今回は神奈川県の川崎にあるラ チッタデッラを訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・ラ チッタデッラを実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・ラ チッタデッラの基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・ラ チッタデッラの建築的な見どころや注目ポイント
1.川崎駅前にある小さなエンターテイメント都市を訪問
今回訪れたラ チッタデッラ(LA CITTADELLA)は、神奈川県にある川崎駅から程なく歩いたところに建つ商業施設、映画館、ライブハウス等の複合施設です。

川崎駅から5分ほど歩くと、今回の目的地であるラ チッタデッラがみえてきます。
ラ チッタデッラは、イタリアのトスカーナ地方のヒルタウンをモチーフにしたデザインで施設全体がまとめられているのが特徴です。

複数の街区を跨いでつくられた建物群と街路によって、別世界に迷い込んだようなハレの空間が形つくられています。

これらのデザインは、数々の商業施設プロジェクトを成功に導いたジョン・ジャーディ氏が手掛けています。
ジョン・ジャーディ氏と言えば、福岡のキャナルシティ博多(1996年竣工)や、ほぼ同時期に建設された東京の六本木ヒルズ(2003年竣工)などの設計を手掛けたことでも知られる建築家です。

独特の感性と造形力によって生み出される建築は、他のどこでも体験できないような華やかなで非日常な空間となっています。
建物はメイン通りであるチネチッタ通りを中心に、客席数約3200席のシネマコンプレックスの「チネチッタ」、最大1300人を収容するライブホールの「クラブチッタ」、各種ショップやレストラン等がひとつの街のように配置されています。

建物はボリュームを分節しながら、不整形な敷地にアメーバ状に広がっていて、変化に富んだ景観と共に楽しげな雰囲気を醸し出しています。

外部空間は屋根や庇、素材の使い分けやフレーミングによって閉じるデザインと開くデザインが両立しているもの特徴で、限られた敷地ながら次々と風景が切り替わる体験ができます。
また、建物間はブリッジで接続されたり、石畳の坂道で繋がったりしながら、分散しつつもひとまとまりの街になっています。

メインのストリートをはじめいくつかの通りは法律上は道路の扱いとなっているのですが、それらの境界や従来の扱いを感じさせないような巧みなデザインにより、それらの境界を感じさせない街並みがつくり上げられています。
グラデーショナルな色彩の建物からは、視界一体に広がる建物に心地よい変化とリズムを感じます。

ジョン・ジャーディ氏の建築は、敷地を建物で多い、内部に魅力的な街路や広場をつくる手法がよく用いられますが、適度な空間の広がりと自然の抜け感がデザインされた外部空間はとても気持ちがいいです。
施設の中核には円形の広場が設けられていて、週末にはよく野外イベントが催されています。

ラ チッタデッラは何度も訪れていますが、ある時はワクワクさんが子供向けのイベントを行っていて、大盛況でした。
この円形の広場は、迷路のように路地が入り組むラ チッタデッラの起点となる場所であり、この広場があることで今自分がどこにいるのか直感的に理解できるようにもなっています。
また、敷地や建物のスケールもちょうどよく、広すぎず狭すぎす、全体像が把握できるギリギリの大きさでありながら様々な要素が交錯する街となっているのが素敵です。
2.チネチッタをはじめとする文化・商業施設を堪能
広場の先には、ラ チッタデッラの中核施設である映画館チネチッタがはいります。
チネチッタは、1987年に日本初のシネマコンプレックスとして開業した映画館です。

さらに、チネチッタの前身は戦前の1937年に誕生した「川崎銀星座」で、戦後の復興・経済成長にあわせて、川崎の発展に貢献してきた映画館でもありました。

クリアなガラスの円柱を目印に映画館へと足を運び、上階へ登っていく高揚感を演出してくれます。
天候や季節によって外部の環境を投影するガラスの筒は、映画感を出た時の現実世界への入口を演出してくれています。

また、映画のグッズショップは、映画館の入る建物から一度でた路地沿いにあるのもユニークです。

映画のパンフレットを購入する際は、少しだけ石畳の街路を散策します。
はじめは少し不便だと思いましたが、慣れると馴染のお店に通うような楽しみに変わります。

その他にも、大型ライブハウスの草分けであるクラブチッタや屋外スポーツ施設アレーナチッタがあったりと、様々な施設が内包されています。
レストランやカフェも多く入っていて、子どもから若者、おじいちゃんおばあちゃんまで様々な層の人々を見かけるのも印象的でした。
レストランでは、コラボフェアも企画されているのも魅力的です。

こちらはシルバニアファミリーとのコラボイベントの時の写真ですが、様々なイベントによって大人から子供まで幅広い世代を集客し続けているのはさすがです。

ラ チッタデッラは竣工から20年以上の時が経ちましたが、大都市川崎の厳しい競合競争に負けないような様々な企画により多くのリピーターと新たなファンを獲得し続けているようです。
川崎にイタリアの都市という、かなりかけ離れたモチーフなのですが、現地を訪れると違和感はないのが面白いです。
老若男女が皆のびのびと、それぞれの時間を過ごしている風景はとても印象的でした。

単なる素材の使い分けや造形だけでなく、光や影といった自然環境もうまく使いながら、時間によっても表情が変化するデザインが散りばめられているのが素敵です。
建築と都市、外部空間と内部空間、ハードとソフトといった多様な要素の垣根を越えて、ひとつのエンターテインメント都市がつくられているのが素敵です。

単なる商業空間ではなく散策していて楽しい街となっているので、映画やライブ、食事の後には施設内を散策してみるといろいろな発見があります。
素敵な建築をたっぷりと堪能して、この日の建築巡りも大満足のものとなりました。
とてもオススメのスポットですので、皆さんも機会があれば是非訪れてみてくださいね。
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ラ チッタデッラ
設計:ジョン・ジャーディ/ジャーディ・パートナーシップ・インターナショナル+石本建築事務所
所在地:神奈川県川崎市川崎区小川町4-1
アクセス:川崎駅より徒歩約5分
竣工:2003年


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