今回は東京巣鴨エリアで建築巡りをしてきましたので、そこで出会った名建築をレポートしたいと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・巣鴨エリアでの建築巡りを写真と文字でレポート
・巣鴨エリアの著名な建築家がデザインした建築や歴史のある近代建築をまとめ
・巣鴨エリアの建築の見どころや注目ポイントを解説
1.巣鴨警察署巣鴨駅前交番
まずはじめに紹介する巣鴨警察署巣鴨駅前交番は、巣鴨駅のロータリーに隣接して建つ交番です。
1990年代は交番のデザインに建築家を起用した交番が都内各地に建てられましたが、こちらの交番もそのひとつです。
工業製品によってシンプル且つ合理的に建物を構成しつつ、親しみやすさと浮遊感を感じる庇が軽やかに市民を受け入れるようなデザインとなっているのが素敵です。
設計:森田克弥+川又美由喜/アーキベスタ
所在地:東京都豊島区巣鴨2-1-1
アクセス:巣鴨駅より徒歩約1分
竣工:1995年
2.高岩寺(とげぬき地蔵)
とげぬき地蔵の名でも知られる高岩寺は、1596年(慶長元年)に湯島に開かれた由緒ある神社で、巣鴨には1891年(明治24年)に移転してきました。
現在の本堂は1957年に建てられたもので、東北大学教授で戦後の鉄筋コンクリート寺院にも造詣が深い横山秀哉氏が設計を手掛けました。
地下に事務機能をまとめ、シンプルな装飾と平屋の深い軒でまとめられた本堂は、住宅地のスケールの日常的な感覚の延長にあるような佇まいで巣鴨の地によく馴染んでいるようでした。
設計:横山秀哉(本堂)
所在地:東京都豊島区巣鴨3-35-2
アクセス:巣鴨駅より徒歩約7分
竣工:1957年(本堂)
備考:登録有形文化財
3.小鮒ネーム刺繍店本店
小鮒ネーム刺繍店本店は、中山道の大通り沿いに建つ刺繍・カケハギ(穴や傷の修復)の専門店です。
地上4階地下1階建ての建築が建つのは道路の拡幅によって削られた敷地面積14㎡ほどの狭小地。
諸機能をコンパクトに積層させつつ、建物が看板広告のようにデザインされているのが面白いです。狭小地に建つ建築では広尾の旧Billboard Buildingを紹介しましたが、ビルボード具合ではこちらの建築も負けていません。
設計:石田敏明建築設計事務所
所在地:東京都豊島区巣鴨4-26-16
アクセス:巣鴨駅より徒歩約10分
竣工:1999年
4.Layer-apartments
Layer-apartmentsは、巣鴨の完成な住宅地に建つ地上4階建て賃貸5戸+オーナー住戸からなる集合住宅です。
間口に対して極端に奥行きのある敷地に建てられた建物は、グリッド状にきられた空間の境によっていくつものレイヤーが浮かび上がるようなデザインとなっています。
コンクリートのグリッドによるデザインは、以前紹介した西葛西APARTMENTS-2(ゴンノベーカリーマーケット)と同じ手法が用いられているのも面白く、都心の狭小地で空間の区切りと抜け感を両立させる駒田建築設計事務所の手腕が発揮されています。
設計:駒田建築設計事務所
所在地:東京都豊島区巣鴨5
アクセス:巣鴨駅より徒歩約12分
竣工:2018年
5.萬年山 勝林寺
萬年山 勝林寺は1615年に湯島で開山された由緒ある寺院で、1908年、1941年など複数の移転を経て染井霊園に隣接する現在の地に落ち着きました。
2016年には本堂を中心とした建替え工事が行なわれ、手塚貴晴氏・手塚由比氏率いる手塚建築研究所がデザインを手掛けました。
本堂の2重の深い庇や庫裏の裳階などの古来から伝わる伝統や知恵、金物を極力使わない嵌合にこだわりつつ、現代の技術やデザインが融合された建築からは、歴史や伝統を未来に受け継ぎバトンタッチしていく意志を感じます。
設計:手塚建築研究所(本堂・庫裏)
所在地:東京都豊島区駒込7-4-14
アクセス:巣鴨駅より徒歩約15分
竣工:2016年
備考:2019年度グッドデザイン賞
6.西方寺銅門塀
西方寺銅門塀は、1622年に台東区の浅草で開山した由緒ある寺院で、1927年に現在の場所に移転しました。
2022年には西方寺に納められる「銅鏡」と寺のマスコット「見返り招き猫」をモーフにした銅門塀が完成しました。
135°に捻られた140枚の銅板が並べられた門塀は、あの世とこの世の境界を象徴しつつ、見る角度によって青から緑へと色合いが変化する幽遠なデザインとなっています。
設計:松島潤平建築設計事務所
所在地:東京都豊島区西巣鴨4-8
アクセス:西巣鴨駅より徒歩約2分
竣工:2022年
7.豊島区立巣鴨北中学校
豊島区立巣鴨北中学校は、老朽化した旧校舎を建て替えて2019年に誕生した区立の中学校の新校舎です。
元の学校のシンボルであったれんが通りをデザインで継承しつつ、ガラスや金属を用いたスタイリッシュなデザインとなっているのが特徴で、歴史や伝統を引き継ぎつつこれからの時代にふさわしい現代性を兼ね備えた校舎となっています。
金属製の門扉のデザインなど堅実さのなかにさりげないデザイン性がしっかり埋め込まれているのも魅力的です。
設計:岡田新一設計事務所
所在地:東京都豊島区南池袋2-45-1
アクセス:西巣鴨駅より徒歩約3分
竣工:2019年
8.大正大学
大正大学は1885年に設立された 天台宗大学をルーツにもつ仏教系の大学です。
2010年代〜20年代にかけては3号館、15号館、8号館といった新校舎が完成し、いずれもグッドデザイン賞を受賞するなどキャンパスの整備が進んでいます。
明るく開放的なデザインで大学の顔としての役割を担う3号館は、スタイリッシュな中に深い庇や市松模様の立面など日本的な要素が上手くデザインされています。
道路を挟んだ向かいに建つ学生寮の15号館は仏塔をモチーフにしつつ、内部では家具をうまく使いつつ住民の交流・シェアスペースがデザインされています。
また、2020年に誕生した8号館も伝統や宗教といった要素をうまく抽象化しつつ陰影豊かで美しい校舎が実現していて、魅力的な校舎群が形づくられています。
設計:石本建築事務所(3号館)、大林組(8号館、15号館)
所在地:東京都豊島区西巣鴨3-20-1他
アクセス:西巣鴨駅より徒歩約3分
竣工:2012年(3号館)、2016年(15号館)、2020年(8号館)
備考:2012年度グッドデザイン賞(3号館)
2017年度グッドデザイン賞(15号館)
2021年度グッドデザイン賞(8号館)
9.すがも鴨台観音堂
すがも鴨台観音堂は大正大学のキャンパス内に建てられた宗教施設です。
正面の入口から往路と復路が交わることなく巻き上がる二重螺旋構造の建物といえば福島のさざえ堂が有名ですが、こちらの建物も「鴨台さざえ堂」の愛称でも親しまれています。
参拝は自由に一般の人でも行えて、一方通行で天に巻き上げられるように上階に登りそのまま地上に戻ってくる不思議な空間を体験できるオススメのスポットです。
設計:大林組
所在地:東京都豊島区西巣鴨3-19-1
アクセス:西巣鴨駅より徒歩約4分
竣工:2013年
10.亀の子束子西尾商店
亀の子束子(かめのこたわし)西尾商店は、1907年に創業した老舗のたわし店です。
築100年を超える建物は、重厚で堅牢さを感じさせつつ、どこか外国の古民家を思わせる親しみのもてるデザインとなっています。
派手さはないものの、各部のちょっとした装飾や細かい凹凸などに丁寧な仕事ぶりが表れる西巣鴨・滝野川の貴重な近代建築です。
所在地:東京都北区滝野川6-14-8
アクセス:西巣鴨駅より徒歩約5分
竣工:1922年
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