今日は埼玉県の草加市で建築巡りをしてきましたので、そこで出会った名建築をレポートしたいと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・草加エリアでの建築巡りを写真と文字でレポート
・草加エリアの著名な建築家がデザインした建築や歴史のある近代建築をまとめ
・草加エリアの建築の見どころや注目ポイントを解説
1.草加市歴史民俗資料館(旧草加小学校西校舎)

草加市立歴史民俗資料館は、1926年に建てられた草加小学校西校舎を改修してできた資料館です。
関東大震災の3年後につくられた建物は、埼玉県初の鉄筋コンクリート造の校舎であります。
設計を手掛けた大川勇は、多くの校舎建築を手掛けたことでも知られる建築家であり、自身もこの小学校の出身者でした。
直線的で無駄のないシンプルなデザインですが、大きな三角屋根が校舎をひとつ屋根の下にまとめシンボリックなアイコンとして機能しているのがとても印象的です。
館内では郷土の民俗資料や地元の作家の展示の他、建物や設計者についての展示もあり、建物についての資料も堪能できます。


設計:大川勇
所在地:埼玉県草加市住吉1-11-29
アクセス:草加駅より徒歩約7分
竣工:1926年
開館時間:9:00〜16:30
休館日:月曜、年末年始
入館料:無料
備考:登録有形文化財
2.藤城家住宅

藤城家住宅は、旧日光街道沿いに建つ木造2階建ての店舗・蔵です。
草加の旧日光街道の商家の殆どが建て替えられてしまった中、蔵と共に残る町家はとても貴重な建築です。
庇の直下まで伸びるガラス戸による開放的な地上部、リズミカルに並ぶ大きさが異なる垂木や腕木などからは、かつて賑をみせた商屋の風景を想起させられます。


ちなみに旧日光街道沿いの町家では、少し北上したところに建つ久野家住宅店舗も登録有形文化財となっています。
所在地:埼玉県草加市高砂2-48-1
アクセス:草加駅より徒歩約5分
竣工:明治時代(内蔵・外蔵)、1936年(店舗)
備考:登録有形文化財
3.ソソパーク

ソソパークは、草加駅から伸びるメイン通りである草加八潮三郷線と旧日光街道が交差する市の遊休地につくられたカフェ・イベントスペース等の複合スペースです。
細い短冊状の敷地には、コンテナ型の店舗やイベントスペースやレンタルスペースとしても使われる屋外スペースが立ち並んでいて、日常・非日常それぞれの場が表裏一体となりながら楽しげな街を演出しています。
また、店舗での販売だけでなくレンタサイクルの貸出等も行っていて、草加観光の拠点としても機能しています。


設計:Studio Tokyo West(原設計)
所在地:埼玉県草加市高砂2-20-35
アクセス:草加駅より徒歩約5分
竣工:2018年
4.コンフォール松原

コンフォール松原は、かつて東洋一の規模と謳われ約6000戸の住戸を有した草加松原団地の建替えプロジェクトによって生まれた集合住宅です。
建設から半世紀以上経過することで形成された豊かな自然環境を活かしながら、風の通るオープンスペースや貸菜園などの付帯施設が整備されました。

新しくつくられた住宅群は、住棟の向きや規模、形態だけでなく、ペット共用集会場や菜園付き住宅を含む個性的な住戸も取り入れられ、多様性に富んだ集合住宅となっているのも特徴です。
大規模な建物群ですが、旧団地のイメージカラーであるイエローカラーで統一感を持たせつつ、リズミカルに要素が連なっているので、単調な感じは全くない変化に富んだ巨大団地となっていたのも印象的でした。

設計:市浦ハウジング&プランニングほか
所在地:埼玉県草加市松原
アクセス:獨協大学前〈草加松原〉駅より徒歩約5分
竣工:2002年〜
5.草加市立松原児童青少年交流センターmiraton・松原テニスコート

草加市立松原児童青少年交流センターmiraton(ミラトン)・松原テニスコートは、コンフォール松原に囲われた場所に建つ交流センターとテニスコートの付帯施設です。
かまぼこ状のヴォールト屋根の下にそれぞれの機能を収めつつ、それらの屋根が連なることでリズミカルな外観をつくりだしているのが特徴です。
楽しげに連続するコンクリートの屋根は地面から浮き出した洞窟のような安心感もあり、半円形の両面から視線が抜ける開放感があり、それらが連なることで生まれる軒下空間の一体感もあり、不思議な魅力をもって草加の新たな風景をつくりだしています。


設計:御手洗龍建築設計事務所
所在地:埼玉県草加市松原4-4-3
アクセス:獨協大学前〈草加松原〉駅より徒歩約10分
竣工:2022年
6.TOBU icourt

TOBU icourt(トーブ イコート)は、松原団地記念公園に隣接して建つ地上2階建ての商業施設です。
カフェや商店、スーパーなど様々な商業施設を4つの棟に分棟し、大屋根と立体テラスによって一体感を持たせているのが特徴です。
かつては東洋一とも呼ばれた巨大な団地に建つ日常使いの商業施設群は、吹き抜けや大屋根を使ったドラマチックな演出をしつつヒューマンスケールに落とされたデザインによって、周辺住民の日常を支えています。


設計:オー・エヌ・オー大野設計
環境デザイン:乃村工藝社
所在地:埼玉県草加市松原3ー3ー1
アクセス:獨協大学前〈草加松原〉駅より徒歩約8分
竣工:2023年
7.獨協大学

獨協大学は、1883年に設立された獨逸学協会学校をルーツに持つ歴史ある大学です。
伝右川など豊かな自然に囲まれたキャンパスは、近年では駅西側エリアに大学関連施設が建てられ、本格的な学園都市を形成しつつあります。

こちらの学生センターは、部活やサークル活動のためにつくられた地上6階建ての部室、ラウンジ、ホール、武道場等の複合施設です。
ガラスとルーバーによる開きつつ閉じる外装の建物は、学生のアクティビティを刺激しつつ発信する役割と、高い環境性能を両立させていて、大学の新たなシンボルになりつつあります。
こちらのコミュニティスクエアは、研究・教育活動と共に地域との交流の場ををコンセプトに、キャンパスからTOBU icourtを挟んで北側の敷地に建てられた施設です。

コミュニティホールを中心に囲うように配置されたラボ群は、ホールとともにフレキシブルな使い方ができるようにデザインされていて、地域と連携する大学の拠点となる施設となっています。
その他にも、ドイツの国会議事堂をモチーフにデザインされた天野貞祐記念館や、シンメトリーで端正な外観が印象的な次世代型校舎 創立50周年記念館(西棟)など、個性的な建築が立ち並んでいます。
設計:石本建築事務所+大林組(学生センター)、NTTファシリティーズ(天野貞祐記念館)、創立50周年記念館(久米設計)、コミュニティスクエア(石本建築事務所
所在地:埼玉県草加市学園町1-1
アクセス:獨協大学前〈草加松原〉駅より徒歩約5分
竣工:1981年(中央棟)、2007年(天野貞祐記念館)、2012年(学生センター)、2017年(創立50周年記念館(西棟))2023年(コミュニティスクエア)
備考:2013年度グッドデザイン賞(学生センター)
8.草加市文化会館

草加市文化会館は、旧日光街道沿いに流れる綾瀬川沿いに建つ地上3階建てのホール、会議室、カフェ、物産販売所等の複合施設です。
菱形の外形のた建物が雁行するように2棟並べられていて、それらの間をデッキやピロティが繋いでいるのが特徴。
70年代らしい無骨で力強いデザインの建物は、綾瀬川の豊かな自然との鮮やかなコントラストが美しいです。


設計:伊藤喜三郎建築研究所
所在地:埼玉県草加市松江1-1-5
アクセス:獨協大学前〈草加松原〉駅より徒歩約8分
竣工:1972年
おまけ:百代橋(おくのほそ道の風景地 草加松原)

草加市文化会館の建つ綾瀬川沿いの約1.5kmに及ぶ杉並木道は、おくのほそ道の風景地として国指定名勝にもなっています。
こちらの百代橋は、松尾芭蕉がおくのほそ道の冒頭で詠んだ「月日は百代の過客にして行かふ年もまた旅人也」から名付けられた橋で、草加のランドマークのひとつとなっています。

所在地:埼玉県草加市松江1-1
アクセス:獨協大学前〈草加松原〉駅より徒歩約7分
竣工:1986年(百代橋)
備考:国指定名勝
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