11.日比谷公園前派出所

日比谷公園前派出所は、その名の通り日比谷公園の北東にある交番です。
後ろに自然豊かで複雑な日比谷公園、すぐ近くに皇居がある立地の中で、建築自体は装飾を排して直線的でシンプルな形態にしているのが特徴です。
複雑な環境の中にあえてシンプルなものを置くことで、周りの環境を引き立てつつ、自身の存在感を示しているデザインがとても秀逸です。


設計:横河健/横河設計工房
所在地:東京都千代田区日比谷公園1-1
アクセス:日比谷駅より徒歩約1分
竣工:1986年
12.東宝日比谷プロムナードビル

東宝日比谷プロムナードビルは、日比谷のランドマークでもあった東宝ツインタワービル(1969年竣工)の跡地に建つ地上11階地下2階建てのオフィス、商業の複合施設です。
街並みを反射し、映し出すスクリーンのような外装は、上階に散りばめられた換気窓によってスタイリッシュながら変化と人の気配を感じるデザインとなっています。
また、低層部では日比谷公園側のテラスや、ミットタウン側のV字柱のコーナー部分など街との関係性が巧みにデザインに取り入れられているのも素敵です。


設計:竹中工務店
所在地:東京都千代田区有楽町1-5-2
アクセス:日比谷駅より徒歩約1分
竣工:2023年
13.東京ミッドタウン日比谷

東京ミッドタウン日比谷は、日比谷公園の目の前に建つ地上35階地下4階建て高さ約192mの事務所、商業施設、映画館等の複合施設です。
かつて日比谷にあった鹿鳴館の舞踏会からインスピレーションを得たダンシングタワーというコンセプトにより、柔らかくカーブする優雅な姿と繊細な表情がデザインされています。
尚、有楽町側は他のビルに囲まれてほとんどその全景を見ることはできませんが、日比谷公園からはその全景を望むことができるので、このあと紹介する日比谷公園と合わせてみてみてほしいです。


マスターデザインアーキテクト:ホプキンスアーキテクツ
基本設計・デザイン監修:日建設計
実施設計・監理:KAJIMA DESIGN
商業環境デザイン:乃村工藝社
所在地:東京都千代田区有楽町1-1-2
アクセス:日比谷駅より徒歩約1分
竣工:2018年
備考:第60回BCS賞
14.日本生命日比谷ビル/日生劇場

日本生命日比谷ビルは、日比谷公園の向かいに建つ日本生命のオフィスと日生劇場が同居する地上8階地下5階建ての複合施設です。
花崗岩貼りによる端正なデザインの外装は、石材の微妙な変化と彫り込まれたバルコニーにより実に繊細で奥深い表情を見せてくれます。
近づいてみると、さらに細かく立体的な造形が丁寧に折り重ねられていて、その周到なデザインと惚れ惚れする造形美に驚かされます。
物静かな建築が雄弁に語りかけてくる、建築家村野藤吾の手腕が存分に発揮された建築は、日比谷を訪れたら是非訪れたい名建築です。


設計:村野藤吾
所在地:東京都千代田区有楽町1-1-1
アクセス:日比谷駅より徒歩約1分
竣工:1963年
15.日比谷公園

日比谷公園は、1903年に開園した日本初の洋風近代式公園です。日比谷公園の造園に当たっては、一時期は東京駅を設計した辰野金吾による案が提出・検討されたりもしましたが、紆余曲折を経って日比谷公園造園委員会の委員でもありドイツ留学から帰国したばかりの本多静六の計画案が採用され、現在の公園の原型がつくられました。

現在では開園から100年以上が経過し、各時代に建てられた建築が立ち並び、それらを一度に見て周ることもできる建築スポットにもなっています。
旧日比谷公園事務所は、公園の管理事務所として1910年に建てられた建物です。

ドイツのバンガロー風のデザインの建物は、ほぼ当時のままの状態を留めていている貴重な近代建築です。
現在はフェリーチェガーデン日比谷として営業し、結婚式やカフェとしても親しまれています。
日比谷公会堂は1929年に建てられた公会堂です。

当時都内で唯一の音楽ホールとして開館した建物は、ゴシック風の堂々とした外観が特徴で、その後全国に建てられる公会堂にも大きな影響を与えました。
日比谷図書館は、1957年に建てられた都立図書館です。
2009年に改修工事が行われ、現在は千代田区立日比谷図書文化館として再オープンしています。

三角形のプランと、日比谷公園の木々に開けた開口部が特徴で、外観はシャープな印象的ですが、建物内に入ってみると公園の自然が見事に取り込まれていることを体感できる素敵な建築です。
日比谷野外音楽堂は「野音」として数々のアーティストのコンサートが行われてきた屋外ステージです。

現在の野外音楽堂は3代目で、シンプルながら放射状に熱気を広げるかのようなデザインと、木々に囲まれた開放的な客席が特徴となっています。
フラワーショップHは、日比谷公園内の日比谷門に隣接して建つ花屋です。

旧店舗の老朽化によって建替えられた建物は、約100㎡の面積を細長く分節し、7.5mの高い階高が特徴です。
4面をガラスで囲い、店内は内部のようで外部のような内外一体の空間となっています。
空間そのものがショーウィンドウのようでもあり、通りを通り過ぎる人が建ち止まって中の花々を覗きこんでいたのが印象的な建物でした。
設計:福田重義(旧日比谷公園事務所)、佐藤功一(日比谷公会堂)、高橋武士/東京都(日比谷図書館)、桂設計(日比谷野外音楽堂)、乾久美子/乾久美子建築設計事務所(フラワーショップH)
所在地:東京都千代田区日比谷公園1-6
アクセス:日比谷駅より徒歩約1分
竣工:1910年(旧日比谷公園事務所)、1929年(日比谷公会堂)、1957年(日比谷図書館)、1985年(日比谷野外音楽堂)、2009年(フラワーショップH)
備考:東京都指定有形文化財(日比谷公会堂)、第53回BCS賞(フラワーショップH)
16.富国生命ビル

富国生命ビルは、国会通りと日比谷通りの交差点に建つ地上29階地下5階建てのオフィスビルです。
天に伸びるように聳え立つ建物は、地上部に設けられたオープンスペースと対比するようにメリハリが効いていて、水平・垂直に魅力的な景観と環境をつくりだしています。
メタリックな外装に規則的に並ぶ深い彫りの開口部も注目ポイントで、開口の縦横比は黄金比となっているのもこのビルの美しさの秘密のひとつです。


設計:清水建設
所在地:東京都千代田区内幸町2-2-2
アクセス:内幸町駅より徒歩約1分
竣工:1980年
17.日比谷セントラルビル

日比谷セントラルビルは、日比谷通り沿いに建つ地上26階地下5階建てのオフィスビルです。
東西に長く伸びた敷地に建てられた建物は、両側にエレベーターや水回りなどのコアをまとめ、実務空間は自然光が降り注ぐ明るい無注空間となっているのが特徴です。
彫りの深い開口部とスペイン産の花崗岩による外装も魅力的で、派手さはないですが上質で品のある雰囲気で日比谷の景観を演出しています。


設計:松田平田坂本設計事務所
所在地:東京都港区西新橋2-2-3
アクセス:内幸町駅より徒歩約1分
竣工:1983年
備考:第26回BCS賞
18.日本プレスセンタービル

日本プレスセンタービルは、日比谷公園の南側の国会通り沿いに建つ地上11階地下3階建てのオフィス・ホール・レストラン等の複合施設です。
プレスセンターの名の通り各メディアの支社局や日本記者クラブ、日本新聞協会などが入居する他、諸外国の賓客を迎えての会見や会議もできる施設となっていて、白い煉瓦外装と最上階に設けられたレストラン・ホールを覆う半円形のデザインが大きな特徴です。
一見して派手さはない建物ですが、メリハリの効いた空間構成や煉瓦による深みのある素材感、訪れる人を誘うエントランスの半円庇など見るほどに深みを感じる素敵な建築となっています。


設計:日建設計
所在地:東京都千代田区内幸町2-2-1
アクセス:内幸町駅より徒歩約1分
竣工:1976年
備考:第19回BCS賞
第20回BELCA賞
19.日比谷ダイビル

日比谷ダイビルは、国際通り沿いに地上21階地下3階建てのオフィスビルです。
新しいダイビルの外観は黒色系の花崗岩と白色系花崗岩とガラスの開口が市松模様のように配されていて、端正ながら重厚で品のあるデザインとなっています。
建替え前のダイビルは建築家の渡辺節が設計を手掛け、外壁には当時渡辺節の事務所にいた村野藤吾デザインの鬼やブタ等の頭部の焼物があしらわれていました。これらの一部は建替え後の建物にも引き継がれ、かつての建物と街の記憶を宿した魔除けの装飾として、建物や外構の各所に残されています。


設計:日建設計
所在地:東京都千代田区内幸町1-2-2
アクセス:内幸町駅より徒歩約1分
竣工:1989年、1991年
20.日比谷OKUROJI

最後に紹介する日比谷OKUROJI(オクロジ)は、JR有楽町駅とJR新橋駅を繋ぐ約300mの区間の高架下空間につくられた商業施設です。
新橋から東京駅を繋ぐ東京市街線(新永間市街線高架橋)は、1910年に日本で初めての鉄道高架橋として建設されたことでも知られ、実に100年以上の歴史を持つ貴重な近代遺構でもありますが、日常の世界と非日常の世界の狭間にあるような高架下空間は、「ちょっと特別な空間」に連れて行ってくれる素敵な魅力に溢れています。
高架の間の空間は、ある場所では飲食店のテラススペースになっていたり、他の場所ではアウトドアショップのテントが張られたりと様々に活用されていて、近代からの遺構を継承しつつ、新時代に向けた新たな商業空間の息吹を感じることができます。


詳細記事
・日比谷OKUROJIがスゴい!建築好きがその魅力とポイントをレポート【東京日比谷】
設計:東鉄工業+交建設計
所在地:東京都千代田区内幸町1-7
アクセス:日比谷駅より徒歩約6分、新橋駅より徒歩約6分
竣工:2020年
公式HP:https://www.jrtk.jp/hibiya-okuroji/
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