今回は府中周辺で建築巡りをしてきましたので、そこで出会った名建築をレポートしたいと思います。
【自己紹介】
・建築好きのやま菜と申します。
・今日も素敵建築を求めて東奔西走
【この記事で分かること】
・府中周辺エリアでの建築巡りを写真と文字でレポート
・府中周辺エリアの著名な建築家がデザインした建築や歴史のある近代建築をまとめ
1.武蔵府中ル・シーニュ

武蔵府中ル・シーニュは、府中駅南口の駅前に建つ商業施設、公共施設、集合住宅等の複合施設です。
駅や周りの施設と立体的に接続しつつ中には100店舗もの店舗や公共施設が凝縮していて、府中駅前の人々の行動の基点となるような建物となっています。
大きな建物ですが、けやき並木通り側は並木に合わせたルーバーが連なっていたりと街並みを意識したデザインとなっているのが面白いところ。
再開発で積まれた現代的で端正な装いの中に府中の歴史やかつての街の記憶がさりげなく取り入れられているのが見どころの建築です。


設計:INA新建築研究所+清水建設
所在地:東京都府中市宮町1-100
アクセス:府中駅より徒歩約1分
竣工:2017年
2.酒座 中久本店・蔵カフェ

酒座 中久本店・蔵カフェは、府中の旧甲州街道と府中街道の交差点に建つ酒屋さん、カフェ等の複合施設です。
江戸時代の創業し「国府鶴」などの銘柄でも知られる野口酒造店の蔵や、後の時代に増築された主屋は時代の移り変わりと共に様々に変化し改修されてきましたが、1994年に蔵造りの外装への復元や店舗スペースの改修が行われました。
最も古い店蔵は現在は蔵カフェという名のカフェ・イベントスペースとなっていて、風合い豊かな木調の内装の蔵内で酒粕ラテなどの酒店らしいメニューや自家製ケーキを堪能できます。


改修設計:木村優/アートステーション
所在地:東京都府中市宮西町4-2-1
アクセス:府中駅より徒歩約5分
竣工:1861年(店蔵/1994年改修)、昭和初期(旧主屋)
3.府中高札場

府中高札場は、江戸時代に幕府の御触れを板札で知らせた掲示場です。
この高札場は甲州街道と現在の府中街道が交わる交通の要所に置かれた歴史遺産であり、東京都指定旧跡にもなっています。
若干の移設はされつつも江戸時代につくられた高札場が残っているのはかなり貴重なもの。
モノやヒトが交差する当時の府中の中でもここが情報の発信・共有拠点になっていたのかと想像が膨らむ歴史遺構となっています。


所在地:東京都府中市宮西町5-1-1
アクセス:府中駅より徒歩約5分
竣工:江戸時代
4&5.府中市新庁舎 おもや

府中市新庁舎おもやは、2023年から2026年にかけて建てられた府中市の新庁舎です。
建設に際しては市役所の主要機能がはいる「おもや」が先行して建てられ、その後図書館やカフェなどの付帯機能がはいる「はなれ」が段階的に建てられる計画となっていますが、これは建設時だけでなく建設後に起こるであろう改修や機能変化に対応することざ視野に入れららたものというのが面白いところ。
また、2つの建物の間には屋外空間「通り庭」が配されていて、屋内外が絡みあいながら時には通り過ぎたり時には佇んだりと様々な行動を受容するオープンスペースが形つくられています。
「はなれ」は2027年に開庁予定なのでオープンしたら再訪したいと思います。


設計:千葉学建築計画事務所+久米設計
所在地:東京都府中市宮西町2-24
アクセス:府中駅より徒歩約5分
竣工:2023年(おもや)、2026年(はなれ)
6.ふるさと府中歴史館

ふるさと府中歴史館は、大國魂神社の参道沿いに建つ資料館です。
元々は1967年に市立図書館・郷土館として建てられた建物でしたが、現在は内部を改修して発掘調査で出土した土器等や公文書、府中の祭事などの展示が行われています。
外観はコンクリートによるモダニズムのデザインをベースにしつつも、日本の木造伝統建築のデザインが随所に取り入れられているのもユニーク。竣工から半世紀以上経つ端正なデザインの建物ですが、よくみると見どころが満載の府中の隠れた注目建築です。


設計:日建設計工務
所在地:東京都府中市宮町3-1
アクセス:府中本町駅より徒歩約5分
竣工:1967年
7.大國魂神社

大國魂神社(おおくにたまじんじゃ)は古代の武蔵国府に由来する武蔵国総社であり、その創建は111年とされる歴史ある神社です。
境内は国の史跡にも指定されていますが、建築面でも様々な時代に建てられた建物が点在する建築パワースポットでもあります。
例えば本殿は江戸時代初期の1667年に建てれた一棟三殿、総朱漆塗りの建築で、東京都の有形文化財にもなっています。
他にも江戸時代末期の1854年に建てられた鼓楼や、本殿の前面の拝殿や手水舎も明治時代の建築だったりと築100年超えの建築が幾つも残されています。


さらに昭和初期の1931年に建てられた神楽殿、戦後の混乱が落ち着いた1969年に建てられた中雀門や廻廊、1974年に建てられた宝物殿など昭和時代も各年代の建築が揃っています。

所在地:東京都府中市宮町3-1
アクセス:府中本町駅、府中駅より徒歩約5分
竣工:1667年(本殿)、1854年(鼓楼)、1885年(拝殿)、1897年(手水舎)、1931年(神楽殿)、1969年(中雀門、廻廊)、1974年(宝物殿)
備考:東京都有形文化財(本殿)
8.高安寺

髙安寺は、室町時代に足利尊氏が再興したといわれる歴史ある寺院です。
境内には江戸中期から明治初期にかけての建物が残されていて、例えば境内を進んで程なくのところに建つ観音堂は享保年間に現在地で再建されたもの。
その他にも軒下のユニークな意匠の組物が目を引く本堂や迫力ある二重門の山門、江戸時代は時の鐘としての役割を担っていた鐘楼など江戸時代から明治にかけて建てられた貴重な建築群が残されている注目寺院です。


所在地:東京都府中市片町2-4-1
アクセス:分倍河原駅より徒歩約7分
竣工:江戸時代中期(観音堂)、1803年(本堂)、1856年(鐘楼)、1872年(山門)
備考:府中市指定文化財(観音堂)
東京都選定歴史的建造物(本堂、鐘楼、山門)
9.日本聖公会 聖マルコ教会

日本聖公会聖マルコ教会は、明治時代の1899年に北多摩教会として始まった歴史ある教会です。現在の礼拝堂は1959年に建てられ、このブログでも紹介した川崎市役所旧本庁舎や大森聖アグネス教会を手掛けた元田稔氏が手掛けているのが大きな注目ポイント。
2014年には礼拝堂の改修と木造平屋の信徒会館整備が行われ、元の建物の構成や配置を活かしながら光あふれる礼拝堂と地域の活動にも使える教会として生まれ変わっています。


原設計:元田稔
改修設計・信徒会館設計:スタジオ・ノア
所在地:東京都府中市美好町3-8-2
アクセス:分倍河原駅より徒歩約6分
竣工:1959年、2014年(信徒会館)
10.内藤家住宅

内藤家住宅は、江戸時代に多摩郡本宿村の名主であった内藤清兵衛家の屋敷です。
個人の住宅なので普段は非公開となっていますが邸宅本体だけでなく門や蔵をはじめとする屋敷の多くが残されているのが特徴で、東京都の指定有形文化財にもなっています。
江戸時代後期に建てられたとされている主屋には格式高い屋敷に見られた式台付き玄関や右手には別棟の書院も備えていて、江戸時代の地元の名主の屋敷の姿を堪能できます。


所在地:東京都府中市美好町3
アクセス:分倍河原駅より徒歩約12分
竣工:江戸時代後期
備考:東京都指定有形文化財
普段は非公開で、不定期の見学会にて見学
11.箱の長屋

箱の長屋は、南武線の線路沿いに建つ木造2階建ての集合住宅です。
建築家の難波和彦氏がこれまで展開してきた「箱の家」の思想を、4戸の長屋住宅へ応用しているのが大きな特徴。
箱形の住戸の内部は浴室やトイレを除く住居空間を間仕切りのない一室としてデザインすることで環境のコントロールと暮らし方の変化に対応できる余白を確保しているのが面白いところ。
シンプルな箱の中に光や空気、素材の性能といった見えない要素も含めた省エネルギー思想と住戸の柔軟性が組み込んでいるのが面白い建築です。


設計:難波和彦+界工作舎
所在地:東京都府中市分梅町
アクセス:分倍河原駅より徒歩約5分
竣工:2022年
12.郷土の森博物館
府中市にある郷土の森博物館では、江戸時代から昭和初期の建物8棟が移築・復元されています。
例えばこちらの旧府中町役場庁舎は、1921年に建てられた木造2階建ての庁舎です。

外観は小さなドーマー窓や上げ下げ窓を備えた洋風建築ですが、玄関の車寄せには寺社建築を思わせる唐破風屋根となっていたり、背面に和風の平屋が接続したりと随所に和洋折衷のデザインが見え隠れするのが面白いところ。
戦後は役所や図書館、研究施設ととしても使われていて、府中の地域行政の歩みを今に伝える建築遺産でもあります。


所在地:東京都府中市南町6-32
旧所在地:東京都府中市宮西町1-8
アクセス:分倍河原駅よりバスで約10分
竣工:1921年
備考:東京都指定有形文化財

旧河内家住宅は、人見街道沿いの旧人見村にあった江戸後期の農家の住宅です。
元々は江戸時代に建てられたと考えられていますが、1844年に三鷹市の旧大沢村から移されたことが分かっていて、その後も農業・産業の変化に合わせて改修されているのが面白いところ。
河内家は府中でも盛んであった養蚕を営んでいて、明治の改修時には蚕を育てるため通風や温度管理のための改修跡がみられます。
郷土の森博物館への移築・復元の際にも竣工当初の江戸期ではなく明治期の状態としているとのことです。


所在地:東京都府中市南町6-32
旧所在地:東京都府中市若松町3-34
アクセス:分倍河原駅よりバスで約10分
竣工:江戸時代
備考:府中市指定有形文化財

旧三岡家長屋門は、旧是政村で村役人を務めた三岡家の分家に建てられた長屋門です。
左右の部屋は蔵造りとなっていて、その上へ別構造のように屋根を載せる置き屋根形式の茅葺屋根はかなりめずらしいものとのこと。
また、200年近い歴史のある長屋門ですが郷土の森博物館へ移築時に竣工当初の姿へ復元されています。


所在地:東京都府中市南町6-32
旧所在地:東京都府中市是政1-15
アクセス:分倍河原駅よりバスで約10分
竣工:1829年
備考:東京都指定有形文化財

また、こちらの旧田中家住宅では復元された建物の一部が「平次のおうどん」という食事処となっています。
甲州街道府中宿を代表する典型的な商家を復元した建物は、手前の商店の奥に座敷や蔵が続いていて江戸時代の町屋の建物を内部の様子を含めて体感することができます。


所在地:東京都府中市南町6-32
旧所在地:東京都府中市宮町1-8
アクセス:分倍河原駅よりバスで約10分
竣工:江戸時代後期

郷土の森博物館では他にも江戸時代の民家から明治期の店蔵、昭和初期の小学校などが移築・復元されていて、近代建築好きにはたまらないイチオシ建築スポットです。
13.シティハウス府中けやき通り

シティハウス府中けやき通りは、大國魂神社へと続く馬場大門のけやき並木に面して建つ地上12階地下1階建て総戸数140戸の集合住宅です。
低層部にはクラシカルな雰囲気のある重厚なデザイン、上部はレンガ風タイルによるスタイリッシュなデザインとなっているのが大きな特徴。
歴史ある神社の参道の自然要素との調和を図る抑えめなデザインと、西洋のアパートメントを思わせるアクセントの線引きも見事で、並木道の緑との美しいコントラストが印象的な建築でした。


設計:協立建築設計事務所
所在地:東京都府中市府中町1-15-1
アクセス:府中駅より徒歩約3分
竣工:2011年
14.LIGHT CAVE

LIGHT CAVEは、府中市寿町に建つ地上7階建ての集合住宅です。
平面は中央にある階段室の両脇にに短冊状の部屋が並ぶ構成ですが、弧を描きながら立ち上がる穴付きの壁が彫刻的な外観をつくりだしているのが大きな特徴。
壁面に設けられた細長い開口やスリットによって街と住戸の間には光と風が届く豊かなバッファゾーンが生み出されていて、各住戸が少しずつ異なる変化に富んだ住戸となっているのも素敵です。
また、住戸が積み重なる一般的な集合住宅にはない全体としてひとまとまりの外観も魅力的でした。


設計:牛田英作/e.u.a
所在地:東京都府中市寿町3
アクセス:府中駅より徒歩約7分
竣工:2001年
15.ヒューリック府中タワー

最後に紹介するヒューリック府中タワー(旧Jタワー)は、日本製鋼所東京製作所跡地につくられた府中インテリジェントパークに建つ、地上18階地下2階建てのオフィスビルです。
高層棟はL字の執務室が2つ組み合わさった大空間のオフィスとなっていて、府中の街並みとスカイラインを反射するガラスの外装が印象的でした。
足元では地上3階の低層棟が緑地や樹木と一体となりながら配置されていて、ガラスのアトリウムや反射性の高いガラスの外装よってスケールダウンした周囲との関係性がデザインされているのもユニークです。


設計:日本設計
所在地:東京都府中市日鋼町1-1
アクセス:府中駅より徒歩約10分
竣工:1992年
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