。
ちなみに営業時間や入館料は以下の通り。閉館は意外と早い時間ですので見学の際は注意が必要です。
■明善寺庫裡郷土館
開館時間:
 4月~11月 8:30~17:00
 12月~3月 9:00~16:00
定休日:不定休
入館料:
 大人:400円
 小人:200円

入口でスリッパに履き替えて早速内部を見学です!

3.空間で体感する白川郷!白川郷最大の5階建ての建物がスゴい!

中に入ったらまずは上階の小屋裏空間を巡ります。
この小屋裏空間は4層にも渡って広がっていて、合掌造りの屋根を内部から体感できます。

白川郷では山々に囲まれた豪雪地帯にあるので、特に昔は冬になると周囲からは隔絶した孤島と化してしまいます。
合掌造りの建築は深く降り積もる雪に対する対策として60度近い急勾配になっているのですが、この急勾配の屋根によって生まれた小屋裏を活用して発達した煙硝(火薬)や養蚕をはじめとする家内工業が発展したのです。この家内工業は周囲から隔絶された集落である白川郷の人々な貴重な収入源でもありました。

建物内部ではそんな白川郷での生活を想像させる民具や養蚕のための設備が展示されています。
足元は内部の空気を循環させ、一階の囲炉裏の煙や暖気を屋根裏まで届けるように「すのこ」のような構造になっています。
間に張られた板の間を歩きながら見ていく展示はちょっとしたアトラクションのようです 笑

中々大きな展示品もあって、どれも興味深く見て周ります。
合掌造りの構造体は欅や檜といった木材が使われているのですが、囲炉裏の煙によって黒く光沢を帯びていてとっても味が出ています。
ちなみにこの合掌造りの構造は基本的には釘を一切使用しないでつくられているので、展示品を巡りながらどうやって組まれて支えられているかを見てみるのも楽しいです。

白川郷でのかつての生活が思い浮かぶような生活用具から、いったい何に使うのかわからない謎の器具まで楽しく見てまわれます。

また、内部から見る集落の景色も美しいです。当然白川郷では現代的な高層建築はないので、上空から見る景色はかなり貴重です。
どんどん階を上がっていくに連れて少しずつ変化していく景色を楽しみます。

内部を一通り見学した後は再び階段を降りて1階に戻ります。
ここから回廊を渡って明善寺の本堂内部に入ります。

4.茅葺合掌の超貴重なお寺の内部も見学!

明善寺は1736年(享保21年)真宗本願寺より門信徒が分かれて開基され、1748年(延享5年)に創立された由緒あるお寺です。
こちらの本堂は創立から約80年後の1827年(文化3年)に建てられたもので、建築に当たっては延べ9191人もの人を要したとされています。

合掌造り・茅葺屋根のお寺は全国でもかなり珍しいですが、内部は鈍く輝く彫刻や幽玄な襖絵など、本堂内部は静かながら迫力で満ちています。

また、「浜田泰介の世界」と題された浜田泰介氏による障壁画も見ごたえがあります。
日本国内だけでなく海外でも高く評価される日本画家で、世界遺産の醍醐寺や東寺の障壁画をはじめ数々の作品で知られていますが、明善寺では定番のモチーフでもある富士山をはじめ7点の作品を見ることができます。

本堂を堪能した後は庫裡に戻って、囲炉裏に当たりながらひと休憩。なるほど、ここの煙が小屋裏まで立ち上っていたのかと最後に納得しました 笑
実際に内部を訪れてみると見どころ満載、新しい発見の連続の大満足の建築見学となりました。

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白川郷明善寺
所在地:岐阜県大野郡白川村荻町679
アクセス:金沢駅よりバスで約1時間20分
竣工:1801年(鐘楼門)、1817年頃(庫裡郷土館)、1827年(本堂)


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