新橋「烏森神社」都心に建つデザイン神社をレポート

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今日は新橋駅西口にある烏森神社を見学してきましたのでその模様をレポートしたいと思います。
今から約1000年以上間に創建された歴史ある神社でありながら、コンクリート打ち放しのモダンなデザインが目を引く烏森神社。
いったいどんな建築だったのか、早速紹介していきたいと思います。

【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走

【この記事で分かること】
・烏森神社を実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・烏森神社の基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・烏森神社の建築的な見どころや注目ポイント

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1.新橋駅前に建つ歴史ある神社に注目

今回訪れたのが新橋駅西口からすぐの場所にある烏森神社。
SL広場から一本道を隔てた雑居ビル群の中に、鉄筋コンクリート造の一風変わったデザインの神社建築があると聞いて訪れてきました。

SL広場やニュー新橋ビルに隣接する柳通を渡って雑居ビル群の立ち並ぶ街区に入っていくと、早速特徴的な形の鳥居が目に入ってきます。
今まで見たことのないような独特な鳥居は1993年に神社のデザインを模して建てられたもの。

鳥居の奥に見えるのが、今回の目的地である烏森神社。
建築のデザインは建築家の郡菊夫氏によるもので、1971年の竣工です。
伝統的な神社の形とは一線を画す、独特の造形の神社に思わずテンションが上がってしまいます。

こんな大胆なデザインの烏森神社ですが意外とその歴史は古く、創建はなんと平安時代の940年。
江戸時代には「柳森神社」「椙森神社」と合わせて「江戸三森」と呼ばれるほど地域の人々の間では知られた神社だったそうです。

「烏森」といえば新橋駅の南口改札を出たところにある烏森口に現在でもその名を見ることができますが、もともとこのエリアは新橋が呼ばれるようになったのは昭和初期になってからだそうです。
元々この地は江戸湾を眼前に構える砂浜で、辺り一帯は松林でした。そのことからこのエリアは「枯州の森」「空州の森」と呼ばれていたそうですが、さらにその松林には烏が多く集まって巣をつくっていたそうで、ことから烏森と呼ばれるようになったそうです。
現在の新橋からはちょっと想像できませんが、豊かな自然とのどかな風景の広がる場所だったのでしょうね。

2.建築に注目!独特のデザインの社殿がスゴい

境内に入るとまず目に飛び込んでくるのが、独特のデザインの拝殿です。
神社建築というと伝統的な形式が決まっていて、神明造りや春日造りなどデザインが類型できるものですが、一見してそのどれにも分類できない神社にはビックリ。

この建築を見てまず初めに思ったのは去年訪れた白川郷の建築。日本のかつてあった集落のようなイメージが最初に思い浮かびました。
また、建築好きとしては建築家菊竹清訓氏がデザインした出雲大社庁の舎(1963年)や大谷幸夫氏による国立京都国際会館(1966年)のデザインも否応なしに頭に浮かびます。
出雲大社庁の舎も国立京都国際会館も烏森神社の竣工する少し前の1960年代に建築界で大きく話題になった建物ですから、恐らくこの2つの建物の影響は受けているのではないでしょうか。

白川郷の建築

これらがの建物が建てられた1960年代は、西洋の模倣から始まった日本の近代建築が1つの転換点を迎えようとしていた時期でもあります。
先ほど挙げた出雲大社では日本の稲架掛け(はざがけ)をイメージモチーフにして、西洋建築の発展形でもなく、日本の伝統建築の踏襲でもない、でもどこか日本の原風景にも通じるような新しいデザインが模索、提案されました。

大きく傾いた屋根とも壁とも言えないコンクリートのシルエットは、細かく見ていくと神社建築の象徴ともいえる千木(ちぎ)をシンボリックに変形したようにも見えますし、稲架掛け(はざがけ)のような日本古来の田園風景も想起させられます。
稲架掛けは刈り取った稲を三角形になるように架けて天日干しして乾燥させる工程。
稲架掛けは太陽からの光線や風による通気作用で稲を成熟させる古来からの知恵ですが、今から考えるとこれほど神社のイメージにぴったりなものはないようにも思えます。(これを当時の出雲大社で提案した菊竹清訓氏は凄すぎるとしか言いようがないですね)

烏森神社のルーツを辿ってみると、近代化以前の新橋はいくら交通の要所といってもまだまだ自然と共生するのどかな場所だったはず。
日本のどこにでもある田園風景も見られたでしょうし、案外刈り取られた稲を狙う烏が飛び回っていたかもしれません。
そうしてみると、この一見奇抜に見えるコンクリートの社殿も、烏森の地に建つべくして建った、非常に意味のあるデザインに思えてきます。

そういった視点で見ると、奇抜で唐突に見える烏森神社のデザインも、これまでの伝統建築を踏襲するだけではない、新たな日本らしい、烏森らしい神社のデザインとはどういったものかを突き詰めていった結果であることが伺えます。

こちらは拝殿の軒裏。コンクリートの建物ですから配線はかなり大変そうです。
最近の神社はどこもライティングに力を入れていますが、コンクリートだとどうしても配線の処理が大変になりますね 笑

拝殿の下も無駄なく使用されているのはさすがに都心の神社といった感じです。
他の神社では見られない工夫や配置が色々なところに見えるので、どこを見ても興味深い神社です。

3.小さいながら見どころの多い境内を散策!

社殿の他の建物もコンクリート打ち放しのデザインですが、よく見ると社殿に合わせた斜めの壁や庇がカッコいい建物です。
ついつい社殿に目が行きがちですが、境内の各建物も実にいい味を出しています。

ちなみに授与所でもらえる御朱印は、今では珍しくなくなったカラフルな御朱印。
烏森神社はカラー御朱印の元祖ともいわれています。

順番が前後してしまいましたが、社殿手前の手水舎も必見。
こちらは手水舎は屋根がなく、柄杓もない独特のデザインとなっています。ちょっとした彫刻作品のようです。

手水舎の手前にある神輿庫もダイナミックなデザイン。
2年に一度GWに行われる例大祭では、写真の神輿が新橋の町内を練り渡ります。

金色に輝く神輿は通称千貫神輿と言われ、昭和5年に神田・だし鉄こと神輿師の山本正太郎が制作したもの。
八つ棟型の大神輿はだし鉄の最高傑作ともいわれたそうで、他の神社ではなかなか見られない珍しいつくりです。

社殿から振り返ると、鳥居と神輿庫とでしっかり斜めの外形ラインが呼応しています。
最初は奇抜な神社だと思っていましたが、長くいると段々と神社全体の統一感や貫徹したデザインが感じられるようになるのが不思議なところ。

何気なく訪れた烏森神社ですが、思った以上に見どころ満載で、練りに練られたデザインを堪能することができました。
本当におススメの神社ですので、皆さんも機会があれば是非訪れてみて下さいね。

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烏森神社
設計:郡菊夫
所在地:東京都港区新橋2-15-5
アクセス:新橋駅より徒歩約3分
竣工:1971年(鳥居:1993年)
公式HP:http://karasumorijinja.or.jp/


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