神保町「学士会館」学士の集いとしてつくられた素敵な会館建築をレポート

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今回は東京神保町に建つ学士会館を訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。

【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走

【この記事で分かること】
・学士会館を実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・学士会館の基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・学士会館の建築的な見どころや注目ポイント

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1.格式高さと優雅さを漂わせながら、どこか親しみやすい建築を堪能

今回訪れた学士会館は、1923年に起きた関東大震災の復興建築として建てられた会館建築です。
元々は旧帝国系大学出身者(学士)の親睦・交流の為に建てられた建物ですが、近年ではドラマ半沢直樹の最終回のロケ地として使用されたことでも大きな注目を浴びました。

学士会館

元々この地は1877年に創設された東京大学の校舎が建っていた場所であり、その後本郷に移転し帝国大学と名を変えたことでキャンパス自体はなくなりましたが、大正時代に最初の会館が建設されました。
その後火災や関東大震災などの災害を経て、1928年に地上4階建ての現在の学士会館の建物がつくられることとなりました。

学士会館

外観は明るい基壇部分に対して軽やか且つ表情豊かな褐色のスクラッチタイルの外装が乗っていて、格式高さと優雅さが両立したデザインとなっています。
また、学士会館では当時最先端の様式として日本に持ち込まれたセセッションの影響が随所に反映されているのも見どころとなっています。

学士会館

上に行くに従って小さく形を変えていく開口部や、独特の形の影を落とす半円形の庇など、よく見ると可愛らしく豊かな仕掛けがたくさんあるのも注目ポイントです。

学士会館

ちなみに北側から見える雁行したような5階建て部分は、1937年に増築された新館です。
南西側の交差点からみると、地上からは旧館だけが見えるようにセットバックしていて、外観の主張は控えめです。

一見すると元からひとつの建物だったようにも見えますが、旧館のデザインを受け継ぎつつ、微妙にタイルなどに変化がつけられているのも面白いです。

4階と5階の間には本館の建物ラインに合わせて蛇腹状の装飾が施されていたりと、本館に寄り添うようなデザインとなっています。

シンプルだけれど格式高さと優雅さを身に纏い、どこか親しみも感じる建築は、見れば見るほどいろいろな発見がありとても面白いです。

2.歴史と伝統を感じながらとっておきのランチタイムを

今回はせっかくなので学士会館の1階にあるレストラン セブンズハウスでランチをいただきました。
セブンズハウスは旧館1階の南西側交差点に面した場所にあるレストランです。

学士会館

学士会館のエントランスはいくつかありますが、旧館の南西側のエントランスは元々正面玄関だったこともあり豪華な設えに目を奪われます。

石張りの重厚感のある階段をあがり、内部にお邪魔します。
建具の押し手や階段の手摺は金に輝いていて、重厚な石の内装によく映えます。

扉を開けると赤い絨毯と、人造石の柱、精巧な白いレリーフ天井など見どころ満載の空間が広がります。

柱は特にウィーン発のセセッション運動の影響を感じます。
石材を鋲で打ち付けたようなデザインは、気品を漂わせつつも、決して重くない軽やかで優雅な雰囲気に一役買っています。

大正末期から昭和初期らしい自由で優雅な新時代の感覚が内装から伝わってきます。
光の演出も魅力のひとつで、様々なタイプの照明や写真のような光壁、階段の修復に設けられた開口部など室内に様々な光と壁をもたらす演出が素敵です。

エントランスを入って右手にみえるのが、今回訪れたセブンズハウスです。

学士会館は2024年の末に閉館が決まっていることもあり、ここセブンズハウスもメニューや業態が少し変わりました。
私が訪れた時はランチは11:30〜14:00の時間でメニューはビーフカレーのみでした。
食事を楽しみたい場合は、上記の時間に合わせて訪れましょう。

セブンズハウス

ランチメニューのビーフカレーは、柔らかい牛肉と、じっくり煮込まれてルーに溶け込んだ野菜がマッチする絶品のお味でした。

ランチメニューには珈琲または紅茶がセットになっていて、濃厚なカレーを堪能した後はホット一息つきながら建物の内部空間を堪能しました。

レストランは1階といっても半階高い位置にあるので、通りの喧騒からは少し距離を置きつつ、微かに街の気配を感じることができます。

店内の天井まで伸びる大開口からはたっぷりの自然光が降り注いでいて、内装やテーブルの彫りの深い装飾が陰影豊かな表情を見せてくれます。

セブンズハウス

学士会館の建築をみていると影は光のない暗がりだけでなく、強い光があるからこそ、その表情をより豊かに見せてくれるのだと改めて実感させられます。

メニューはランチメニューの他にもスイーツメニューも豊富にあります。
こちらのクレーム・ブリュレは、セブンズハウスでも特に人気のスイーツです。
注文から少し時間はかかりますが、しばらくすると聞こえてくるバーナーで砂糖を焦がす独特の音と、独特の甘い香りが漂ってきて、期待感が高まります。

セブンズハウス

お皿いっぱいに広がったクレーム・ブリュレを頬張りながら珈琲を頂く時間はまさに至福のひと時です。

こちらの四角いガトーショコラ オペラは、フランスのオペラ座をモチーフにしたというフランスの伝統的なスイーツです。

セブンズハウス

丁寧に積み重ねられた断面と煌めくように輝く表面のチョコレートは、見ているだけで惚れ惚れしてしまう美しさですが、お味も絶品でした。

格調高くも落ち着ける素敵な空間と食事をたっぷりと堪能して、この日の建築巡りも大満足のものとなりました。
とてもオススメの建築ですので、皆さんも機会があれば是非訪れて、その空間と味を体験してみてくださいね。

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設計(旧館):高橋貞太郎+佐野利器
設計(新館):藤村朗
所在地:東京都千代田区神田錦町3-28
アクセス:神保町駅より徒歩約3分
竣工:1928年(旧館)、1937年(新館)
備考:登録有形文化財
公式HP:https://www.gakushikaikan.co.jp/


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