川越「ヤオコー川越美術館」4つの光の空間を巡る素敵な美術館をレポート

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今回は埼玉県の川越市にあるヤオコー川越美術館(三栖右嗣記念館)を訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。

【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今日も素敵建築を求めて東奔西走

【この記事で分かること】
・ヤオコー川越美術館を実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・ヤオコー川越美術館の基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント

1.小江戸川越の住宅地に佇む小さな美術館を訪問

今日訪れたのは埼玉県川越市にあるヤオコー美術館です。
川越といえば江戸時代には関東でも随一の城下町として栄え、商業や文化の結節点として賑わった街。
現在も「小江戸」の愛称で親しまれ、江戸時代から明治、大正、昭和と各時代の建物と風景が残る一大観光地として平日・休日問わず多くの人で賑わっています。

今回の目的地であるヤオコー美術館は川越駅からバスで約10分、蔵造りの街並みを抜けて川越氷川神社をさらに北上したところに建つ川越に本社を置く企業の私設の美術館です。

ヤオコー川越美術館

美術館をつくったヤオコーは明治時代の1890年に埼玉県比企郡小川町で八百幸商店として創業した企業で、戦後はスーパーマーケット事業で業務拡大を果たした企業。
本拠地である埼玉県には100を超える店舗があり、埼玉県民にはお馴染みのスーパーです。
かく言う私も学生時代にはかなりお世話になっていて、泊まり込みで課題を行う際には夕食や朝食の惣菜や材料はヤオコーで調達した思い出のスーパーでもあります。

そんなヤオコーが川越氷川神社の裏手に美術館をオープンしたのは2011年のことで、創業120年の記念事業としてこの美術館が建設されました。
建物の設計を手掛けたのは、プリツカー賞など数々の賞を受賞し、世界的な建築家として知られる伊東豊雄氏です。

氷川神社前でバスを降り、程なく歩くと今回の目的地であるヤオコー美術館が見えてきます。
ヤオコー美術館が建つのは、多くの観光客で賑わう川越の中心部からはちょっと外れた長閑な住宅地の中。
実際に訪れてみると、コンクリートの平屋建ての建物の想像以上にシンプルな外観に驚かされます。

ヤオコー川越美術館

建物は約20m四方の正方形となっていて、コンクリートの立方体が住宅街のスケールに馴染みながらも浮かび上がるデザインが印象的です。

装飾のない抽象的な建物と建物の周りに設けられた水面がつくり出す光景は、小江戸、蔵の街といった川越のイメージからはかけ離れていますが、かつてこの地で広がっていたであろう水田の風景を想起させられるのが面白いところ。

ヤオコー川越美術館

アイコニックな川越のイメージからは離れ、もっと普遍的な原風景に立ち戻らされようなデザインにワクワクしながら中へと進みます。

2.絵画と建築が響き合う空間で三栖右嗣の世界に浸る

正方形の平面の建物の内部は田の字型に仕切られていて、受付やミュージアムショップ、お手洗等がまとまったエントランスゾーンから、ぐるりと展示室を回っていく構成となっています。

ヤオコー川越美術館が展示するのは、1927年に生まれの洋画家で、戦後日本洋画壇で活躍した三栖右嗣。
三栖右嗣はヤオコー創業の地からほど近い埼玉県比企郡ときがわ町にアトリエを構え、ヤオコーを立ち上げた川野家とも深い交流のあった作家でもあります。

三栖右嗣は緻密な描写と精巧な光の表情と共に人やその営みがもつ生命力をリアルに描画する作品が特徴の作家ですが、ヤオコー美術館は4つの部屋がそれぞれ特徴的な光で満たされる空間となっています。

ヤオコー川越美術館

奥に連なる2つの展示室ではそれぞれ凸凹に変化する天井が、壁や屋根と一体となりながら空間に変化をもたらしています。

壁一面に展示された絵画を主役としながらも、その中心にある光の柱が、展示空間を特別なものにしているのがユニークです。

とても特徴的な空間ですが、実際の展示室では壁面の絵画にしっかりと目がいくように十分な距離や方向性が計算されていて、三栖右嗣作品をじっくりと楽しむことができます。

湾曲した壁や天井は地面とつながり、天とつながり、土地というローカルな要素と空や宇宙のような壮大なスケールとの間を行き来するような不思議な奥行きを感じます。

外観はシンプルな箱型の建物でしたが、内部は変化に富んだ光と有機的なフォルムによってここにしかない空間が形つくられているのがとても面白いです。

2つの展示室を抜けた先は、前面のトップライトから光が降り注ぐラウンジスペースとなっています。

この部屋は展示スペースでもありながらカフェスペースにもなっています。
美術館のチケットは入館料のみのものと、飲み物セットのものがありますが、今回はドリンクセットにしていたので、こちらでひと休みします。

今回頂いたのはアイスティー。
せっかくなのでヤオコー名物のおはぎも追加で頂きました。

ヤオコー川越美術館

おはぎは、もちもち餅米をたっぷりのあんこが包み込んでいて、シンプルだけれど一度食べたらクセになる絶品の味わい。
甘いおはぎとサッパリとしたアイスティーの相性もバッチリで、あっという間に完食してしまいました。

カフェスペースからは外の水辺や自然が感じられる開口が設けられていて、ゆったりと変化する周囲の環境を感じながら展示の余韻に浸りました。

ヤオコー美術館
設計:伊東豊雄建築設計事務所
所在地:埼玉県川越市氷川町109-1
アクセス:川越駅よりバスで約10分、下車後徒歩約5分
竣工:2011年
開館時間:10:00~17:00
休館日:月曜
入館料:大人300円、高・大学生200円、中学生以下無料
(入館料+飲物セット500円)
公式HP:https://www.yaoko-net.com/museum/

ちなみに川越駅の南口には美術館と同じく伊東豊雄建築設計事務所がデザインを手がけたヤオコーの本社ビルもあります。

ヤオコー本社ビル

ヤオコー美術館は20m四方の平屋建てでしたが、こちらの本社ビルは約62m四方の地上3階地下1階建て。約10mのグリッドが6×6で並べられ、36マスの空間が連なっているのが面白いところ。
内部は中庭や場所ごとに異なる開口部によってそれぞれ少しずつ変化がある空間となっていて、一体感と共にそれぞれの空間の相互作用がもたらされるオフィスがデザインされています。

ヤオコー本社ビル

ヤオコー本社ビル
設計:伊東豊雄建築設計事務所
所在地:埼玉県川越市新宿町1-10-1
アクセス:川越駅より徒歩約5分
竣工:2018年

素敵な建築と展示をたっぷりと堪能してこの日の建築巡りも大満足のものとなりました。
とてもオススメの美術館ですので、興味のある方は是非訪れてみてくださいね。

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