ミヤシタパークが面白い!生まれ変わった空中公園を建築に注目してレポート

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今回は渋谷の宮下公園跡地にできたMIYASHITA PARK(ミヤシタパーク)を訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。
近年様々な再開発によってその姿を変えつつある渋谷の象徴でもあるMIYASHITA PARK。一体どんな建築になったのかじっくり見ていきたいと思います。

【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今までに約5000件の建築を巡った建築トリッパー
・今日も素敵建築を求めて東奔西走

【この記事で分かること】
・ミヤシタパークを実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・ミヤシタパークの基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・ミヤシタパークの建築的な見どころや注目ポイント

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1.MIYASHITA PARKとは?

MIYASHITA PARKは渋谷駅前の明治通り沿いに建てられた商業施設・ホテル・公園が一体となった複合施設です。
元々は地上2階建ての宮下公園だった全長約330メートルの敷地に、3階建ての商業施設と屋上公園、地上4階~18階にはホテルが建設整備され、2020年7月に新たな宮下公園としてオープンしました。

今回はMIYASHITA PARKがオープンして最初の週末であり、ホテル「シークエンス」のオープン日である8月1日に訪れてきましたのでその模様をお伝えしたいと思います。

2.宮下公園(宮下パーク)の歴史と経緯

ここで少し宮下公園の歴史を振り返ってみると、この土地に公園が整備されたのは戦前である1930年まで遡ります。もともとの宮下公園は平地の公園として開園されました。
その後1964年の東京オリンピックの時代に渋谷川が暗渠化されるとともに整備が行われ、1階が駐輪場、2階を人工地盤の立体公園とする新たな宮下公園が誕生しました。
この宮下公園は、薄暗くちょっと危険な部分も含めて、渋谷の名所として多くの人に親しまれて利用されてきました。

2011年には施設の老朽化等の理由から大規模な改修が行われ、建築家集団「アトリエワン」による「みやしたこうえん」が誕生しました。この改修ではスケート場やクライミングウォール、エレベーターなどが新設され、スポーツ公園として大きく生まれ変わることになりました。
スポーツ公園として一定の評価を得た宮下公園の改修でしたが、この改修はもともとこの場所で暮らしていた野宿者を排除してつくられた経緯があり多くの抗議活動やデモにも発展したり、2009年に「宮下公園」の命名権はナイキ・ジャパンに売却されたにもかかわらず、一度もNIKEの名前は使われることなくナイキは2017年に命名権協定を途中解約するなどの出来事もありました。

その後渋谷区は他の渋谷駅周辺整備事業とも連動して新宮下公園等整備事業を推進し、公募型プロポーザルにより選ばれた三井不動産を事業者とした新生「MIYASHITA PARK」が2020年にオープンすることとなります。
このMIYASHITA PARKが今後どのように利用され、どのように渋谷の街を変えていくのかが大きく注目されています。

3.土木と建築が融合したような不思議な建築に注目!

コロナの影響もあり、新生MIYASHITA PARKは当初の予定から1ヵ月ほど遅れた2020年の7月28日から順次オープンとなりました。
※オープン当初は事前予約制での入場となっていましたが、現在は通常の入場に戻っています。

渋谷駅から数分歩いたところで建物の外観が見えてきます。
新しいミヤシタパークはどんな公園となったのか、早速見ていきたいと思います。

気になる(?)外観のデザインは想像以上にメカニックで、建築というよりも土木構造物の印象が強いです。

建物は渋谷駅よりの「南街区」と原宿寄りの「北街区」に分れていて、南街区の1階には渋谷横丁と呼ばれる全長約100mの飲食店ゾーンが入ります。

まるで高架下の飲み屋街のように巨大な構造体と小さなインフィル部分の店舗が並びます。アーチ状の天蓋が一定間隔に並ぶのですが、緑の天蓋は迫力がありつつもしっかり「抜け感」も感じるデザインになっていて圧迫感はあまり感じません。
もともと、周りの建物が高いということもありますが、基本的には外部通路によって建物の外壁がセットバックしていたり、ガラス面が効果的に使われていたりと圧迫感を感じない仕掛けが随所に見られます。

渋谷ではヒカリエやスクランブルスクエアなど続々と超高層の建築が計画される中、地上3階建てを基本としたMIYASHITA PARKはかなり変わった建築に見えます。
あえて鉄道や橋といった土木構築物のスケールをデザインの前面に出すことで、ヒューマンスケールから掛け離れた建築となることを避けているのはとてもユニークです。
また、土木建築物は総じて薄暗く閉鎖的になりがちですが、MIYASHITA PARKはかなり注意深く「抜け感」がデザインされているのが特徴です。

例えば建物内の通路部分では必ず向こう側に「外部の空間」が見えたり、外部に接する部分では手すりメッシュ状になって水平方向への視線が極力遮られないようになっていたりと様々な工夫が垣間見れます。

また、外部の道路に繋がる階段が多いのも特徴です。オープン直後の時期は入場が制限されていますが、街の様々な場所と接続されているのも面白いですね。

こちらは南街区と北街区を繋ぐブリッジ部分の吹き抜けです。上部に巨大な構造物がありながらのブリッジ部分はかなり明く光や風はしっかりと通っていますが、土木的な構造物として見るとなかなか珍しいです。
この抜け感は屋上に出てみるとさらに水平方向に広がります。

4.屋上に広がる立体公園に注目

3階からブリッジ部分の階段を上がって屋上に出てみると新生ミヤシタパークが広がります。

元々2階建てだった時に比べて建物自体の高さが上がっていることもあってかなりの解放感があります。
また、上の階段の踊り場からみた写真では、階段の向こう側にあるのフェンスや壁が見えずに視線が奥まで抜けているのがよく分ります。

屋上に上がる階段やエスカレータは基本的にはどこも外部空間に接しているのも特徴的で、屋上へ上がる際に解放感が得られるように工夫されています。

屋上へ出るとかつての宮下公園のイメージとは全く違った、明るく開放的な広場が広がります。
アーチ状の天蓋がさりげなく視線を水平方向に誘導してくれるので奥行きの広さが強調されいます。この天蓋はメッシュ状になっているので、空の方向も抜け感は十分に感じます。
尚、アーチにつたう植物は上手く日射を遮るように選定されているそうですが、現時点ではフルオープンです。これから植物が成長していくとその機能が発揮されるのでしょう。ここはオープン当初ということもあり仕方がないですね。

奥に見えるのが、2020年8月1日(土)にオープンしたホテル「シークエンス ミヤシタ パーク」です。
最上階にエンターテイメントレストラン&バーを備え、全240室からなる三井不動産グループ運営のホテルとなります。
ここで注目したいのは、遠目で見るとこのホテルは完全に公園外に建つ他のビルにも見えることです。

近づいてみるとその秘密が明らかになるのですが、4階部分はグレーの外壁にオープンな開口部、5階部分はガラス張りの外装です。6階以上が凹凸のあるホテルになっているので遠目に見ると公園内の建物には見えない仕掛けになっています。

事業性の観点からホテルという高層の建物を付加したかったのでしょうが、このような仕掛けで公園からの圧迫感を回避するアイディアは初めて見ました。恐るべし。
公園から見ると確かに「公園の先にあるビルが見えている」という状態に見えます


↑sequence MIYASHITA PARKの詳細をじゃらん.netで見る

屋上の解放感の秘訣は他にも合って、下階と同じく手すりなど水平方向に視線を遮るものは極力排除されています。
ベンチもシルバーのフレームにメッシュが入っているデザインでその存在を消すことに注力していることが分ります。ベンチのデザインは建物全体を覆う天蓋のデザインともリンクしていることにも注目です。

南側にはフットサルコートやスケートボードのためのスペースも引き継がれています。
但しこれは誰でも自由に使えるといったものではなく、運営側によって管理された上で時間を決めて料金を払って使用できるというものです。
この当たりは商業施設としてみると必然的な運営体制ではありますが、かつての宮下公園のもっていた性質とは大きく変わった点ですね。

屋上にはスターバックスも完備。まさにきれいに整備され、よくデザインされた現代の都市公園に生まれ変わっているのが分ります。
このあたりはかつての宮下公園の猥雑さや、その中で生まれたカルチャーに魅力を感じていた人が反発す気持ちもよく分ります。この新たな宮下公園からどんな文化が生まれるのかが今後問われてくるでしょう

5.内部も注目!レイヤード ミヤシタパークには多種多様な店舗が勢揃い

MIYASHITA PARKの商業ゾーンはレイヤード ミヤシタパークと名付けられた90店舗の商業施設が軒を連ねます。

公園と親和性の高いブランドや飲食店が集められたのも特徴で、コカ・コーラボトラーズジャパンによるコカ・コーラの魅力を発信する旗艦店「VALUME」や高タンパク・低カロリー食レストランの「筋肉食堂」、テイクアウトしやすいカジュアルなファーストフード店が集結しています。

外部に接した「アウトモール」に対して内部に面した商業部分は「インモール」と呼ばれていて、中でも南街区2階にある吹抜は必見です。
空間的な広がりを持たせにくいインモールでは、この吹抜が効果的に空間の広がりを演出しています。よく見ると上部がミラー貼りになっているのですが、さりげなく床の舗装も横断歩道のような意匠となっていて、建物内にいても街の中を歩いているような不思議な感覚を覚えます。

店舗に関しては全国から集まった特徴的な店舗が多数ラインナップされていて、おしゃれで手軽にハイクオリティなショップを巡れるようになっています。
内部に関しては順次オープンとなっているので、今後更に飲食ゾーンがオープンしたら改めて別記事にてレポートしたいと思います。

いかがでしたでしょうか。
外部から屋上、内部とMIYASHITA PARKを巡ってみると、良くも悪くも今までの宮下公園とは全く異なった新たな宮下公園となっていることがよく分りました。
様々なデザイン上の工夫や空間のつくり方をみたときに示唆に富んだ建築である一方で、様々な社会的な問題や批判を内包した、極めて社会的な施設として生まれ変わったことはとても興味深いです。
まさに現代日本を表す最先端の建築ともいえるMITASITA PARK。気になった方は是非トリップしてみて、自身でその空間を体験してみて下さい。

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MIYASHITA PARK(旧宮下公園跡)
プロジェクトアーキテクト:日建設計
設計:竹中工務店
所在地:東京都渋谷区神宮前6-20他
アクセス:渋谷駅より徒歩約3分
竣工:2020年

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