前川國男自邸は中まで体感できる木造モダニズム建築の傑作【東京小金井市】

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今回トリップする建築はこちら。

【東京】前川國男自邸1

建築家「前川國男自邸」です。
近代建築の3巨匠ル・コルビュジェの弟子にして、戦後の日本建築をリードしてきた建築家前川國男氏の自邸です。
この住宅は1942年に、品川区上大崎に建築されたものですが、現在は小金井市にある「江戸東京たてもの園」の中に移築され、誰でも内部に入り見学できるという超貴重な建築でもあります。
■前川國男とは
1905年生まれの日本の建築家で、日本にモダニズム建築を浸透させ、
1928年に東京帝国大学(現東京大学)建築学科を卒業したその夜にシベリア鉄道を乗り継ぎ単身フランスに渡り、当時モダニズムの建築家として世界的に注目されつつあったル・コルビュジエのアトリエで修業しました。
1930年に帰国した前川は、当時世界を変えつつあったモダニズムの建築を日本人として消化・発展させました。今回トリップする建築は太平洋戦争の真っ最中だった1942年、前川氏が38歳の時に完成させた建物です。資材も不足する中での建築でしたが、自邸ということで前川氏の建築家としての思想が最も反映された建物となっています。
【東京】前川國男自邸2
こちらが玄関です。和風な佇まいの中に、シンメトリーの構成と三角屋根と格子窓の組み合わせから幾何学的で美しい図形が浮かび上がってきます【東京】前川國男自邸3

 

 
建物の構成は入口にあったこちらのをみるとわかりやすいですね。
とてもシンプルな構成で、大屋根の中央部分を吹き抜けの居間として、両脇に書斎、女中部屋と寝室、浴室、台所などを配しています。

【東京】前川國男自邸4

この家の面白いところは、どこにいても次の空間が見え隠れし、歩みを進めてしまうところです。
門からのアプローチも直線ではなく、雁行して玄関もS字の構成になっています。
それでいて開口や光の効果でその先の空間が見え隠れします
師匠のル・コルビュジェは「建築的プロムナード」といって建築の中に動的な動きを取り入れましたが、前川はこれを小さな日本の住宅の空間の構成で実現しています。
【東京】前川國男自邸5

 

そして中心はサロンと呼ばれる吹き抜けのある居間です。
雁行した中歩みを進めていくと高い天井と前面から格子を通して振り込んでくる光に包まれまれる豊かな空間が現れます。

【東京】前川國男自邸6

限られた敷地を最大限に生かしながら、合理的な中に豊かで人間的な空間を作り出すというのはモダニズムが掲げた理想でしたが、前川氏はこれを日本の住宅で見事に実現してます。

鉄とガラス、近代建築5原則といった記号的なモダニズム建築の特徴はありませんが、前川氏なりにモダニズムの目指した理想を日本建築の中で達成しようとしたのだと思います。

 

特に後期のル・コルビュジエは、近代建築5原則内などよりも部と外部の関係や光の降り注ぐ豊かな空間について追求していました。
コルビュジエが74歳の時に設計したサン・ピエール教会は三角屋根の形状に光が降り注ぐ建築でした。
用途は住宅と教会と違えど、前川の自邸とサン・ピエール教会には不思議と近いものがあります。前川氏が自邸を設計したのは1942年ですが、この時から前川氏は表面的な近代建築の形式の先にある建築像をおぼろげながらとらえていたのではないでしょうか。

■まとめ
戦後の日本建築をリードした前川國男氏の自邸で日本モダニズムの傑作
小さな日本の住宅の中にある「建築的プロムナード」にも注目
■建築情報
名称:前川國男自邸
設計:前川國男
所在地:東京都品川区上大崎(現在は東京都小金井市桜町3-7-1江戸東京たてもの園内に移築)
最寄り駅:武蔵小金井駅よりバス5分
竣工:1942年


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