今回は豊島区の雑司が谷にある雑司が谷旧宣教師館を訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・旧宣教師館を実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・旧宣教師館の基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
1.現存する豊島区最古の近代木造洋館を訪問
今日訪れたのは、東京都豊島区の雑司が谷に建つ雑司が谷旧宣教師館(旧マッケーレブ邸)です。
雑司が谷旧宣教師館は、その名の通りアメリカから宣教師として来日したジョン・ムーディー・マッケーレブが自らの住まいとして建てた邸宅です。

副都心線の雑司が谷を降りて、雑司が谷霊園を抜けつつ10分ほど歩くと、今回の目的地である雑司が谷旧宣教師館が見えてきます。
閑静な住宅街の中に建つ洋館は、明治時代も終わりに差し掛かっている1907年に建てられたもの。

家主であったジョン・ムーディー・マッケーレブはアメリカ・テネシー州生まれの宣教師で、妻と2人で伝道の為に日本に渡ったのは30歳を少し過ぎた時でした。
日本で地道な伝道活動を続けたマッケーレブが、40代の後半に移り住んだのがここ雑司が谷の地で、以降34年間、残りの人生のほとんどの時間をこの邸宅で過ごすこととなります。
建物の外観は下身板張りのシンプルなデザインとなっていて、19世紀後半のアメリカの住宅の特徴がよく表れています。

まさにマッケーレブの故郷アメリカの面影を色濃く反映した住宅は、当時の日本ではかなり珍しいものだったに違いありません。
この邸宅は豊島区内に現存する最古の近代木造洋館であり、現在では東京都の指定有形文化財にもなっています。

また、近づくとゴシック・リバイバルとして当時のアメリカで流行していたカーペンターゴシック様式と呼ばれるデザインも見られ、シンプルながら親しみやすさも感じる可愛らしい邸宅となっています。
玄関の軒天の板の方向がコーナー部分で直角にデザインされていたり、内側の正方形部分は板の方向が市松模様に並んでいたりと、簡素な邸宅ではありますが、細部のデザインに工夫を感じます。

出窓のデザインも1階と2階で変わっていたりと、細かいところで様々なこだわりをみてとれるのも注目ポイントです。
2.工夫にあふれた見所満載の館内をたっぷりと堪能
玄関で靴を脱いで、スリッパに履き替えて内部を見学します。
私が訪れたのは週末のお昼くらいの時間でしたが、訪れたのは私の他には1組の親子のみで館内はとても静かでした。

館内では家主であったマッケーレブの日本での活動や生活についてや、当時の文化や教育に関する資料などが展示されています。
開国したとはいえ、明治時代にはいって急激に変化していく日本の中で伝道活動に生涯を捧げたマッケーレブの足跡を興味深く拝見しました。

展示はパネルや資料だけでなく、各所室を含めた建物自体が100年の歴史を超えた貴重な歴史資料となっています。

このブログで紹介してきた洋館は近代日本を代表する実業家などなどの邸宅が多かったですが、そうした邸宅とは全く異なった豊かさと暮らしの足跡が垣間見られるのが面白かったです。

室内は決して明るくはないけれど、自然光が降り注ぎ、陽の光によって表情を変える空間はとても美しかったです。窓のデザインも特徴的で、抽象化され再解釈されたゴシック様式に、19世紀のアメリカの空気を感じます。

各部屋の暖炉も見応えがあります。
ケヤキの精巧な装飾とお洒落なタイルがあしらわれた暖炉がとても素敵です。
カーペンターゴシックは、元々中世ヨーロッパの伝統であった様式を木材などでアレンジを加えながらリバイバルしたものでした。当時珍しかった洋館の建設に当たっては古くから木造建築を手掛けてきた日本の大工や職人さんもさぞ腕が鳴ったことだろうと想像が膨らみます。

庭に面した廊下は、天からの自然光がたっぷりと降り注ぎ気持ちのいい空間となっています。
周辺は閑静な住宅街ということもあって、大都会池袋からすぐという立地とは思えない穏やかな空気が流れています。

天井のデザインも独特で、ふと見上げるとこちらの天井では割竹が使われています。
こうした素材の使い方からも、この宣教師館ならではの素朴さと個性を感じます。

館内は丁寧に補修・メンテナンスされていて、当時の記憶を味わえつつも、本当に気持ちのいい空間が広がっています。

各部屋の暖炉は、部屋ごとに違ったデザインとなっているのも素敵です。

ギシギシと軋む足元にちょっとだけ気を遣いながら、当時の雰囲気を想像しつつ邸宅を散策します。
個人の邸宅ということもあり、かつて確かにそこに暮らしていた人の残した温もりが、今も尚この建物に残っているのがとても面白いです。

素敵な邸宅をたっぷりと堪能して、この日の建築巡りも大満足のものとなりました。
とてもオススメのスポットですので、皆さんも機会があれば是非訪れてみてくださいね。
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雑司が谷旧宣教師館(旧マッケーレブ邸)
所在地:東京都豊島区雑司が谷1-25-5
アクセス:雑司が谷駅、東池袋駅より徒歩約10分
竣工:1907年
開館時間:9:00~16:30
休館日:月曜、第3日曜
入館料:無料
備考:東京都指定有形文化財
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