今日は大阪に建つ司馬遼太郎記念館を訪れてきましたので、その模様をレポートしたいと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・司馬遼太郎記念館を実際に訪れたレポートを写真と文字で解説
・司馬遼太郎記念館の基本情報やアクセス方法、訪れる際のポイント
・司馬遼太郎記念館の建築的な見どころや注目ポイント
1.住宅街の中にひっそりと現れる記念館建築を訪問
今回訪れたのは大阪駅からは電車を乗り継いでおよそ30分ほどの東大阪の静かな住宅街の一角。
最寄り駅である近鉄奈良線の八戸ノ里(やえのさと)から歩いて8分ほどのところに建つ司馬遼太郎記念館です。

記念館は、戦後を代表する作家・司馬遼太郎の自邸跡に建てられています。
現在はその司馬の旧居と、2001年に建てられた記念館の新館がひと続きになって公開されています。

住宅街を歩くこと数分、徐々に案内看板が増えてきて、期待感も高まります。
門を入ると、まず目に入るのは雑木林の小道。これは司馬自身が好んだ自然風の林を再現したもので、四季折々の風景が楽しめます。
その奥に、ちらりとみえてくるのが建築家の安藤忠雄氏が率いる安藤忠雄建築研究所が設計した記念館です。

コンクリートの壁が周囲の自然の緑と対比するようなデザインはまさに安藤建築。
このアプローチからすでに安藤建築の世界観が始まっていて、緩やかなカーブを描いたガラスの外壁が、周囲の木々を映し出しながら来館者を迎えてくれます。

建物が近づくにつれて、自然と人工の境界が曖昧になり、文学の世界へと誘われるような体験が始まります。
2.高さ約11メートルの書架が圧巻!本の谷に包まれる空間を堪能
記念館の内部は撮影禁止ですが、その空間体験は非常に印象的でした。
建物の中心には吹き抜けの大空間が広がっていて、壁面には高さ11メートルに達する巨大な本棚が設けられています。

以前このブログでは以前大阪のこども本の森中之島や、兵庫のこども本の森神戸をレポートしましたが、大きく弓形にカーブする外観とコンクリートの壁一面に設けられた本棚が特徴の建物は、後に建てられるこども本の森の原型ともいえます。
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外から見ると吹抜けの大空間に面して設置された巨大なステンドグラスが建物の短編方向の一面に設けられているのがわかります。
地下に掘り込まれ、壁一面が本棚となった空間にこの巨大なステンドグラスからの光がドラマチックに差し込むのです。

書架には約2万冊もの蔵書が収められていて、それはまるで司馬遼太郎の知識と探究心の集積を可視化したかのような空間となっています。
司馬遼太郎の蔵書は6万冊に及んだといいますが、歴史小説をはじめとする執筆活動のために膨大な資料を読み込み、精緻な描写を積み上げてきた彼の執筆スタイルが、この空間から感じ取れます。
また、建物全体がコンクリート打ちっぱなしのシンプルな構造でありながら、ガラスや木の素材感がうまく取り入れられており、冷たさを感じさせない温もりのあるデザインになっているのも大きな特徴です。これは安藤建築に共通する特徴で、力強く普遍的なコンクリートの躯体と、多様で移り変わる木や光といった要素がかけ合わさっているのが素敵でした。
吹き抜けの脇には、時期ごとに入れ替わる企画展示や、150席を有するホール、映像資料コーナー、司馬作品の販売スペースなども充実していて様々な角度から司馬遼太郎の足跡や人となりを知ることができます。

館内の来館者も非常に多く、熱心に展示を見つめる人々の姿が印象的でした。
このブログでは谷崎潤一郎や夏目漱石など多くの文豪の記念館や文学館建築を訪れてきましたが、それらの施設と比べてこの記念館は圧倒的に来館者の数が多いように感じました。
ここまで多くの人が集まる文学関係の施設は珍しく、司馬遼太郎がいかに多くの読者に愛されてきたかを実感できました。
3.旧邸と新庭、そして詩碑も堪能
敷地内には、司馬遼太郎が実際に暮らしていた旧邸の書斎部分も保存されています。

旧邸の書斎はガラス越しですがその内部を窺え、執筆に使われた机や椅子、万年筆などをみることができます。

かつて6万冊もあったという蔵書の一部もそのまま残されており、静かな時間が流れる空間となっています。

さらに、2010年には新たに新庭と呼ばれる庭園が設けられていて、記念館の余韻に浸れます。
記念館の裏へと進むと花供養碑と呼ばれる詩碑があります。

これは、大阪・河内長野市の文化施設から移設されたもので、司馬の自筆による短歌が刻まれています。
建築、自然、そして文学が共鳴しあう記念館の裏手にひっそりと配置されたこの詩碑は、記念館の締めくくりにふさわしい静かな佇まいでした。
昭和を代表する作家の知の森をたっぷりと堪能してこの日の建築巡りも大満足のものとなりました。
建築、文学、自然が融合した記念館、気になった人は是非訪れてみてくださいね。
司馬遼太郎記念館
設計:安藤忠雄建築研究所
所在地:大阪府東大阪市下小阪3-11-18
アクセス:八戸ノ里駅より徒歩約8分
竣工:2001年
開館時間:10:00~17:00
休館日:月曜、年末年始、特別資料整理期間
ホームページ:https://www.shibazaidan.or.jp/
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