今回は東京都青梅市にある映画館シネマネコを訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。
1.戦前に建てられた建物を改修した注目ミニシアターを訪問
東京都心から電車で1時間ちょっと。
大正時代から昭和にかけて織物の街として栄えた青梅では、市街地の南東エリアに今も組合施設や工場が残されています。

今回訪れたのはそんな青梅の近代産業の発展に大きく関わった青梅織物工業協同組合の建物を改修・補修した施設群。
この青梅織物工業協同組合では昭和初期に建てられた旧試験場や工場がカフェや映画館、地域の施設として今も利用されています。

駅から旧青梅街道を15分ほど進むと今回の主目的地である映画館シネマネコが見えてきます。
このシネマネコは旧都立繊維試験場を改修したいわゆるミニシアターで、2021年にオープンしたばかりの比較的新しい施設。

外観は淡いブルーの下見板張りの外壁や玄関部分の小さなペディメント風の屋根が特徴の洋風建築となっていて、青梅織物工業協同組合が組織された昭和初期に建てられた歴史的建造物でもあります。

ちょうど真夏のこの日は細田守監督のアニメ映画「時をかける少女」の4Kリバイバル上映が行われていて、夏休みにピッタリでした。
館内は木造トラスによる大空間を活かしたり漆喰壁の下地材を壁材として再利用するなど、古い建物の素材や構成を活用しつつも、新たな建築として再解釈・再利用する視点でリデザインされているのが注目ポイントです。

新旧そして明暗それぞれの要素が引き立つ空間で映画体験ができます。
もう一つの注目ポイントは併設のカフェです。
こちらのカフェではオリジナルメニューのドリンクや軽食が味わえるのですが、このカフェも大開口から自然光が降り注ぎ閉じたシアターと対比的なデザインとなっているのが面白いところ。

この日いただいたのは濃厚レトロプリンとシネマネコソーダ。
濃厚レトロプリンは、しっかり固めのプリンに濃厚なカラメルが乗った昔ながらのプリン。

一緒にいただいたシネマネコソーダはシトラス風味の爽やかな味わいで、甘いプリンとの相性がバッチリでした。

映画の余韻に浸りながら、夏らしいメニューを堪能する素敵な映画館・カフェ体験となりました。
カフェのメニューはドリンクやスイーツの他にもパスタやサンドイッチなどもあるので、昼食スポットとしてもオススメです。
2.それぞれ活用される貴重な近代遺構群を見学
敷地内には同時代に建てられた織物関連施設がいくつか残されているので、映画を見終えた後はそれらの施設を巡ります。
こちらの青梅織物工業協同組合 本館は、1940年に建てられた織物工業協同組合の事務所建築です。

木造2階建ての寄棟屋根の建物は無駄のない端正なデザインとなっていて、その分エッジのラインや整然と並ぶ開口部のシンプルな美しさが際立ちます。

敷地の西側に建つ青梅織物工業協同組合 旧織物加工工場は、旧都立繊維試験場と同時期に建てられた木造平屋建ての工場です。

4つの屋根が連続する大規模な鋸屋根は北側から安定した自然光を取り込む為のものですが、近くで見ると迫力満点。
織物の街として発展した青梅の産業史を伝える貴重な建築遺産です。
すこし前までこちらの旧工場にもカフェスペースがあったようですが、私が訪れた時には残念ながら閉業しているようでした。

また敷地外とはなりますが、ぐるりと西側の道路にまわると工場の裏側も見ることができるので、訪れた際は是非裏手にも注目してみてほしいです。

他にも旧ボイラー室をはじめいくつかの建物が地域の施設として活用されています。
3.石蔵を改修したダイニング&ギャラリーも見逃せない
青梅織物工業協同組合でもうひとつ見逃せないのが、本館やシネマネコから道路を挟んで向かいに建つダイニング&ギャラリー繭蔵(青梅織物工業協同組合 旧発券倉庫)です。

こちらの繭蔵は元々倉庫として建てられた2階建ての石蔵で、大谷石積みの重厚な外観と切妻屋根が特徴の建物となっています。
現在は1階がレストラン、2階がギャラリーとして利用されていて、特に週末は多くの人で賑わう人気スポットになっています。

レストランでは旬の野菜を中心に栄養バランスも考えられたこだわりのナチュラルメニューを味わえます。
先ほどシネマネコのカフェでプリンをいただいたばかりでしたが、せっかくなのでこちらでもスイーツをいただきます。
今回頂いたのは繭蔵の人気スイーツであるおとうふのムースとドリンクのセット。

その名の通りとふうを使ったオリジナルのムースはコクがありながらもさっぱりとした味わい。
お味はとうふなのですが、フルーツと一緒に食べると不思議と豆腐とフルーツがマッチしてとても美味しかったです。
素敵な建築と映画、スイーツを堪能してこの日の建築巡りも大満足のものとなりました。
とてもオススメのスポットですので、皆さんも機会があれば是非訪れてみてくださいね。
青梅織物工業協同組合
改修設計(シネマネコ):池上建築設計+武藤一級建築士設計事務所
所在地:東京都青梅市西分町3-123他
アクセス:青梅駅より徒歩約15分
竣工:昭和初期(シネマネコ、ダイニング&ギャラリー繭蔵、 旧織物加工工場)、1940年(本館/1963年増築)、2021年改修(シネマネコ)
備考:国登録有形文化財(シネマネコ、ダイニング&ギャラリー繭蔵、 本館、旧織物加工工場)
2021年度グッドデザイン賞(シネマネコ)
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