今回は目白周辺で建築巡りをしてきましたので、そこで出会った名建築をレポートしたいと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・目白周辺エリアでの建築巡りを写真と文字でレポート
・目白周辺エリアの著名な建築家がデザインした建築や歴史のある近代建築をまとめ
1.学習院大学目白キャンパス
まずはじめに訪れた学習院大学目白キャンパスは、皇族の教育機関としてつくられたルーツを持つ私立大学のキャンパスです。
歴史ある大学ということもあり、キャンパス内には明治時代後期から昭和初期に建てられた建物や構造物が数多く残されています。

例えばキャンパスの奥に建つ乃木館は、明治時代後期の1908年に総寮部として建てられた建築。
全寮制を提唱した第10代の院長の乃木希典は、自らとここで寝起きし学生たちと寝食を共にしていたといいます。

こちらの東別館は1913年に皇族寮として建てられた建物で、風格ある外装や馬車を想定してつくららた車寄せなどが大きな特徴。

他にも1908年に建てられた正門、1909年に建てられた北別館、1927年に建てられた南1号館、1930年の西1号館などが現存していて、いずれも国の道路有形文化財となっています。
また、1960年代には建築家の前川國男がキャンパス計画を手掛け、今も敷地内には5棟の前川建築が現存しています。

例えばこちらの霞会館記念学習院ミュージアムは、学習院大学目白キャンパス内に1963年に建てられた旧図書館を改修した美術館・資料館。

彫りの深い彫刻的なデザインとその奥に見えるガラスの開口が訪れた人を内部に誘い、キャンパスの豊かな自然とコンクリートの建物がお互いを引き立て合うように立ち上がる建築は、前川建築のエッセンスが凝縮しているよう。さらにエントランスロビーには前川國男に関する展示コーナーがあるのも注目ポイントです。

キャンパス内には前川國男氏の建築では他にも北1号館、南2号館、南5号館(計算機センター)があって、ちょっとした前川建築巡りができます。

さらに東2号館は菊竹清訓建築設計事務が手掛けていたり、南7号館や東1号館は日本最大の組織設計事務所である日建設計が手掛けていたりと注目の建築が目白押しです。
設計:
久留正道(北別館)
宮内省(東別館、南1号館、西1号館)
前川國男建築設計事務所(北1号館、南2号館、霞会館記念学習院ミュージアム/旧図書館、南5号館/計算機センター)
ゲンプラン(学習院創立100周年記念会館)
菊竹清訓建築設計事務所(東2号館)
日建設計(南7号館、東1号館)
所在地:東京都豊島区目白1-5-1
アクセス:目白駅より徒歩約7分
竣工:1908年(正門、乃木館) 、1909年/1997年改修(北別館) 、1913年(東別館)、1927年(南1号館)、1930年(西1号館)、1960年(北1号館、南2号館)、1963年(霞会館記念学習院ミュージアム/旧図書館)、1978年(学習院創立100周年記念会館) 、1983年(南5号館/計算機センター)、1992年(東2号館)、2010年(南7号館)、2023年(東1号館)
備考:国登録有形文化財(正門、乃木館、北別館、東別館、南1号館、西1号館)
2.切手の博物館

切手の博物館は、学習院大学の西側に通る学習院椿の坂を下ったところに建つ切手を専門にした博物館です。
JRと学習院大学に挟まれた細長い敷地に大船のように聳える館内には、国内だけでなく海外の切手を合わせて約35万種の切手を所蔵し、その他にも切手に関連する書籍や封筒など様々なコレクションを有するユニークな博物館です。
外観は目白の街並みに重厚な外装となっていますが、中に入るとガラス張りの坪庭や学習院の自然をまさに切手のように縁取る開口によって開放的な空間となっているのも注目ポイント。
常設展示だけでなく時期毎に様々な企画展が行われているので、目白を訪れた際は是非立ち寄ってみてほしいです。


設計:工学院大学谷口研究室
所在地:東京都豊島区目白1-4-25
アクセス:目白駅より徒歩約4分
竣工:1996年
開館時間:10:30~17:00
休館日:月曜、展示替時期、年末年始
入館料:大人200円、小中学生100円
3.目白ガーデンヒルズ

目白ガーデンヒルズは、学習院大学の南側の敷地に建つ地上11階地下1階建ての集合住宅です。
緩やかにカーブしながら東西に伸びる敷地に対して、水平床と垂直壁で建物を支えるフラットプレート工法という特殊な構造方式を採用することで、柱型や梁型を配して雁行する住戸配置と外装がデザインされているのが大きな特徴。
非常に大きなボリュームの建物ですが、素材や色彩、面を切り替え多様なデザインを見せつつ、一つの建物としての統一感も感じられるのも素敵な建物です。


設計:日建設計+鹿島建設
所在地:東京都豊島区目白1-3-8
アクセス:目白駅より徒歩約7分
竣工:2006年
備考:2006年度グッドデザイン賞
4.旧安田生命事務センター

旧安田生命事務センターは、大手生命保険会社のデータセンター・事務所として建てられた地上6階地下2階建ての建物です。
データセンターという閉鎖的になりがちな用途に対して、諸室の配置や開口部の工夫、足元や屋上に設けられたガーデンによってそれらのマイナスイメージを感じさせない建物となっているのが素敵です。
植栽や学習院キャンパスの自然に馴染む落ち着いた色調の磁器タイルの外装も美しい目白の隠れた注目建築です。


設計:松田平田塚本設計事務所
所在地:東京都豊島区高田3-35-1
アクセス:目白駅より徒歩約9分
竣工:1977年
備考:第19回BCS賞
5.大正製薬本社2号館

大正製薬本社2号館は、新目白通り沿いに建つ地上8階地下2階建ての大手製薬会社のオフィスビルです。
90周年記念事業の一環として建てられた建物は、道路沿いの高層オフィスと角度を振って配置されたホール、それらを繋ぐアトリウムで構成されています。
道路際の外装は光の遮断と反射を同時に行う環境装置としての庇とルーバーが建物の顔をつくり、環境性能と解放性を両立させているのも大きな特徴。
建物としての快適性や使いやすさと、現代のオフィスに求められる環境性能が融合しているのが見事な大手ゼネコン設計部らしい素敵建築です。


設計:鹿島建築
所在地:東京都豊島区高田3-25-1
アクセス:目白駅より徒歩約10分
竣工:2002年
6.日本聖公会東京教区目白聖公会

日本聖公会東京教区目白聖公会は、目白通りを西に程なく歩いたところに建つ教会です。
ロマネスク様式を基調とした現在の聖堂は、昭和初期の1929年に建てられたもので、間もなく竣工から100年の時が経とうとしているの建物のなのは驚きです。
シンプルだけれど力強くも普遍性を感じるデザインが特徴ですが、近づいてみてみると精巧なつくり込みを随所に見るとこができのも注目ポイントです。


設計:坪井正太郎
所在地:東京都新宿区下落合3-19-4
アクセス:目白駅より徒歩約5分
竣工:1929年
7.吉村順三記念ギャラリー

吉村順三記念ギャラリーは、近代日本を代表する建築家の吉村順三氏の設計事務所を改修したギャラリーです。
1F部分をギャラリーとしていて、時期毎に吉村氏に関わる建築展が企画され、図面やスケッチ、写真等をみることができます。
展示空間そのものが吉村氏の細かい気配りのきいた意匠そのものを体現していて、当時使われていた家具やおそらく変わらない光の入り方などを体験すると改めて建築って心地よいなぁと感じます。
近年展示会は休止中となっていますが、機会があればまた訪れたい素敵な建築です。


設計:吉村順三
所在地:東京都豊島区目白3-8-6
アクセス:目白駅より徒歩約5分
竣工:1976年
備考:展示会の開催は公式HPを要確認
8.徳川黎明会本館

徳川黎明会本館は、尾張徳川家の第19代当主であった徳川義親が尾張徳川家の美術品や書物を保管・管理するために設立した徳川黎明会の建物です。
設計を手掛けたのは徳川義親の同級生でもあった建築家の渡辺仁。渡辺仁といえば銀座の和光(旧服部時計店)や後に東京国立博物館本館を手掛けたことでも知られますが、徳川黎明会本館と服部時計店は同時期に建設されました。
内部は不公開のため外観しか見れませんが、様々な様式を操る渡辺仁の力量が遺憾無く発揮された重厚な建物の一端が伺えます。


ちなみに周辺は尾張徳川家の屋敷跡につくられた徳川ビレッジと呼ばれる高級住宅地となっています。
設計:渡辺仁
所在地:東京都豊島区目白3-8-11
アクセス:目白駅より徒歩約7分
竣工:1932年
9.目白通り裏の住宅/CaD

目白通り裏の住宅/CaDは、徳川黎明会本館や吉村順三記念ギャラリーから程なく歩いたところに建つ建築家の自邸兼事務所、カフェです。
住まい、仕事場、店舗の3つの空間は、それぞれ独立しつつも緩やかに関係性を保ちながら街の中に開かれ、地域に小さな変化をもたらすきっかけとなるような建築が実践されているのが素敵です。
地域の人が気軽に立ち寄れるカフェCaD(カド)は、私が訪れたときはたまたま閉っていましたが、折を見て立ち寄ってみたいと思います。


設計:須藤剛建築設計事務所
所在地:東京都新宿区下落合3
アクセス:目白駅より徒歩約6分
竣工:2024年
10.中村彝アトリエ記念館

中村彝アトリエ記念館は、大正時代に活躍しつつ肺結核によって37歳でその生涯を閉じた洋画家・中村彝(つね)の旧居&アトリエを改修・復元した記念館です。
目白の閑静な住宅街の一角に建つ建物は1916年に建てられたもので、後に増築や改修がされていたこものも記念館として整備するに当たって竣工当時の姿に復元されました。
落ち着いたトーンの外観の建物ですが、内部に足を踏み入れると大正時代らしい身体に近い住宅のスケールと、天から自然光が降り注ぐ伸びやかなスケールが合わさった空間が広がっていて、中村彝の創作の場を体感することができます。


所在地:東京都新宿区下落合3-5-7
アクセス:目白駅より徒歩約9分
竣工:1916年
開館時間:10:00~16:30
休館日:月曜
11.日本バプテストキリスト教 目白ヶ丘教会

日本バプテストキリスト教 目白ヶ丘教会は、目白駅の南西エリアに建つ教会です。
建物の設計を手掛けたのはフランク・ロイド・ライトと共に旧帝国ホテルや自由学園の設計を行なった建築家の遠藤新。
シンプルな外観の建物ですが、幾何学的な造形を組み合わせた建物のシルエットや正面の丸窓や、所々アクセントにもなっている大谷石などにライトから受け継いだデザインのエッセンスが散りばめられているのが目を引く、目白の隠れた注目建築です。


設計:遠藤新
所在地:東京都新宿区下落合2-15-11
アクセス:目白駅より徒歩約7分
竣工:1950年
備考:国登録有形文化財
12.日立目白クラブ(旧学習院昭和寮)

最後に訪れた日立目白クラブ(旧学習院昭和寮)は、元々は学習院旧制高等科の寮として建てられた地上2階地下1階建ての建物で、現在は企業の福利厚生施設や結婚式場として使われています。
目白通りを南下した先に建つ建物は、天に延びるように段々と連なる塔状の外観と当時流行し始めていたスパニッシュ風の屋根が特徴となっています。
分かりやすい派手さはないけれど、優雅でシンボリックな造形と変化に富んで見るものを飽きさせない各部の意匠はさすがの一言で、竣工から100年近い年月が経った現在も人々の心を魅了しています。


設計:宮内省
所在地:東京都新宿区下落合2-13-28
アクセス:目白駅より徒歩約8分
竣工:1928年
備考:東京都選定歴史的建造物
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