山谷のドヤ街がスゴい!今も残るディープな街を探訪

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3.アップデートされる山谷も面白い

マイナスのイメージも多くある山谷の街ですが、近年そのイメージを払拭する様々な取組みや、注目の建築も生まれています。

例えばこちらのWall apartmentは、かつて靴工場だった建物を改修した総戸数24戸の賃貸住宅です。

内部は名前の通り細かく壁で区切られていて、様々なプランが用意されているそう。
山谷は上野がすぐ近くということもあって芸大生や若手のアーティストにも人気だとか。
もともと工場ということもあって、高い天井高のエントランスや、吹抜けをうまく使った階段などが魅力的な建物です。

■Wall apartment
改修設計:加藤大作/UND architects
所在地:東京都台東区清川1-21-5
アクセス:南千住駅より徒歩約13分
竣工:1978年(2013年改修)

近年はコロナの影響を受けていますが、数年前までは、山谷は宿泊料金の手頃さから海外のバッグパッカーから人気の街でもありました。
日本の歴史の中から生じる負のイメージや壁が、海外のバックパッカーによって飛び越えられるのはとても面白いです。

こちらのカンガルーホテルは、コンクリート打ちっ放しの箱が宙に浮くようなデザインが特徴のホテルです。

堅牢で防音性に優れた閉じた個室と、宿泊者同士がコミュニケーションできる開放的で開けたラウンジのコントラストが鮮やかな建築です。
1階のスペースはグラフィックデザイナーでもあるホテルオーナーのアトリエにもなっています。

■カンガルーホテル
設計:黒崎敏/APOLLO
所在地:東京都台東区日本堤1-21-11
アクセス:南千住駅から徒歩約11分
竣工:2009年
備考:2011年グッドデザイン賞

山谷の宿でもう一つ見逃せないのが、こちらの行燈旅館です。

こちらの旅館は、早稲田大学の教授でもある建築家の入江正之氏らがデザインを手掛けた旅館です。

もともとこの旅館は、外国人宿泊者向けの取り組みをいち早く実践した先駆的な旅館でしたが、2003年に建てられたこちらの建物はその動きをさらに周囲に波及させた立役者的な存在にもなりました。
ガラスを使った現代的なデザインの中に、障子や路地といった日本の伝統的なモチーフが上手く取り込まれているのも注目ポイント。
夜にはまさに行燈のように周囲を優しく照らす美しい姿が見られます。

■行燈旅館
設計:早稲田大学入江正之研究室+D.F.I
所在地:東京都台東区日本堤2-34-10
アクセス:南千住駅から徒歩約8分
竣工:2003年

2003年に建てられた注目建築と言えば、神の愛の宣教者会 山谷の家も見逃せない建築です。

設計を手掛けたのは名門、坂倉建築研究所出身の建築家 村上晶子氏。
村上氏はこのブログでも紹介した聖イグナチオ教会や日立シビックセンターを担当していたそうで、シンプルな形に宿る普遍性や美しい陰影の効果にその影響が見てとれます。
右手奥に見えるピンクの建物が城北労働・福祉センターですが、徐々に福祉の街へ変化していった山谷の支援ボランティアの拠点としても機能していて、山谷の街の変化を象徴するような建築です。

■神の愛の宣教者会 山谷の家
設計:村上晶子アトリエ
所在地:東京都台東区日本堤2-2
アクセス:南千住駅から徒歩約10分
竣工:2003年

最後に訪れたのは760年に創建された歴史ある神社、玉姫稲荷神社
玉姫稲荷神社は古靴の供養を行うなど地域の産業もゆかりの深い神社です。

境内の建築は第二次世界大戦で全焼後、1953年に再建されたもの。
戦後の山谷とともに歴史を積み重ねてきた建築を目的に訪れたのですが、この日は丁度、年に一度の靴まつり市でした。

山谷は元々靴を始めとして革製品をつくる産業が盛んな街ということもあって、靴やベルトが格安で売られていました。

■玉姫稲荷神社
所在地:東京都台東区清川2-13-20
アクセス:南千住駅から徒歩約11分
竣工:1953年

最後に思いがけず山谷らしいイベントも楽しむことができて、山谷の雰囲気や歴史をたっぷりと堪能することができました。

東京にひっそりと残されたディープな街山谷。皆さんも機会があれば訪れてみてはいかがでしょうか。

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