映画と建築の両方が堪能できる都内のミニシアター10選【東京】

建築巡りまとめ

みなさんミニシアターで映画を見たことはありますか?
ミニシアターではシネコンンなど大手の映画会社による超大作や話題の映画とは少し異なった、各映画館が独自でセレクトした作品が上映されています。
そしてミニシアターは映画館という文化の発信装置であることと、そのサイズから有名な建築家による設計のものも多くあり、よい映画を観つつよい建築も味わえてしまうというとてもお得なスポットでもあるのです。

ここでは私が訪れた中から、東京都内の有名建築家がデザインしたミニシアター・映画施設を10建築厳選しましたので今後の映画鑑賞・建築見学の参考にしてもらえればと思います。

①旧有楽町そごう/角川シネマ(村野藤吾)

最初に紹介するのは有楽町のビッグカメラがある読売会館の8階の「角川シネマ有楽町」です。
この建物は昭和の日本を代表する建築家村野藤吾の設計で、元々は有楽町そごうとして街のランドマーク的な建築でしたが、2000年のそごうの閉店に伴い現在はビッグカメラとなっています。
邦画とアニメ作品の上映が多い角川シネマですが、こちらの有楽町は海外作品の上映も多いのが特徴です。上品でセンスの良い映画を見たい方に特におススメです。
改修され当時の面影が無くなっている部分も多いですが、7階のよみうりホールの内部空間やトイレに向かう通路の部分などからこのガラスの空間を体験できるので、訪れた際は欠かさず見てみることをおススメします。

3方を道路に囲まれている敷地に敷地の形に沿って建物が立ちあがっていますが、もともとは白のモザイクタイルによる外装でした。
現在は改修を経てLEDの埋め込まれた黒のアルミパネルが中心になっています。
線路側は水平ラインが強調されるガラスの外装が特徴的で、線路に対してアピールすることが意図されています。
JRのホームからもよく見えるので、地上からだけでなく行きか帰りはホームを少し移動しながら線路側の外装も見学してみることをおススメします。

設計: 村野藤吾
所在地:東京都千代田区有楽町1-11-1
最寄り駅:有楽町駅徒歩1分
竣工:1957年
スクリーン数:1
客席数:237席
HP:http://www.kadokawa-cinema.jp/yurakucho/

②岩波神保町ビル 岩波ホール(芦原義信)

岩波神保町ビル 岩波ホールは神田神保町交差点の一角に建つ芦原義信氏設計の建物の10階に入るシアターです。
こちらのシアターはもともとはは多目的ホールとして計画されていましたが、1970年代から主に映画館として利用されるようになった経緯があります。一見すると分りづらいですが、想像建物自体は竣工から半世紀以上建つ、歴史的にも価値のある建築です。
岩波ホールは映画文化の発展を掲げ欧米以外の国々の名作を数多く取り上げたり、日本で初めて各回完全入れ替え制を実施するなど、映画文化の発展を支えてきました。

多目的ホールとしての名残を随所に感じることができ、特に内観はコンサートホールのホワイエのように上品です。
これから始まる映画への期待感を増加させたり、観終わった映画のあれこれに思いをはせるのにピッタリの空間となっています。

設計:芦原義信
所在地:東京都千代田区神田神保町2-1
最寄り駅:神保町駅徒歩1分
竣工:1968年
スクリーン数:1
客席数:220席
HP:http://www.iwanami-hall.com/

③アテネ・フランセ文化センター(吉阪隆正)

アテネ・フランセ文化センターは近代建築の巨匠であり、世界遺産にも登録されたル・コルジュジエの弟子である吉阪隆氏が設計したアテネ・フランセの4階にあるシアターです。
映画による国際交流を目的にフランス映画を中心に世界各国の映画や映像作品の上映しており、主に上映しているフランス映画に合わせた展示や、時期によってはトークイベントなども開催されています。

個性的な造形と色彩の建築は都市に対してメッセージを発しているようで、世界に向けてアートを発信したフランスを彷彿とさせます。ちなみにこのピンクの外装色は「アンデス山脈に夕日が落ちる色」をイメージしたものだそうです。
アートが緻密な計算と理論と遊び心で建築化されたような場所で、一見奇抜に見える色彩もじっくり見ていると愛着がわいてくるのが不思議です。

設計:吉阪隆正
所在地:東京都千代田区神田駿河台2-11
最寄駅:御茶ノ水駅徒歩7分、水道橋駅徒歩10分
竣工:1962年
スクリーン数:1
客席数:130席
HP:http://www.athenee.net/culturalcenter/

④Bnnkamuraル・シネマ(石本建築事務所、東急設計コンサルタント、MIDI総合設計研究所、ヴィルモット・ジャポンJV)

BnnkamuraはL字形をした敷地に建ち、隣接する東急百貨店を抱き込むように建てられた建物です。内部にはホール、映画館、美術館、録音スタジオ、商業施設が一体となって配置される総合文化施設となっています。
このル・シネマではヨーロッパ系の映画を多数上映している他、最近ではアジア映画をはじめ色々な国の映画の上映が増えて、めずらしい海外の映画を見たい人におススメです。

街を敷地の中に引き込むようなアールの外壁が特徴的な建築で、エントランスは一段下がってまさに建物に吸い込まれるように入っていきます。
明るい外から照明の落ちた内部に入るとまさに別世界。訪れる際には百貨店からではなく是非こちらの入り口から入ってその空間体験をしてみてみて下さい。

設計:石本建築事務所、東急設計コンサルタント、MIDI総合設計研究所、ヴィルモット・ジャポンJV
所在地:東京都渋谷区道玄坂2-24-1
最寄り駅:渋谷駅徒歩10分
竣工:1989年
スクリーン数:2
客席数:ル・シネマ1/150席 ル・シネマ2/126席
HP:https://www.bunkamura.co.jp/cinema/

⑤写真美術館ホール(久米設計)

写真美術館ホールは恵比寿ガーデンプレイス内にある東京都写真美術館の1階にあるシアターです。
「写真美術館で観る映画」(実験劇場)をコンセプトに芸術家や写真家が関わる映画なども多く上映しています。
ガーデンプレイスの中の建物だけあって綺麗で上質な空間で、席数も少し多めで席もややゆったりしているが特長です。まさに写真美術館の雰囲気をそのままに映像作品を楽しめるおススメのシアターです。

また、恵比寿ガーデンプレイスでは大屋根の下、野外で芝生上で映画を見る野外シアターも不定期で開催されていますのでこちらも要チェックです。

設計:久米設計
所在地:東京都目黒区三田1-13-3
最寄り駅:恵比寿駅徒歩7分
竣工:1995年
スクリーン数:1
客席数:190 席
HP:https://topmuseum.jp/


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⑥国立映画アーカイブ(芦原義信)

国立映画アーカイブは日本で唯一の国立映画専門機関であり、映画の保存・研究・公開を通して映画文化の振興をはかる拠点として建てられた建築です。
この建物を設計したのは先日取り壊わされたソニービルや上記で取り上げた岩波神保町ビルの設計者でもある芦原義信で、1995年に建てられました。
公の施設だけあって貴重で興味深い映画が惜目白押しで、映画の聖地ともいえるその場所は映画好きなら一度は訪れておきたい建築です。
また、料金も一般520円とかなりリーズナブルなのですが、映画だけでなく展示や映画関連の書籍が集まる図書館も利用できます。

外観も特徴的で、街に近い低層部は全面ガラス張りで街に開き、その上部に矩形の図形が折り重なるような重厚で知的なデザインの上層階がのる構成となっています。
特に夜は映画体験を終える前の人・まさに映画を観終えた後の人のアクティビティが低層部のガラス越しに映し出されるので、ガラスの外装がまさに映画のスクリーンとして機能する姿を見ることができます。
また、夏には中学生以下を対象とした「こども映画館」など映画にまつわる企画も充実していますのでこまめにチェックしておきましょう。

設計:芦原義信
所在地:東京都中央区京橋3-7-6
最寄り駅:京橋駅、宝町駅徒歩3分
竣工:1995年
スクリーン数:2
客席数:長瀬記念ホール OZU/310席 小ホール/151席
HP:https://www.nfaj.go.jp/

⑦ラピュタ阿佐ヶ谷(才谷遼)

ラピュタ阿佐ヶ谷は元々はアニメーション専用の映画館でしたが、現在では古い邦画を中心に、様々な映画を上映しているシアターです。
尚、すぐ裏には新しい作品も数多く放映するユジク阿佐ヶ谷があります。
ラピュタ阿佐ヶ谷の地下には劇場「ザムザ阿佐谷」、3、4階はレストラン「山猫軒」が併設されており、それぞれの機能の大きさに合わせて緩やかに幹の大きさが変化する大きな樹木のような建築です。
外から見ても特徴的な建築ですが、内部も面白、まるで気の中を歩くようにそれぞれのスポットを巡る体験は人工物と自然とが融合した空間が味わえてワクワクします。

尚、山猫軒では少人数のオリジナルウェディングパーティーも受け付けているそうで、アットフォームな雰囲気でパーティーを行うことも出来ます。

設計:才谷遼
所在地:東京都杉並区阿佐谷北2-12-21
最寄り駅:阿佐ヶ谷駅徒歩5分
竣工:1998年
スクリーン数:1
客席数:48席
HP:http://www.laputa-jp.com/

⑧渋谷シアター・イメージフォーラム(高橋正治)

シアター・イメージフォーラムは他の映画館ではなかなかやっていない世界のアート系・デザイン系の映画を多く上映しているシアターです。
ミニシアターの中ではかなり大きめのスクリーンを有しており、地下シアターの客席幅いっぱいまで広がる巨大スクリーンによる映像体験はまさに空間と映画が一体となった没入感を体験でます。

またシアター・イメージフォーラムでは「イメージフォーラム・フェスティバル」という日本最大規模の映像フェスティバルや映像ワークショップを定期的に催しており、作家と観客の両方を育て、文化を発信していく場となっています。
古代に造られた宇宙船のような、それでいて近未来のような、古い味わいと新しいデザインが合わさった建築に是非注目してみて下さい。

設計:高橋正治
所在地:渋谷区渋谷2-10-2
最寄り駅:渋谷駅徒歩10分
竣工:2000年
スクリーン数:2
客席数:シアター1/64席 シアター2/100席
HP:http://www.imageforum.co.jp/theatre/

⑨KINOHAUSビル/ユーロスペース・シネマヴェーラ(北山恒)

KINOHAUSビルにはもともと1980年代にオープンしたミニシアターが入っていましたが何度かの改修を経て現在の姿となっています。
まず3Fのユーロスペースでは邦画中心に、時には海外ドキュメンタリーやちょっと過激でセンセーショナルな映画まで幅広く攻めたチョイスの映画を上映しています。

続いて4階にはシネマヴェーラという渋谷で唯一の名画座があり、こちらも少し趣が違った映画が楽しめます。
上映作品をチェックして興味があるほうの映画を選ぶのがおススメです。
歴史を感じる古き良き部分を残しつつ、シャープな金属パネルや光を透過するガラスパネルが美しい建築です。
夕方映画を観終わって映画館を出ると入るときとは全く表情が変わった外観に出会うことができるので、映画を観る際には夕方の会をおススメします。

設計:北山恒
所在地:東京都渋谷区円山町1-5
最寄り駅:渋谷駅徒歩7分
竣工:2006年
スクリーン数:2/1
客席数:シアター1/92席 シアター2/145席 シネマヴェーラ/142席
HP:http://www.eurospace.co.jp/

⑩神保町シアタービル(日建設計/山梨知彦+羽鳥達也)

神保町シアタービル神保町駅からほどなくの場所に建つ、映画館や吉本興業のお笑い劇場が入る複合施設です。
小劇場の雰囲気と現代的な建物が同時に楽しめるおススメスポットで、基本的には邦画を中心に上映しています。
タケノコ状の形から卵の殻が割れてたようなデザインは、何かが生まれる瞬間のような、今にも生命の息吹が漏れだしそうなイメージが浮かびます。まさに現代の芝居小屋というにふさわしいエネルギッシュな空気を醸し出しています。

また、BIM(Building Information Modeling)という新しい技術をいち早く取り入れ設計された建物でもあり、千葉のホキ美術館や新木場の木材会館など次々と注目建築を生み出していった山梨氏の出世作ともいえる建築です。
建築についてはこちらの過去記事でも紹介していますので興味があれば是非ご覧ください。

設計:日建設計/山梨知彦+羽鳥達也
所在地:東京都千代田区神田神保町1-23
最寄り駅:神保町駅徒歩3分
竣工:2007年
スクリーン数:1
客席数:120席
HP:https://www.shogakukan.co.jp/jinbocho-theater/


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いかがでしたでしょうか。
ミニシアターはその名の通り客席数こそ多くないにせよ、その分スクリーンや観客同士の距離も近く、映画を見るという空間体験を存分に味わうことができます。
はじめの一歩はなかなか敷居が高く感じるかもしれませんが、訪れてみれば絶対楽しいスポットですので、是非一度足を運んでみてはいかがでしょうか。



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