今回は埼玉県川越市に建つりそなコエドテラスを訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・りそなコエドテラスを実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・りそなコエドテラスの基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・りそなコエドテラスの建築的な見どころや注目ポイント
1.大正ロマンの雰囲気漂う川越のランドマーク建築を訪問
今日訪れたのは古き街並みが残ることでも有名な埼玉県の川越市です。
そんな川越で、埼玉りそな銀行川越支店として知られていた近代建築が、2024年5月に複合施設「りそなコエドテラス」としてリニューアルしたと聞き、早速訪れてきました。
江戸時代は城下町として栄え、明治に入ってからも重厚な蔵造りの商家が軒を連ねる小江戸川越の中でも、特に有名なのが一番街商店街です。
地元の人と観光客で常に賑わう一番街商店街の中腹な建つのが、今回の目的地であるりそなコエドテラスです。
白煉瓦のルネサンス調の建物は大正時代の1918年に建てられたもので、川越を代表する近代建築としても知られています。
この建物は、元々は埼玉県下で初めて設立された銀行である第八十五銀行の本店として建てられ、建物の設計は、建築家の保岡勝也が手掛けました。
保岡勝也は、日本銀行や東京駅を設計した辰野金吾の元で建築を学び、三菱で丸の内の「一丁倫敦」の設計を手掛けたのち1913年に保岡勝也建築事務所を立ち上げた建築家です。そんな保岡の独立後の最初の大仕事が川越での銀行建築の設計でした。
1915年に川越貯蓄銀行本店が建てられ、その後1918年にこちらの第八十五銀行(第八十五銀行はりそな銀行の前身のひとつ)本店が建てられることになります。
伝統的な蔵造りの街並みが水平に広がるのに対して、白い外壁と青銅のドームが天に伸びるように立ち上がっているのがとても印象的です。
鉄骨造3階建ての建物に塔屋が乗り、先端までの高さ約27mにもなる建物は、当時周辺では類を見ない大きさでした。
100年以上現役の銀行として使われていたこともあり、今回の改修で内部は大きくリニューアルされていますが、外観のデザインは昔の姿をよく残しています。
今回訪れた時は、夜にはさらに独特のレインボーカラーのライトアップがされていていますが、外壁からは単なる権威性の象徴ではなく、明るくモダンなデザインには大正時代らしさを感じます。
銀行建築といえば、オーダーと呼ばれ柱周りの装飾をはじめ西洋の古典主義建築を引用することが多いですが、この建築ではそうした引用は抑制され、端正なデザインが周りの伝統建築の重さと対比されてより際立っています。
1階の道路際は、CLOCK KITCHEN りそなコエドテラス店というキッキンスペースとなっています。
厨房設備が整えられた小さなキッキンスペースは曜日ごとに貸し出されていた、小さな飲食店が日替わりで営業しているのもユニークです。
2.レストラン・バーやシェアオフィスに生まれ変わった内部に注目
りそなコエドテラスへの改修で、内部は1階に埼玉の名産やお土産が並ぶセレクトショップやイベントスペース、金庫室を活用したギャラリー、2階はレストランやシェアオフィス、3階にはResona Kawagoe Base+という名のコワーキングスペースが配置されています。
1階のギャラリーは、銀行として使われていた時には滅多に入ることのできないお部屋でしたが、今回のリニューアルでギャラリーとして開放されました。
1階のお土産エリアのお隣には、地元産の食材を使ったピザが頂けるりそなコエドテラスPIZZA ECCOLA等が入っています。
今回頂いたのは、埼玉県の武州和牛のローストビーフと兎田ワイナリーのワインを使った焼肉ソースのピッツァ。
せっかくなのでドリンクは、秩父市のちちぶ路コーラを頂きました。
もちもちの生地とじっくりローストされた和牛がベストマッチのピッツァと、爽やかなコーラを堪能しました。
こちらは2階に入ってすぐのラウンジスペースです。
この日は、渋沢栄一の新一万円札発行を記念して、館内のギャラリースペースで企画展が行われていました。
改めてみる銀行と渋沢栄一との関係は興味深く、とても興味深かったです。
第八十五銀行は、時代と共に埼玉銀行川越支店、あさひ銀行川越支店、埼玉りそな銀行川越支店と、時代によって名前を変えつつも地域の銀行として市民に親しまれてきました。
この旧頭取室はレストランの一部としても使われていますが、予約等が入っていない時間は自由に見学できます。
内部は幾度となく改修が行われてきましたが、銀行時代の記憶が随所に見て取れるのも面白いです。
銀行時代には外から窺い知ることしかできませんでしたが、机に座って記念撮影することもできます。
窓から見える川越の街は、車が行き交いスマホを操作する人が見られる一方、蔵造りの商家が立ち並ぶ何とも不思議な光景です。
この日はBar Azzurriで休憩タイム。せっかくなのでテラス席を使わせてもらいました。
夜風に当たりながらアイスとカフェオレでほっと一息をつきました。 他にもレストランでは地元埼玉の食材をふんだんに使ったイタリアンを楽しめます。
テラス席の先は展望デッキになっていて、一番街を一望できます。
昼間は観光客で賑わう川越の街ですが、夜は驚くほど静かなのが印象的でした。
2階の奥のスペースはミーティングルームやシェアオフィスとして使われていて、地元のビジネスを支え活性化する新たな拠点が目指されています。
川越は商家により発展してきた街であり、そらに合わせて銀行も発展してきました。
この建物はりそなの建物だったこともあり、こうしたビジネススペースではりそなの行員が相談にのったりとその強みや繋がりが活かされているのもユニークです。
素敵な建築をたっぷりと堪能して、この日の建築巡りも大満足のものとなりました。
とてもオススメのスポットですので、皆さんも機会があれば是非訪れてみてくださいね。
りそなコエドテラス(旧第八十五銀行)
設計:保岡勝也
所在地:埼玉県川越市幸町4-1
アクセス:本川越駅より徒歩約12分
竣工:1918年(2024年改修)
備考:登録有形文化財
公式HP:https://www.saitamaresona.co.jp/labtama/koedo-terrace/
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