今回は、中央区の京橋周辺で建築巡りをしてきましたので、そこで出会った名建築をレポートしたいと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・京橋エリアでの建築巡りを写真と文字でレポート
・京橋エリアの著名な建築家がデザインした建築や歴史のある近代建築をまとめ
1.京橋エドグラン

京橋エドグランは、1933年に建てられ、現在は区指定有形文化財にもなっている明治屋京橋ビルを保存活用しつつ建てられたオフィス、商業等の複合ビルです。
建物正面は、歴史的建築物棟と名付けられた旧明治屋京橋ビルと対となるように新設された低層部分がデザインされているのが特徴。また、後ろに控える高層棟は低層部分の建物ラインに合わせて中間免震層が設けられていて、足元は地下へと続く開放的な吹抜け空間が設けられています。
ルネサンス様式の近代建築と対比するように、日本の伝統的な建築要素である格子や障子をモチーフにした新棟が並んでいるのも素敵で、伝統と革新の両方が同居した素敵な建物です。


設計:日建設計
所在地:東京都中央区京橋2-2-1
アクセス:京橋駅より徒歩約1分
竣工:2016年
備考:2017年度グッドデザイン賞
2.第一生命京橋キノテラス

第一生命京橋キノテラスは、中央通りと鍛治橋通りの交差点に建つ地上12階地下2階建てのオフィス、商業の複合施設です。
交差点に対して顔となるような木質の外装や構造体の設えが特徴の建物は、実際に木造と鉄骨造のハイブリッド構造となっていて、竣工時点で日本一の高さの木造今構造の建物となっています。
建物の内部は構造体から床から壁、天井まで様々な部位に木質のデザインが表出していて、心地良くも表情豊かな空間が体験できる京橋の新たな注目スポットとなっています。


設計:清水建設
所在地 東京都中央区京橋2-4-12
アクセス:京橋駅より徒歩約1分
竣工:2025年
3.相互館110タワー

相互館110タワーは、第一生命京橋キノテラスの向かいに建つ地上12階地下3階建てのオフィス、商業、ショールーム等の複合施設です。
現在の相互館の建物は、1921年に辰野金吾の設計により建てられた初代、半世紀後の1971年に建てられた2代目に次いで建て替えられた3代目の建物となります。
110年前に建てられた初代建物のデザインを継承しつつ、プログラム面からもかつての建物が持っていた賑わいの創出や周辺都市との関係性を受け継ぐ建築が目指されているのが面白いところ。
歴史の継承というテーマと現代にあるべき最新の建築としての技術や工夫が交差する京橋の隠れた注目建築です。


設計:清水建設
所在地:東京都中央区京橋3-7-1
アクセス:京橋駅より徒歩約1分
竣工:2012年
4.京橋創生館

京橋創生館は、第一生命京橋キノテラスの東側向かいに建つ地上13階地下1階建てのオフィス、商業等の複合施設です。
交差点に建つ建物として、ガラス・コンクリート・アルミパネルといった異なる素材が交差し、それぞれの存在感を放つ外観デザインが大きな特徴。
端正なデザインの建物ですが、見る場所によって全く違った表情を見せてくれるのも面白く、木のキノテラス、かつての建築を継承した相互館とは違った個性が際立っています。


設計:鹿島建設
所在地:東京都中央区京橋2-5-18
アクセス:京橋駅より徒歩約1分
竣工:2008年
5.京橋トラストタワー

京橋トラストタワーは、京橋エドグランの北側に建つ地上21階地下3階建てのオフィス、ホテル、商業等の複合施設です。
外装は石張りの重厚さとスタイリッシュなガラスが組み合わさりながら天に伸びるデザインが特徴となっています。
地上部には開放的なピロティが設けられていたり、Green commonsと名付けられた緑地が広がっているのも特徴で、周辺環境に対してもさりげない気配りがなされているのも素敵です。


設計:安井建築設計事務所+戸田建設
所在地:東京都中央区京橋2-1-3
アクセス:京橋駅より徒歩約2分
竣工:2014年
6.東京スクエアガーデン

東京スクエアガーデンは、中央通りと鍛冶橋通りの交差点に面して建つ地上24階地下4階建てのオフィス、商業、医療施設等の複合施設です。
水平スラブが折り重なるように積層したデザインが特徴の建物は、遠くから見ると軽やかに、近づくと力強いイメージを受けるのが面白いです。
低層部分は各通りや地下に接続する立体通路となっていて、様々な動線が折り重なり合いながら魅力的な都市空間となっているのも印象的でした。


設計:日建設計+日本設計
所在地:東京都中央区京橋3-1-1
アクセス:京橋駅より徒歩約1分
竣工:2013年
7.国立映画アーカイブ

国立映画アーカイブは、日本で唯一の国立映画専門機関であり、映画の保存・研究・公開を通して映画文化の振興をはかる拠点として建てられた建築です。
外観も特徴的で、街に近い低層部は全面ガラス張りで街に開き、その上部に矩形の図形が折り重なるような上層階がのる構成となっています。
特に夜は、これから映画を観る人、観終えた人のアクティビティが低層部のガラス越しに映し出され、ガラスの外装がまさに映画のスクリーンのような機能を発揮しているのも面白いところ。
公の施設だけあって貴重で興味深い映画が惜目白押しで、映画の聖地ともいえるこの場所は映画好きなら一度は訪れておきたい建築となっています。


設計:芦原義信/芦原義信建築設計研究所
所在地:東京都中央区京橋3-7-6
アクセス:京橋駅、宝町駅より徒歩約3分
竣工:1995年
8.東熱ビル

東熱ビルは、鍛冶橋通り沿いに建つ地上14階地下2階建ての設備工事会社の本社ビルです。
大通り沿いの外装は、様々な角度がつけられたアルミルーバーによって環境負荷を低減しつつ、それらのしかけがそのまま建物の顔となっているのがユニークです。
見る角度や季節によっても変化する表情も魅力的で、ガラスや石で構成された周りの建物とはひと味も二味も違ったオリジナリティで京橋の景観に変化を与えています。


外装デザイン:隈研吾建築都市設計事務所
設計:鹿島建設
所在地:東京都中央区京橋2-5-12
アクセス:宝町駅より徒歩約1分
竣工:2013年
第13回環境・設備デザイン賞
9.繭山龍泉堂

繭山龍泉堂は、大正時代より銀座・京橋で東洋古美術を中心とした美術商を営む繭山龍泉堂の店舗兼住宅です。
現在の建物は1960年に建てられたもので、現在東畑建築事務所の創業者である東畑謙三が設計を手掛けました。
香川県産の由良石が額縁のように建物を囲み、上階に黒漆喰が塗られた建物は、シンプルなデザインの中に独特の風合いと深みのある表情が味わい深い素敵な建物となっています。
2019年には傷んだ箇所の補修や復元や住居部分をギャラリーに改修していて、古き建物を生かしつつその記憶を現代に繋いでいます。


設計:東畑謙三/東畑建築事務所
所在地:東京都中央区京橋2-5-9
アクセス:宝町駅より徒歩約1分
竣工:1960年(2019年改修)
備考:国登録有形文化財
10.京橋MIDビル

京橋MIDビルは、昭和通りと鍛冶橋通りの交差点に建つ地上12階地下1階建てのテナントビルです。
黒い花崗岩にガラスの開口部が並んだ建物は、柱梁のフレームが庇となって環境負荷を減らしつつ室内側に柱梁のないフレキシブルな空間と彫りの深い彫刻のような外装がつくり出されています。
端正なデザインの建物ですが、ゼネコン設計部らしい用強美が高レベルで融合した素敵な建物となっています。


設計:大成建設
所在地:東京都中央区京橋2-13-10
アクセス:宝町駅より徒歩約1分
竣工:2015年
11.清水建設本社ビル

清水建設本社ビルは、昭和通り沿いに建つ地上22階地下3階建ての大手ゼネコンの本社ビルです。
彫りの深い外装は端正なデザインの中に力強さと繊細さが融合した美しい姿ですが、その形状自体が光のコントロールに寄与していたり、太陽光パネルなどの環境設備が埋め込まれていたりと様々な工夫が散りばめられているのが面白いところ。
環境負荷の低減とオフィスとしての快適性、災害対応力などの課題に対して意匠・構造・設備が一体となりながら解決を図っていて、まさに清水建設の技術が凝縮した最先端の建物がつくりだされています。


設計:清水建設
所在地:東京都中央区京橋2-16-1
アクセス:宝町駅より徒歩約1分
竣工:2012年
備考:第55回BCS賞
12.兼松ビル本館・別館

兼松ビル本館は、清水建設本社ビルの向かいに建つ 地上12階地下2階建ての総合商社の本社ビルです。
この建物がユニークなのは、旧本社ビルの地下躯体を残しつつ四隅に巨大な柱を立ち上げ、その上にオフィスビルを建設する特殊な構法を採用しているところ。
地上に巨大なピロティ空間をつくりだしつつ、地下解体の回避に伴う工期の圧縮や環境負荷の低減を実現し、他の建物には内独自のデザインを実現しているのが面白い建物です。


ちなみに本館の裏に建つ地上8階地下1階建ての別館も同年に清水建設が設計を手掛けています。
本館とデザインコードを揃え、お互いの建物が道路を隔ててひとつの景観をつくりだしているので、京橋を訪れる際には是非合わせてチェックしてみてほしいです。

設計:清水建設
所在地:東京都中央区京橋2-14-1、17-5
アクセス:宝町駅より徒歩約1分
竣工:1993年
備考:第35回BCS賞(本館)
13.中央区立京橋こども園

中央区立京橋こども園は、首都高速道路と清水建設本社ビルの間に建つ地上5階地下1階建ての認定こども園です。
都心のオフィス街の中に緩やかな斜面をもつ広場や壁面緑化された小さなオアシスのような空間をつくりだされていて、日常時には子供達の為の豊かな保育環境と街ゆく人へのささやかな癒しの場が提供され、災害時には防災広場として機能します。
限られた面積の中で様々な素材や色を組み合わせて、多彩な表情をみせてくれるのも素敵な建物です。


設計:清水建設+フィールドフォー・デザインオフィス
所在地:東京都中央区京橋2-17-7
アクセス:宝町駅より徒歩約1分
竣工:2013年
備考:2014年度グッドデザイン賞
14.TODA BUILDING

TODA BUILDINGは、大手ゼネコンの本社建替えで建てられた地上28階地下3階建てのオフィス、ギャラリー、ホール、店舗等の複合施設です。
上層部は垂直に伸びるマリオンと空を反射するガラスの外装が特徴のオフィスとなっていて、中間層は戸田建設の本社機能が配置され、上層部はテナントオフィスとして貸出されています。
また、低層部分はギャラリーやホール、店舗等が配置され、街に開かれた芸術文化施設になっているのも大きな特徴。
1階に入るギャラリーとベーカリーが合わさったGallery & Bakery Tokyo 8分や、ギャラリーと一体となったエントランス空間、パブリックアートが置かれる足元の広場など、アートや文化の発信拠点・結節点としても注目の建築です。


設計:戸田建設
内装設計(Gallery & Bakery Tokyo 8分):DDAA
所在地:東京都中央区京橋1-7-1
アクセス:京橋駅より徒歩約2分
竣工:2024年
15.ミュージアムタワー京橋

ミュージアムタワー京橋は、八重洲通りと中央通りの交差点に建つ地上23階地下2階建ての美術館、オフィス、商業等の複合施設です。
戦後はブリヂストン美術館として多くの人々に親しまれた場所に建てられた高層タワーは、低層部分にブリヂストン美術館から改名したアーティゾン美術館や商業施設、高層部分は最新の設備を備えたオフィスとなっています。
周囲の建物のラインと、かつての建物の記憶を継承するようにボリュームを分節したデザインは、江戸時代から文化や商いの結節点であったこの土地らしさを感じます。
優雅なカーブを描き、繊細な表情をみせる高層タワー部分のデザインも素敵で、京橋の新たなランドマークになりつつあります。


設計:日建設計
所在地:東京都中央区京橋1-10-1
アクセス:京橋駅より徒歩約3分
竣工:2019年
備考:第62回BCS賞
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