今回は、目白台・関口周辺で建築巡りをしてきましたので、そこで出会った名建築をレポートしたいと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・目白台・関口エリアでの建築巡りを写真と文字でレポート
・目白台・関口エリアの著名な建築家がデザインした建築や歴史のある近代建築をまとめ
・目白台・関口エリアの建築の見どころや注目ポイントを解説
1.旧細川侯爵邸学問所 松聲閣

旧細川侯爵邸学問所 松聲閣(しょうせいかく)は、肥後細川庭園(旧新江戸川公園)に学問所として建てられた木造2階建ての建物です。
肥後細川庭園は、古くから目白台の湧水を生かした回遊式泉水庭園で知られていましたが、明治時代に細川家の下屋敷跡に建てられたのがこちらの建物で、現在は区が管理していて集会所としても活用されています。
都心の一当地の中で、江戸時代から続く大名屋敷の庭園と、明治・大正の面影を残す建物をたっぷりと味わえる文京区の隠れた注目スポットです。


所在地:東京都文京区目白台1-1-22
アクセス:都電荒川線 早稲田駅より徒歩約6分
竣工:明治時代中期(大正時代改修)
2.永青文庫

永青文庫は、旧熊本藩主細川家に伝わるの美術品や歴史資料を保存・展示する美術館です。
こちらの建物は、元々は1930年に旧細川侯爵家の事務所として建てられたもので、第17代の当主細川護貞の時代の1972年に一般公開されました。
派手さはないですが、細かい部分に独特のデザインが施された味わい深い建築となっています。

また、すぐ向かいに建つ旧細川護貞邸(別館)も注目の建築です。
設計を手がけたのは、このブログでも取り上げた両国国技館や池上本門寺等の建築を手がけた建築家 今里隆氏で、シンプルな中に日本建築の持つ美意識が垣間見られるいぶし銀のような建築です。

設計:今里隆(別館)
所在地:東京都文京区目白台1-1-1
アクセス:都電荒川線 早稲田駅より徒歩約10分
竣工:1930年、昭和中期(別館)
3.ホテル椿山荘東京

ホテル椿山荘東京は、古くから椿が自生する景勝の地であったつばきやまに、明治時代につくられた邸宅・庭園をルーツにもつホテルです。
現在のホテル椿山荘東京の中核を成す地上13階地下2階建てのホテル棟は、元々の庭園や大きな高低差のある敷地を巧みに活用したZ型のプランとなっていて、外部の自然環境を大胆に建物内部に取り入れつつ趣向を凝らしたデザインが随所に取り入れられた圧巻の建物となっています。
結婚式の会場や、庭園を望むラウンジスペースを活用したカフェレストランも人気となっていて、人工物と自然が融合した豪華な空間を堪能できる注目の建築です。


設計:観光企画設計社
所在地:東京都文京区関口2-10-8
アクセス:江戸川橋駅より徒歩約7分
竣工:1991年
備考:第34回BCS賞
4.正八幡神社

正八幡神社は、目白坂の中腹に建つ江戸時代初頭に創建された歴史ある神社です。
社殿は戦前の1937年に建てられたもので、境内は決して広くはないですが、閑静な住宅地の中の高台にひっそりと佇む神社は都心の現代的な街並みとは切り離された独特の雰囲気を醸し出しています。
深い樹木に囲われ、周辺の住宅から少し高い高台にある境内からは、昔は眼科に目白の街並みが広がっていたことが想起させられます。


所在地:東京都文京区関口2-3-21
アクセス:江戸川橋駅より徒歩約3分
竣工:1937年(社殿)
5.獨協中学校・高等学校

獨協中学校・高等学校は、明治時代に設立された独逸学協会をルーツに持つ中高一貫の伝統校です。
目白通りに面して1998年に建てられた新校舎は、太陽の光を反射する白い表皮とガラスの開口が組み合わさった軽やかでスタイリッシュなデザインとなっています。
光の効果を最大限引き出した校舎は、一見してシンプルに見えますが、外観だけからも徹底的にこだわったディテールとプロの建築集団が誇る技術力の高さを窺い知ることができます。


設計:竹中工務店
所在地:東京都文京区関口3-8-1
アクセス:江戸川橋駅より徒歩約5分
竣工:1998年
備考:1999年度グッドデザイン賞
6.東京カテドラル聖マリア大聖堂

東京カテドラル聖マリア大聖堂は、戦後日本の建築界の巨匠 丹下健三氏が設計を手掛け、代々木体育館と並んで丹下健三氏の代表作といわれる教会です。
外観は私たちが普段イメージするような教会らしくない、シルバーに輝く8枚のシェル構造の外壁によって成り立っているのですが、内部に入ると上空に伸びる8枚のシェルは頂上部で十字架の形で合わさっています。
トップライトから漏れる光で教会の内部は荘厳な雰囲気に包まれていて、神と対峙するような言葉には尽くしがたい空間をつくり出していてます。
構造的な合理性、巧みな配置計画、空間の美しさなど、すべてが融和した空間は、20世紀の日本建築の頂点でもあり、建築好きであれば一度は見てほしい名建築です。

設計:丹下健三/丹下健三・都市・建築設計研究所
所在地:東京都文京区関口3-16-15
アクセス:護国寺駅、江戸川橋駅より徒歩約15分
竣工:1964年
公式HP:https://cathedral-sekiguchi.jp/
7.日本女子大学
日本女子大学は、1901年に初代校長を務めた成瀬仁蔵や創設委員長であった大隈重信らを中心に創設された日本初の女子大学です。
120年以上の歴史を持つ大学とあって、本部を置く目白台には各時代の建物が建ち並んでいます。

例えば目白通り沿いに建つ成瀬記念講堂は、大学設置間もない1906年に建てれた建物です。建設当初は煉瓦造でしたが、1923年に起きた関東大震災で被害を受けたこと等から木造建築として再建された歴史を持ちます。

こちらの樟渓館(しょうけいかん)は、大正時代末期の1926年に高等学部の校舎として建てられた建物で、大正時代らしいシンプルでモダンなデザインが特徴です。

昭和の終わりに建てられた成瀬記念館は、建築家の浦辺鎮太郎氏が設計を手がけたロマネスク調の建物です。
赤煉瓦の外壁は建設当初の成瀬記念講堂の煉瓦を意識したもので、各所に散りばめられた独特のデザインも見応えがあります。

近年建てられた図書館、杏彩館、百二十年館は、日本女子大学出身で2010年には建築界のノーベル賞ともいわれるプリツカー賞も受賞した世界的な建築家 妹島和世氏がデザインを手がけています。
極限まで抽象化された空間が建築として再構成され、開放的で美しい建築として実体化したような建築は妹島氏の真骨頂ともいえます。

設計:田辺淳吉(成瀬記念講堂)、浦辺鎮太郎(成瀬記念館)、妹島和世建築設計事務所+清水建設(図書館、杏彩館、百二十年館)、清水建設(新泉山館)
所在地:東京都文京区目白台1-19
アクセス:護国寺駅より徒歩約8分
竣工:1906年(成瀬記念講堂)、1926年(樟渓館)、1984年(成瀬記念館)、2004年(新泉山館)、2019年(図書館)、2021年(杏彩館、百二十年館)
備考:文京区指定文化財(成瀬記念講堂)、第64回BCS賞
8.神田川ベーカリー

目白台西側の住宅街の中にある神田川ベーカリーは、建築の設計事務所が住宅街の中の空き家を取得して企画~運営まで行うちょっと変わったベーカリーです。
建物の1階正面の緑色のタイルがとても味わい深い雰囲気を醸し出しているのですが、タイルの色付けらタイル張りの作業まで1枚1枚自分たちでやったというのだから驚きです。
暗すぎず明るすぎず、でも街の中から見るとちょっとしたアクセントにもなっているのがとても素敵な建築です。

詳細記事
・早稲田「神田川ベーカリー」設計事務所がつくったベーカリーをレポート
改修設計:軍司有佳里+小沢彩/らいおん建築事務所
所在地:東京都豊島区高田1-11−14
アクセス:都電荒川線 早稲田駅より徒歩約3分
竣工:2017年(改修)
営業時間:11:00~18:00
公式HP:http://www.kandagawabakery.com/
9.フジッコ東京FFセンター

フジッコ東京FFセンターは、食品メーカーとした知られるフジッコの東京オフィスとして建てられた地上9階地下1階建ての複合施設です。
ガラスの外装と吹き付け空間を組み合わせた開放的なデザインは、営業の拠点としてだけでなく、企業の活動やイメージをアピールするスクリーンとして機能しています。
ガラスのスタイリッシュで現代的な装いの中にも、すだれをイメージした和の要素がデザインされているのも面白く、古来からの伝統や知恵と最新の技術の融合が建築的にも体現されています。


設計:清水建設
所在地:東京都文京区音羽1-26-16
アクセス:江戸川橋駅より徒歩約3分
竣工:2021年
10.鳩山会館

鳩山会館は、内閣総理大臣を務めた鳩山一郎の住まいとして1924年に建てられた邸宅を改修した記念館です。
音羽御殿の名でも知られる邸宅は、鳩山一郎と中学校時代からの友人で、歌舞伎座や明治生命館などの設計者でもある建築家 岡田信一郎が設計を手掛けました。
西洋の邸宅のモチーフを重厚で気品溢れるデザインで体現しつつ、部屋と部屋とが開放的な建具で連なり外部の景観を建物内に巧みに取り入れる日本的な建築のエッセンスが凝縮されているのも注目ポイント。
精巧な装飾や様々にデザインされたステンドグラス、光と影の豊かな表情など見どころが満載の素敵な邸宅です。


設計:岡田信一郎
所在地:東京都文京区音羽1-7-1
アクセス:江戸川橋駅より徒歩約7分
竣工:1924年(1995年改修)
開館時間:10:00~16:00
休館日:月曜
備考:1月・2月・8月は休館


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