金沢文庫「カフェ金澤園」文化財のカフェで建築と料理を堪能

今日は神奈川県の金沢文庫にあるカフェ金澤園を訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。

1.昭和初期に移築された料亭・旅館を改修したカフェがスゴい

神奈川県の横浜市金沢区の金沢文庫エリアに、文化財にもなっている古い割烹旅館を改修したカフェがあると聞き、早速訪れてきました。

金沢文庫といえば、鎌倉時代から続く史跡や、歌川広重の金沢八景にも描かれた海辺の景勝地としても有名なエリアですが、そんな歴史ある土地に建つのが今日訪れた金澤園です。

金澤園は、金沢シーサイドラインの海の公園柴口駅を出て、住宅街を6分ほど歩いたことろに建っています。
元々明治時代に品川区に建てられた日本家屋を1929年に移転したという建物は、翌年1930年から料亭・旅館として営業を始め、多くの観光客や文化人、政財界の要人に親しまれてきました。
文化人では与謝野晶子か特にこの建物を気に入っていたらしく、自身の作品の中に登場したり、2階の広間では歌会を開いたこともあったそうです。

2004年には国登録有形文化財となり、文化財の割烹料理屋として2016年まで営業していましたが惜しまれつつも閉店。

その後運営者を変えて「旅館喜多屋」という外国人向けのゲストハウス兼レストランとなり、2020年再びオーナーさんによってカフェ金澤園がスタートしました。

また、自然あふれる土地と元旅館というだけあって、敷地内にはきちんと駐車場があったり、ワンちゃんと一緒に楽しめるテラス席があったりするのも嬉しいポイントです。

2.緑あふれる風景が味わえるお座敷席で至福のひと時を

建物は旅館時代の趣きを色濃く残しています。
こちらの玄関も改修された部分もありますが、昔帳場だったであろう左手のカウンターや、来客者をもてなす立派な欄間や木彫の彫刻などに歴史の積み重ねを感じます。

カフェ金澤園は、建物の1階・2階にまたがっていて、1階はテーブル席、2階がお座敷席になっています。

まずは1階にあるカウンターで料理とドリンクを注文します。
メニューは、人気のタルトセットの他、オムレツやスパゲッティなどのランチメニューもあります。
また、朝は10:30までモーニングがやっていたりと、中々充実している印象です。

1階はテーブル席を中心とした和モダンなデザインとなっていて、小屋組みの木材が力強く空間を支えています。

店内は電飾による飾り付けがされていたり、アート作品が掛けられていたりと、築100年近い旅館建築とは思えないほどおしゃれで現代的な装いです。

注文を終えた後は、お2階の座敷席に向かいます。
途中開放されている廊下や洗面所を見学しながら向かいます。

昔ながらの薄い板ガラスの建具も、畳割りのような独特のデザインに、すりガラスと透明ガラスを組み合わせていたりと細かいデザインが光ります。
大掛かりなことをしなくても、ちょっとした工夫でガラスの向こうの風景が味わい深いものになるのが面白いですね。

ちょっと急な階段を上がって2階の座敷席へ。
2階に上がるとわっと思わず声が出てしまうような美しい風景が広がります。

一面が大きな開口になった大広間はすぐ外に広がる木々と一体となっていて、まさに絶景。
昔は2階からすぐ先にある入江まで見渡せたそうです。
与謝野晶子らも、同じ風景を見て感動していたのかと思うと何だか不思議な感じがします。

建築的にユニークなのは、中央の天井に比べて、外周部の天井が一段低くなって外に向かって傾斜していることです。
これによって自然と視線が外に誘導されるのと、柱と床・天井によるフレーミング効果で、外の風景が絵画のように演出されます。

お座敷席では、その他にも精巧な装飾が施された欄間や床の間など見所が満載です。

一度は、ゲストハウスに改修されていましたが、歴史ある旅館の風情は全く色褪せることなく堪能できました。

3.ふわふわオムレツと絶品タルト

今回はちょうどお昼時ということもあって、こちらのチーズオムレツをチョイス。
オムレツにはセットでパンとポテトも付いてきます。

縁側からの光を受けて黄金色に輝くオムレスは、スプーンをいれると中はトロトロでとっても美味しかったです。

デザートにいただくのはこちらのバナナタルト。
こんがり焼けたバナナは程よい甘さで、食後にもピッタリです。

金澤園の看板メニューであるタルトは、他にもクルミのタルトや季節限定の紅茶やカボチャのタルトなど種類も豊富です。

素敵な建築と、美味しい食事をたっぷりと堪能してこの日の建築巡りも、大満足で終了。
ちょっとした小旅行にもピッタリのスポットですので、皆さんも機会があれば是非訪れてみてくださいね。

カフェ金澤園
所在地：神奈川県横浜市金沢区柴町46
アクセス：海の公園柴口駅より徒歩約6分
竣工：1929年(移転)
オープン年：2020年

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