今日は東京の虎ノ門エリアで建築巡りをしてきましたので、そこで出会ったオススメの建築についてレポートしたいと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・虎ノ門エリアでの建築巡りを写真と文字でレポート
・虎ノ門エリアの著名な建築家がデザインした建築や歴史のある近代建築をまとめ
・虎ノ門エリアの建築の見どころや注目ポイントを解説
1.虎ノ門ヒルズ森タワー(日本設計)
まず初めに紹介する虎ノ門ヒルズは森ビルが開発を行う超高層タワー群で、全てが完成すると総延床面積80万m²ともなる虎ノ門エリアの一大再開発プロジェクトです。
先行して2014年に完成したこちらの虎ノ門ヒルズ森タワーは、地上52階地下5階建て高さ約247mの事務所、住宅、ホテル、商業施設等の複合施設で2022年現在、東京で最も高い建築となっています。
地下に走る道路の線形を取り入れつつ水平方向に伸びやかに向かう高層部と、地形を取り入れつつ街とのつながりを意識して水平方向に繋がる低層部のどちらもが緻密な検討と高度な技術によって高レベルに実現しています。
設計:日本設計
所在地:東京都港区虎ノ門1-23
アクセス:虎ノ門ヒルズ駅より徒歩約1分
竣工:2014年
備考:2015年度グッドデザイン賞
2.虎ノ門ヒルズビジネスタワー
森タワーの向かいに建つ虎ノ門ヒルズビジネスタワーは地上36階地下3階建て高さ約183mのオフィスと商業施設の複合施設です。
空中に浮かぶような白いスラブが末広がりに広がるデザインが特徴で、緑あふれる低層部はまさに都市スケールの自然をもたらしているように見えます。
また、3階にはいる26もの店舗が集まった虎ノ門横丁はSUPPOSE DESIGN OFFICEがデザインを手掛けた注目のスポット。
オフィスの足元に現れる路地状の空間には、「はしごカウンター」や「寄合席」などの面白い仕掛けも満載で、彷徨うように飲み屋街を渡り歩く楽しさが体験できます。
設計:森ビル
外装デザイン:インゲンホーフェン・アーキテクツ
商業施設内装設計:片山正通氏/ワンダーウォール
虎ノ門横丁設計:SUPPOSE DESIGN OFFICE
所在地:東京都港区虎ノ門1-17-1
アクセス:虎ノ門ヒルズ駅より徒歩約1分
竣工:2020年
3.虎ノ門ヒルズ ステーションタワー
2023年の10月にオープンした虎ノ門ヒルズ ステーションタワーは、地上49階地下4階建て高さ約266mの超高層複合施設です。
結節点をコンセプトに、建物と一体的に整備された地下鉄駅や地上部分の動線の他、建物間をつなぐデッキや周辺環境も含めた多様な要素を組み入れ、それらが交わる場所としてデザインされた建築は、巨大なボリュームを有しながら単なる箱ではない新たな建築像が目指されています。
地下から地上、そして上空まで3次元的に展開し、人の流れや光や風といった様々な要素がミックスする空間はとても刺激的です。
一体的に整備された低層棟のグラスロックや裏手に建つ江戸見坂テラスもそれぞれ個性的なデザインとなっていて、2023年はエリア全体が新たな街に変容した年となりました。
東京を代表する大規模再開が、今後の都市再開や建築のあり方にどう影響を与え、どう評価されていくのかにも注目です。
デザイン:重松象平/OMA
設計:森ビル、久米設計(江戸見坂テラス)
所在地:東京都港区虎ノ門2-6-1他
アクセス:虎ノ門ヒルズ駅より徒歩約1分
竣工:2023年
4.日本基督教団芝教会(大林組)
虎ノ門ヒルズビジネスタワーの足元に建つ日本基督教団芝教会は、明治初期の1874年に創設された日本で最も古いプロテスタント教会です。
先代の教会は建築家の間野貞吉氏が設計した1936年竣工の建物でしたが、今回の再開発で残念ながら建て替えることになり、間野貞吉の身を置いていた大林組の設計で新たな教会が建てられました。
コンクリートによるスタイリッシュなデザインが印象的な教会は、周囲の喧騒から切り離された深淵な内部空間をつくりつつ、その隙間から光や風、人々を内部へと誘います。
設計:大林組
所在地:東京都港区虎ノ門1-17-3
アクセス:虎ノ門ヒルズ駅より徒歩約1分
竣工:2019年
5.虎ノ門 大坂屋砂場 本店
虎ノ門 大坂屋砂場 本店は、虎ノ門のビル群の谷間の角地に建つ老舗の蕎麦屋です。
今から100年前の1923年に建てられた店舗は、戦火や再開発を奇跡的に免れ、2020年には道路の拡張工事に伴い建物を4m曳家で移動しつてその姿を現代に残しています。
大正時代の雰囲気を今に伝えつつ、交差点の見え方を意識して3方向どこから見ても美しい建物は、100年の歴史の積み重なったランドマークとなっています。
所在地:東京都港区虎ノ門1-21
アクセス:虎ノ門駅より徒歩約3分
竣工:1923年
備考:登録有形文化財
6.虎ノ門NNビル(槇文彦)
虎ノ門二丁目の交差点に建つ虎ノ門NNビルは、地上12階地下1階建てのテナントビルです。
前面のマッカーサー道路に呼応するような水平窓が特徴的な建物は、竣工時は前面の敷地に低層のボリュームがついていましたが、現在は道路拡張によって解体されて接続部分はガラスのカーテンウォールになっています。
風景に溶け込むような控えめなデザインの中にシャープなエッジが美しい虎ノ門の隠れた名建築です。
設計:槇文彦/槇総合計画事務所
所在地:東京都港区虎ノ門1-21-17
アクセス:虎ノ門ヒルズ駅より徒歩約1分
竣工:1981年
7.金刀比羅宮 虎ノ門
続いて紹介する金刀比羅宮 虎ノ門は江戸時代初期の1660年に創建された神社です。
旧社殿は残念ながら戦禍によって焼失してしまいましたが、1951年に再建がなされました。
この建築が面白いのは2004年に建てられた虎ノ門琴平タワーの足元に建ち、神社を残しながら高さ約115mの超高層オフィスが計画されていること。
伝統的な神社と現代的なオフィスが対比するようにデザインされているのも注目ポイントで、大きなピロティは一種の鳥居のように見えます。
現代的な高層ビルのピロティを通ることで、まるでタイムトリップするかのように古くから継承される神社の空間に気持ちが切り替わります。
都心の真ん中で時代を超越して当時の建築を堪能できる、まさに隠れ建築パワースポットスポットです。
設計:伊東忠太(拝殿/設計校閲)、日建設計(虎ノ門琴平タワー)
所在地:東京都港区虎ノ門1-2-7
アクセス:虎ノ門駅徒歩約1分、虎ノ門ヒルズ駅徒歩約3分、霞ケ関駅徒歩約5分
竣工:1821年(鳥居)、1951年再建(拝殿)、1983年(本殿)、2004年(虎ノ門琴平タワー)
公式HP:http://www.konpira.or.jp/
備考:東京都選定歴史的建造物
8.虎の門病院(佐藤総合計画)
虎ノ門病院は、819床の病床をもつ地上19階地下3階建て、高さ約90mの総合病院です。
建物のボリューム全体にデザインされた垂直リブによる繊細で日本的な立面デザインが特徴で、白とグレーの2種類に塗り分けられたリブは見る方向によって様々にその表情を変化させます。
現代的なオフィスビルがひしめき、国際色豊かな虎ノ門らしい新たな病院のイメージをつくり出した注目病院です。
設計:佐藤総合計画
所在地:東京都港区虎ノ門2-2-2
アクセス:虎ノ門ヒルズ駅より徒歩約4分
竣工:2019年
9.虎ノ門ツインビルディング(日本設計)
虎ノ門ツインビルディング(旧新日鉱ビルディング)はその名の通り2つの独立したオフィスビルで構成される地上20階地下2階建て高さ約80mのオフィスビルです。
2つのビルを繋ぐ巨大なアトリウムや、建物を高層化した分足元に豊かな空地を設けるなど、日本設計(当時は日本設計事務所)が培ってきた超高層ビルのノウハウと精神が結実したような建物となっています。
設計:日本設計
所在地:東京都港区虎ノ門2-10-2
アクセス:虎ノ門ヒルズ駅より徒歩約4分、神谷町駅より徒歩約8分
竣工:1988年
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10.大倉集古館(伊東忠太)
虎ノ門ヒルズ駅からほどなく歩いたところに建つ大倉集古館は明治~大正期に活躍した実業家大倉喜八郎氏が創設した日本で最初の私設美術館です。
初代の建物が関東大震災で倒壊てしまいましたが、二代目の建物の設計を手掛けたのが建築史家の伊東忠太氏。
当時の本格的な海外建築といえば西洋建築を引用した建物が大勢だった中、中国を中心に広くインドやアジア諸国のデザインを取り入れた建築は伊東忠太氏ならではです。
現在は残っているのは一部のみですが、天井から装飾まで、細かい意匠も見どころ満載の建築となっています。
設計:伊東忠太
所在地:東京都港区虎ノ門2-10-3
アクセス:虎ノ門ヒルズ駅より徒歩約6分、六本木一丁目駅より徒歩約5分、神谷町駅より徒歩約7分
竣工:1927年
開館時間:10:00~17:00
休館日:月曜、年末年始、展示替期間
入館料:大人1000円、大学生・高校生:800円、中学生以下無料
公式HP:https://www.shukokan.org/
備考:登録有形文化財
11&12.The Okura Tokyo(虎ノ門2-10計画設計共同体)
The Okura Tokyoは、50年以上の歴史のあるホテルオークラ東京の建替えブロシェットで、ホテルとオフィスのはいる41階建てのオークラプレステージタワーと、ホテルのみの17階建てのオークラヘリテージウイングと足元の広場で構成されています。
建替え前の旧建物で建築家の谷口吉郎氏が設計を担当したメインロビーを、息子であり世界的な建築家である谷口吉生氏が受け継いでデザインするなど、見どころは満載。
研ぎ澄まされたシャープなデザインと、広場や周囲の環境を巧みに取り入れながら街と連続するようなデザインが融合した世界に誇れる一流ホテルとなっています。
設計:虎ノ門2-10計画設計共同体(大成建設、谷口建築設計研究所、観光企画設計、日本設計、森村設計、NTTファシリティーズ)
所在地:東京都港区虎ノ門2-10-4
アクセス:虎ノ門ヒルズ駅より徒歩約6分、神谷町駅より徒歩約6分
竣工:2019年
備考:2022年日本建築学会作品選奨
第62回BCS賞
□ホテルオークラ東京 別館
The Okura Tokyoの向かいの敷地に建つホテルオークラ東京 別館は、日本の伝統建築を思わせる水平庇とモダニズム建築が融合した建物。
The Okura Tokyo竣工後も残されていましたが、この記事執筆時点で残念ながら解体工事が始まっているようです。(2023年解体)
設計:谷口吉郎建築設計研究所+丸の内建築事務所+観光企画設計社
所在地:東京都港区六本木1-10-16
アクセス:虎ノ門ヒルズ駅より徒歩約7分、神谷町駅より徒歩約6分
竣工:1973年
備考:2023年解体
13.菊池寛実記念 智美術館(坂倉建築研究所)
菊池寛実記念 智美術館はThe Okura Tokyoから東へ程なく歩いた坂の途中に建つ西久保ビルの1階・地下1階にはいる美術館。
ガラスや金属を使った現代的な建物が多い虎ノ門において、淡い石張りの上品な佇まいが目を引きます。
石による堅牢で安心感のあるイメージと、抽象化された軽やかな和のイメージが融合したデザインがとても魅力的な建物となっています。
また、すぐ裏手に建つ別館(旧菊池寛実邸)は、今から100年近く前に建てられた山荘風の邸宅。
この日は外観のみの見学となりましたが、内部の公開イベントなども不定期で開かれているようなので、こまめにチェックしていつか内部を見学したいです。
設計:坂倉建築研究所(西久保ビル)
所在地:東京都港区虎ノ門4-1-35
アクセス:虎ノ門ヒルズ駅より徒歩約8分、神谷町駅より徒歩約6分
竣工:2003年(西久保ビル)、1924年(別館)
備考:登録有形文化財
14.神谷町トラストタワー(安井建築設計事務所+清水建設)
神谷町トラストタワーは、桜田通りから道路を一本入ったところに建つ地上37階地下4階建てのオフィス、ホテル、商業施設、ホール等の複合施設です。
ゲートをモチーフにしたという門型のフレームに、そびえ立つ木々のようにも見える垂直の外装が印象的な建物は、元々の足元の地形を活かした豊かな自然や裏手の神社など、様々な要素が融合し多様な表情を持っています。
上層部に入るホテル東京エディション虎ノ門は、森のようなホテルをコンセプトに隈研吾建築都市設計事務所がデザインわー手掛けるなど、見所が満載の建物です。
設計:安井建築設計事務所+清水建設
インテリアデザイン
ホテル:隈研吾建築都市設計事務所
ラウンジ:ゲンスラー・アンド・アソシエイツ・インターナショナル・リミテッド
オフィス・基準階共用部:フィールドフォーデザインオフィス
ランドスケープデザイン:ランドスケープ・プラス
所在地: 東京都港区虎ノ門4-1-1
アクセス:虎ノ門ヒルズ駅より徒歩約5分、神谷町駅より徒歩約3分
竣工:2020年
15.日本財団ビル(旧NCRビルディング)
日本財団ビル(旧NCRビルディング)は、虎ノ門の北西エリアの3角形の敷地に建つ地上8階地下4階建てのオフィスビルです。
北側にエレベーターやホールを納めた三角形のコアをまとめ、2本の道路に沿ったV字型に執務室が配置された建物は、日本初となるダブルスキンの外装が採用されことでも有名です。
建物を取り囲む道路に呼応するような水平の外装材とガラスによって、正面性をなくしつつもどこからアクセスしてもこのビルらしい外観となっているのがユニークです。
設計:吉村順三設計事務所
改修設計:松田平田設計
所在地:東京都港区赤坂1-2-2
アクセス:虎ノ門駅より徒歩約4分
竣工:1962年(2001年改修)
備考:第5回BCS賞
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