
木陰雲は、1927年に建てられた旧山口萬吉邸(現九段kudan house)の庭園に2021年の7月から9月の会期でつくられたパビリオンです。
焼き杉の技術を用いて表面を炭化させた柱と屋根が植栽や池、石畳とリンクしながら庭全体を覆っている様は、この世のものとは思えないほど幻想的でした。

旧山口萬吉邸は木子七郎、内藤多仲といった日本の近代建築界をリードした建築家によってデザインされた邸宅で、和洋折衷の様々な諸室や庭に面したスクリーンポーチが特徴の歴史的建造物。今回夏の期間だけに新築されたパビリオンですが、炭化して黒く落ち着いた見た目は、まるで何十年も前からそこにあったかのようです。

実際に訪れてみて驚いたことは庭園内でははっきりと鳥の鳴き声が聞こえたこと。何十年も前から続く庭園やすぐ近くに靖国神社の大自然があるということもありますが、実は普段は無意識のうちに自然の声をシャットアウトしていただけなのかな、などと考えながらパビリオン内を散策しました。
デザイン:石上純也
所在地:東京都千代田区九段北1-15-9
アクセス:九段下駅より徒歩約5分
竣工:2021年
備考:現存せず



