今日は埼玉県の桶川市にあるさいたま文学館・桶川市民ホールを訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・さいたま文学館を実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・さいたま文学館の基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・さいたま文学館の建築的な見どころや注目ポイント
1.埼玉県唯一の公立の総合文学館、さいたま文学館を見学
今年はこのブログでも東京都内の文学館を多く紹介していますが、今日訪れたのは東京から少しだけ北上した埼玉県桶川市に建つさいたま文学館です。
さいたま文学館はJR大宮駅の4つ隣のJR桶川駅の駅前すぐのところに建つ文学館で、埼玉県にゆかりのある小説家や文化人に関する資料や作品を中心に展示する埼玉県で唯一の公立の文学館です。
建物の設計を手掛けたのは、このブログでも何度も作品を取り上げている建築家の柳澤孝彦氏ということで、少々浮足立ちながら訪れてきました。
柳澤孝彦氏は元々は竹中工務店に所属しており、新国立劇場(1997年竣工)のコンペで最優秀賞に選ばれたことをきっかけに独立した建築家でもあります。
代表作である江東区の東京都現代美術館(1994年竣工)や東京オペラシティ(1999年竣工)、先日紹介した江東区の一葉記念館(2006年竣工)など多くの文化施設の設計でも知られています。
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こちらの施設の指名コンペが行われたのも柳澤氏が竹中工務店に在籍していた1983年。
施設のオープンは1997年なのでコンペでの1等案選出から実に14年も経っていることになります。
様々な調整や検討、またバブル崩壊などの出来事も影響していたとは思いますが、公共施設ができるまでには様々な手続きが必要なことに改めて驚きます。
さいたま文学館は、県立の文学館と市立の桶川市民ホールが一体となって一つの建物として計画されてあることも特徴の一つ。
この建物は県と市の大小様々な所室が大きなリング状の回廊によって繋がれ、人繋がりになっているのが特徴となっています。
建物は4方が道路と駅西口公園に囲まれた敷地となっていますが、リング状の回廊がそのまま建物の外観にも反映されていて、正面がなく様々な方面からアクセスできる市民に開いた優しい表情の施設としてデザインされています。
2.内部を見学!様々な機能をリングがまとめ一つなぎにまとめるデザインが面白い
ひとしきり外観を見学した後は、東側のエントランスから建物の中へ入ります。
この施設は主にさいたま文学館と桶川市民ホールの2つの施設が入っていますが、中に入ると大きな吹抜けの共用のロビーが広がっています。
ロビーは建物の内部と外部の境界にもなっているリング状の回廊の内側に広がっていて、高い天井高に視線が抜ける開放的なデザインです。
リング状の回廊は建物の周りをきれいに一周まわっていて、回廊の内側に文学館や大小のホール、展示室や会議室がそれぞれ配置されています。
エントランスの向かって右側がさいたま文学館となっています。
さいたま文学館は、奥に見える1階の展示スペースと、地下の展示スペース、文学ホールと呼ばれる小ホールなどで構成されています。
まずは1階の受付でチケットを購入。
チケットは一般210円とかなりリーズナブルです。
入ってすぐの1階は埼玉に関連する作品や資料が展示されていて、大きな模型やディスプレイなどで分かりやすく解説されています。
地下部分には、文学館が収蔵する貴重な資料の他、文学作品の朗読を立体音響で体験できるコーナーや、展示内容に関連するクイズコーナーなど体験型の展示が多くあり、思った以上に楽しめました。
1980年代に計画が始まり、1997年に完成したさいたま文学館は、コンピューターの導入やハイテックなどの建築潮流の影響も残っていて、今見るとそこが新鮮にも感じられます。
1階と地下をつなぐ階段の手前には、この時行われていた「桃太郎侍生みの親 山手樹一郎の世界」展との連動企画で、「桃太郎侍」や「遠山の金さん」の原作者である山手樹一郎氏の書斎が再現されたコーナーも設けられていて、記念写真スポットとなっていました。
この後もレポートしますが、さいたま文学館は展示と連動したユニークな展示や企画を多く行っている文学館としても知られています。
3.人間椅子を体験!展示に併せて催される企画にも注目
この日は、建築の他にもさいたま文学館で行われていた「人間椅子」の体験イベントが行われていて、こちらの企画も目的の一つでした。
この日のさいたま文学館の見学は、埼玉に住む文学好きの友達が企画してくれたのですが、その友達が面白そうだといって見つけてきてくれたのがこのイベントでした。
「人間椅子」の体験コーナーは展示スペースに隣接する小ホールのステージで行われていました。
江戸川乱歩の小説に出てくる人間椅子の話は、女性がある男から告白形式の手紙を受け取り、読み進めるというもの。
そしてその告白というのが、その男が椅子の中に入り、そこに座る女性の感触を味わっていて・・・という奇怪でゾッとするようなダークな作品ですが、今回の企画はその「人間椅子」の再現。
さいたま文学館が独自に再現した椅子で、椅子に座る側はもちろん、人間椅子の中に入り込む側も体験できるというものでした。
友達数人でいったこともあり、座る側、座られる側の両方で今まで味わったことのない不思議な感覚を味わえておお盛り上がりでした。
このようにさいたま文学館では、ユニークな企画で度々話題になっていて、東京の文学館では味わえない催しを体験できることも多いので、訪れる際は是非ホームページなどで事前に情報を仕入れておくことをオススメします。
最後にリングを一周しながらその他の施設を見学。
リングの中には図書館があったり、様々な大きさの貸室があったりして、近隣の人達によく使われているようでした。
建築も展示もたっぷりと堪能して、この日の建築巡りも大満足で終了しました。
人がまばらなのがもったいないくらいオススメの建築ですので、皆さんも機会があれば是非訪れてみてくださいね。
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さいたま文学館・桶川市民ホール
設計:柳澤孝彦+TAK建築研究所
所在地:埼玉県桶川市若宮1-5-9
アクセス:桶川駅より徒歩約5分
竣工:1997年
開館時間:
ホール・研修室:9:00~21:00(日曜・祝日は~17:00)
図書室・展示室:10:00~17:30
休館日:月曜、第4火曜
公式HP:http://www.saitama-bungakukan.org/
※記載している営業時間や金額は記事執筆時点のものです。変更となっている場合もありますので、訪れる際は公式HP等をご確認ください。
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